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#1 はじまりの「りんご」

「最近、ちっともnoteが書けなくってさ」

書きたい気持ちはあるのに、エネルギーが出ない。頭の中のコトバを指先に伝えるパワーがない。それを一番実感しているのは自分自身なのだけど。

流行り病のせいにするわけではないけど、どことなくフラットな日々が続いていて、そろそろ気持ちの限界も感じていて、このままだと枯れてしまいそう。書くことを通じて、引き出しを開けてみたり、思いを馳せてみたり。匂いのするような日常が戻ってきたらいいな。

「そうだ、しりとりエッセイでもやってみよう」と、せせなおこさん(@)とお題をしりとりしながら、エッセイを書いてみることにしました。

・お題をしりとりで出し合う
・そのお題をテーマにエッセイを書く
という簡単なルールだけ決めて、あとはそれぞれが書くというわけです。

前回の「#0 はじまり」で出たお題は「りんご」でした。

お題が決まれば、あとは連想ゲームで話を広げていけばいいと分かっているものの。少しばかりの緊張感が足を引っ張ってしまいます。

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せっかくの機会だから、近所のスーパーでりんごを買ってみた。入ってすぐのところに売っていたのは、1袋5つ入りのりんご。甘い匂いとずっしりとした重さ、ちょうどいいサイズ。

「英語の"apple"という単語には"果実"という意味があるんだよ」と聞いたことがある。パイナップルはパイン+アップルで、パインは松のことだから、まつぼっくりみたいな果実だからパイナップルと言うらしい。

ど真ん中の果実「りんご」を食べようとキッチンに立つ。

くるくる回すだけでりんごの皮がむけるヤツは実家の戸棚にしまってある。しかたなく包丁を使って皮をむく。丸いまま皮をむくなんて昔は考えられなかったけど、今ではお茶の子さいさいだ。

初めて包丁を持ったころは、りんごを半分に切るのさえ難しかった。
くし形に切ったあと、ひとつひとつ皮をむいたもの。気付いたらうさぎさんりんごくらいなら作れるようになっていた。

おろし金を覚えたのもりんごのおかげだ。風邪で寝込んでいたときに作ってもらったすりおろしりんごは、すごく嬉しかった。
りんごが食卓に並ぶときは何度もあったが、すりおろしりんごは病気の時しか出てこなかった。どれだけお願いしても、元気なときは一度も作ってもらえなかった。それがどうしてかは今でも分からない。

りんごの芯抜きを手に入れたときは、りんごの芯をくりぬいて、バターとグラニュー糖をたっぷりつめこみ電子レンジで8分加熱。焼きりんご風のおやつは、冬の定番になった。

包丁を覚えたときに、そばにいてくれたのはりんごだった。
りんごは僕の初めてを支えてくれた。
「1日1個のりんごは医者いらず」とも言うらしい。りんごを食べて元気いっぱいになれるといいな。

今でもスーパーに行けば、バナナやミカンよりも、りんごを手に取ってしまう。包丁を片手に一手間かかるところがかわいくて、これこそりんごの魅力なんだな、なんて思う。

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せせさんから「りんご」でテーマを受け取ったので、こちらからはお返しするテーマは「ご」から始まる「合格」です。

どんなエッセイができるのか、楽しみにしてます。


写真協力:ぱくたそ様


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