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【植栽家の日常】20240223 庭も砂漠化する気候変動の時代。 園芸家を水やり奴隷から解放するイノベイティブ&サスティナブル素材 EFポリマー



【気候変動による庭の植物の生き難さを改善してくれる素材を試験導入してみました】

ちょっと美味しそう、あるいはお肌の保湿に良さそうなナゾのプルプル素材😅

昨今の気候変動や温暖化で、日本でも夏の尋常ではない酷暑や全く雨が降らない時期が長く続いたりして、庭の土壌が乾きやすく、水を好む園芸植物がかつてよりもロングライフには生き難い世の中になっていますよね。

園芸家のみなさんも庭の植物を枯らさないように、夏場のお出かけが制限されたり、以前にも増して水やりの頻度や水量が増えているということもあるのではないでしょうか。

そんな中、水やりが少なくてもよいようにアガベやユッカなどの乾燥地系素材を多く植えるというのもひとつの解決策ですが、選べる植物の範囲が偏ってきてなんとなく似た感じの「ドライガーデン的」な庭になってしまいがちですよね。

乙庭でも、植栽設計を担当させていただいた現場などで、長く雨が降らない期間に、普通なら考えられないような庭植えの植物さえも渇水で枯れたり弱ることもあり、良い策はないかいろいろ考えていて、試しに砂漠地域の緑化などにも用いられる吸水ポリマーを導入してみました。

吸水ポリマーを土に混和するのはケミカルで違和感を覚える方も多いかもしれませんよね。私も、自然に還りにくい科学素材を土にまぜるのには抵抗がありました。

が、この製品は柑橘類やバナナの皮など100%植物由来の超吸水性ポリマーで、有機JAS認定のオーガニック製品。土壌に混ぜ込んで使用すると約6か月間 吸水・放出を繰り返し、1年程度で完全生分解されて土壌に還るとのことで、安心して使えるなと期待して導入しました。

いわゆる「ナチュラリスティック」な植栽のお庭に、毎日欠かさず水やりをするのはナチュラルなようでいてナチュラルじゃないですよね。

植物由来で生分解される素材を土壌に加えて土壌を乾くにくくすることで庭の植物がより生きやすくしてあげる。水やりという人為的な行為を少なくして、よりナマの環境で植物が生きていける状態にする工夫であるので、「人が少しお手伝いをしてナチュラルな環境に近づけている」ということだと思うんですよね。

ポリマーをナチュラル or アンナチュラルのどちらと捉えるかは意見の分かれることろかと思いますが、私としては、温暖化・砂漠化が進む地球環境の緑化の手助けとなる21世紀の技術であり、そして本来廃棄される果物の皮部分を原料に作られた自然の循環系に組み込める、エシカルでエコな先端の技術だなと好感しています。

1kg入りで、一般のご家庭でのガーデニングであれば、結構使い勝手良い量かなと思います。

特に種子まきや小苗の植え付け時などは、植物自体が土壌の乾燥で枯れやすいので、幼い植物の栽培初期に土にこのポリマーを少量混和することで(目安:土の量の0.5~1%)ポリマーが自体内多くの水分を吸収し、土壌の保水性・保肥性が格段にアップします。

粒状タイプはお砂糖のザラメといった感じのツブ感です

早速試しに、上写真の量のポリマーに水を加えて、どのくらい吸収するか試してみました。
※土作業後で私の手がカサついているのはご愛嬌で😅

最初、上写真くらいの水を加えてみましたが、みるみるうちに吸収してジェル状に膨らんでいきました。

水を足して、50mlにしても全ての水を吸収し、まだまだ吸収力に余裕がある感じでした。

近年では温暖化や夏に雨が降らない時期が長くあったりして、酷暑地では庭の植物に1日に2回くらい水やりしないと植物がバテてしまうことも多くなってきています。水やりする人間の方もバテてしまいますね。

趣味の園芸は楽しくクリエイティブにやりたいですよね。
有機JAS認定 100%生分解性オーガニック吸水ポリマーの使用により、夏場の水切れで植物が枯れる悲しい事故や水やり頻度が減り、園芸家の心配や苦労も減りますし、限りある水資源の節約、水道料金にもなります。

植物にも環境にも人間にもお財布に優しいスマートソリューションかなと思いました。

【今日の読書】



最後に私 太田敦雄の著作や掲載誌をいくつかご紹介します。
2024年1月16日発売(本記事執筆時点では発売前)のガーデニング雑誌「Garden&Garden vol.88 (Spring 2024)」。
巻頭特集「風景ガーデニング」にて、私 太田敦雄 / ACID NATURE 乙庭 を8ページにわたり掲載いただいています。私の設計案件の中でもこれまで一般誌で解説紹介していない2つの住宅を実例に写真豊富に、自分が思い描く植栽風景を形にしていく思考のコツなどについて解説しています。私のページ以外も人気ガーデナー、ガーデンデザイナーさんの多様な植栽事例をお楽しみいただけます。


私と、おぎはら植物園の荻原範雄さん、フローラ黒田園芸の黒田健太郎さん・和義さんご兄弟との共著作「グリーントータルプランツブック」。前半の1/3を私が執筆担当しており、実例も交えた植栽論と植物の解説をしています。


私の最初の著作本「刺激的・ガーデンプランツブック」は、出版社のご都合で現在絶版となっていますが、この本に書いた内容も含めて、今後の出版物に盛り込んで、なんらかの形で情報としてこれからも手に入るようにはしていきたいと思っています。


noteの「乙庭植物図鑑」では、これまでの著書では解説していない植物も積極的に取り上げていく予定です。
自分だけの特別なお庭造りの参考になれば幸いです😊✨


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