見出し画像

理想のキッチン探し㊻・芦花公園

 2023.1.29
久しぶりの内見レポート。実は最近、内見を申し込むと「先に申し込みをしてください」と言われることが増えて、夫が内見に消極的になっていました。今の部屋を決めたときからあったけど、ある程度人気の物件になると、あらかじめ申し込んだ人、つまり住む約束を事前にした人が、確認のために内見する、という流れをつくらせる不動産屋がけっこうあるのです。しかし、いくらインターネットに間取り図や部屋の一部の写真が公開されていても、実際のサイズ感、日当たり、周辺環境などは行ってみないとわかりません。行ってみないとわからないことは、常々実感しているところです。
 実は今住んでいる部屋は団地形式の2棟のマンションで、私は南側の棟に住んでいるのですが、北側の棟が大きな空き地に面しています。その空き地が去年夏頃に売れ、12月からボーリング調査が始まっていました。もういつここで建設が始まるかわからない状態です。私の仕事部屋の窓からは、北側の棟の向こうにその空き地が見えています。つまり、工事が始まったらこの部屋は騒音から逃れられなくなります。窓はあまり厚くなく防音効果はほぼ期待できません。仕事中、工事の音が聞こえると集中できませんし、ときどきやっていたリモートの打ち合わせやラジオ・テレビなどの番組収録はできません。また、取材したテープ起こしなどの作業もできません。定期借家の期限まではかなりあるけど、そろそろお尻に火がついてきました。もう、町見学を兼ねて内見、なんてのんきなことは言っていられないのです。これからこのレポートは、相当本気の内見をお伝えすることになるでしょう。

 夫がUR賃貸住宅の物件を見つけた最初は荻窪でした。それは、建て替えて11年の築浅物件。家賃はちょっと高いけど、更新料も保証人もいらず、おそらく堅牢で修理なども安心して任せられます。がんばってみるか、と翌朝連絡したところ、もう決まってしまっていました。
 何となく心残りだったところへ、おとといの金曜日、仕事先の夫から電話がかかり、芦花公園の団地が出ているとのこと。送られてきたのは在宅ワークの人向けの3階建てのメゾネット。芦花公園の団地は駅から徒歩3分の利便性が魅力です。しかも、去年内見すらできなかったけど町が気に入った千歳烏山までも徒歩圏内。1階が広めの10畳で2階にLDK、3階に6畳の洋室、そしてルーフバルコニーも。在宅ワーク向けなら同じ棟で同業者がいるかもしれず、楽しいコミュニティができるかもしれません。
 部屋は十分あるけど、気になったのは北向きであること、壁が少なそうなこと。でも見てみないとわかりません。すぐに申し込んで土曜日の朝、行くことにしました。

 予定より15分早く着いて管理室へ聞いてみると、まだ前の人が内見中でさらに15分遅くまで待ってほしいとのこと。「それは決めたナ!あさイチにすべきだった」と後悔する夫。周囲を散歩し、駅前のケーキ屋カフェでしばらく過ごして行ってみました。
 まず、大きな問題がありました。駅から近いしサミットやドラッグストアもあるし、便利なのですが、内見する棟は線路の真ん前なのです。そしてやはり集合住宅で南側の壁の向こうは隣の部屋です。入ってみると、あちこちに収納が埋め込まれていて、家具や本棚が置けない。しかも、階段横がおしゃれなすりガラスの引き戸で、ここの横に家具を置いて大丈夫かどうかちょっと心配。そして、窓もおしゃれなのですが、細かくいくつもあって、これも本棚を置くのに不便です。
 さらに、2階のLDKのキッチンが、ペニンシュラ型で、作業スペースがシンクの向かい側にしかないという……。

 URだからキッチンは使いやすい、というのは必ずしも正しくないことが分かってしまいました。というか、これちょっと、デザイナーズ物件的。デザイナーズはかっこいいけど生活感がない、というか生活は不便そうな物件が多いように感じています。
 扉の中は完全スケルトンで、今使っているディノスの引き出しをつっこめるからそれはいいんだけど。後ろに収納カウンターもあるのですが、その高さは75㎝しかないので、低すぎるし、家電置き場にするだろうから作業はできない。回り込んでまな板を使う?ちなみにダイニング側は食器棚になっています。
 収納があらかじめついている物件って、いろいろ想像して親切心で作っているのでしょうけど、それって住み方を限定する場合が多い。そして、夫曰く「賃貸で住むようなやつは、家具なんて持っていないという頭があるんじゃないか」。新婚とか初めての一人暮らしなら家具がない場合もあるけど、今みたいに格差社会で賃貸しか住めない人たちは、一生家具なしですか?家具を入れないと収納できない物件も多数あるというのに。
 そういえば去年の今ごろは中古売り物件を見ていましたね。その可能性はロシア‐ウクライナ戦争がはじまり、急激な物価高騰とそうでなくてもここ数年上がってきていた不動産価格の急上昇で、すっかり夢の彼方に去りました。時勢が変わる、めちゃ儲かる、みたいなことがないと、もう購入はできません……。
 あちこち巡って思うのですが、もしかして、日本の人たちは間取り作りが下手ですか? 壁ばかりつくって家具を置きづらくなっていたり、キッチンへの動線が悪かったりする物件が多過ぎる。賃貸物件は、たくさんの物件を扱い効率的に回すプロがいない、と学者さんの本で読んだことがあるけど、確かにそうかも。中途半端に気を利かせたり、とにかく安くするためにケチな材料を使ったり。今年になって急にメディアで盛り上がっている、日本の住宅の断熱性能の低さにしても、今頃になって二重以上のサッシを入れようとか、遅すぎる。30年、50年前からダブルガラスはあったんですよ。
 今回のURだって土地はたっぷりあるのに、なんでこんなに非効率な間取りにしているのか謎。在宅ワークをする人は机さえあればいいと思われているのでしょうか? 資料が多い仕事をする学者、物書き、建築関係者、漫画家などはその中に入っていないのですね。
 この物件の問題点はまだありまして、バルコニーが三角で狭すぎる。だからルーフバルコニーなんでしょうけど。2階、3階のバルコニーは洗濯物を1日分置くのが精いっぱいで布団が干せません。バルコニーが広いのはURの魅力だったのに。ルーフバルコニーへはむちゃくちゃ急な階段しかないので、布団を持って上がったら、すべって転んで大けがするリスクすらあります。と、期待値が多かっただけに問題点をめちゃ列挙してしまいましたが、モノをあまり持たない人、あるいは住む家を別に持っている人なら、きっとおしゃれに暮らせると思います。あと、騒音に強い人。京王線が今、踏切問題を解決すべく工事中とのことで、薄い期待で地下化ではないかと調べたところ、高架化工事でした。この部屋に住む限り、電車の音からは逃れられません。でも、その日の夜にはもう物件はインターネットから消えていました。この団地で、昔ながらの壁が多くてバルコニーが広くて南向きの部屋はあるようなので、そうした物件が出てくるのを待ちましょう。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?