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【乙庭植物図鑑】20230430 アムソニア 'ストームクラウド' (Amsonia 'Storm Cloud')

これまで、著書や歴代ブログやwebメディアなど、さまざまな媒体に植物の解説を書いてきましたが、結構情報が散逸している状態になってきたので、マイペースではありますが、note.に私の植物や植栽に関する知識をまとめていきたいと思います(ライフワークにできたらいいな😊)。

今日は、乙庭の農場で2年目以降の株が現在開花中の、黒軸と淡青紫色の星形の花との対比がとてもカッコいい  アムソニア 'ストームクラウド' (Amsonia 'Storm Cloud') を紹介します。

撮影:20240430

アムソニア 'ストームクラウド' は、「ヤナギバチョウジソウ」という和名でも知られう北アメリカ原産種 アムソニア タベルナエモンタナ (Amsonia tabernaemontana) の系統とされる黒軸品種。

2011年にアラバマ州ビブ郡の山林で発見された黒軸個体からの選抜品種で、アムソニアの英名「Bluestar」にも表されているような星型の淡青紫色の花と黒軸との対比が、ナチュラリスティックな中にもデザイン性に溢れ、とても素晴らしいです。

撮影:20240430


海外の文献では アムソニア タベルナエモンタナ 系統の品種とされていますが、私が観察する限りですと、タベルナエモンタナの基本種と比べて葉幅が広いように思います。

アムソニアの仲間では、日本〜朝鮮原産種のチョウジソウ(Amsonia elliptica)が古くから園芸植物として親しまれてきました。

その他、オランダ人植栽家 ピート・アウドルフ氏が涼しげな糸葉と秋の黄葉を植栽の見どころとして好んで使う アムソニア フブリヒティ(Amsonia hubrichtii)も、2020年またぎのナチュラリスティックプランティングブームの中で注目を集めていますよね。

これらどの種も共通して、春〜初夏の咲く淡青紫色の星型の花がとても美しく、葉姿も涼しげでナチュラルな雰囲気があり、宿根草植栽の中でとても使いやすく見栄えがよいです。日本の気候にも合って育てやすいのもとてもうれしいところ。

アムソニアの仲間は全般的に秋に鮮やかな黄葉となって冬季落葉するものが多いのですが、本種 'ストームクラウド' はちょっと変わっていて、晩秋の寒さに当たるとまず濃厚なボルドー色に変色し、最後の最後にやや黄色みを帯びて落葉します。

撮影:20231018


撮影: 20231108

この冬季落葉までの葉色の変化は本種特有で、とても面白いなと思っています。


涼しげな緑葉と初夏に咲く淡青紫色の花がとても爽やかで、ナチュラルなアムソニア特有の雰囲気を残しつつ、ひときわ眼を引く黒みの茎がとてもデザイン性高く、植栽の中でもとてもいい感じの存在感を発揮します。

晩秋の葉色の変化も日々楽しめて観賞ポイント多く、春〜秋まで長く楽しめる、
素晴らしい逸品です。

私の店、ACID NATURE 乙庭では2013年頃から導入していますが、2024年春の時点では、まだ国内では流通がとても少ないのはもちろんのこと、世界的にもまだ手に入りにくいレアな新品種です。

春の芽吹きもとても黒みの強い黒紫色で、芽吹いた瞬間から見る者を惹きつけます。

例年ですと、こちら群馬県前橋市では5〜6月頃に開花しますが、2024年春は開花や芽吹き時期にたいへんバラつきがあり、昨年から農場で養生している中苗はすでに開花している一方で、冬の間に生産者から仕入れた幼い新苗はやっとこさ発芽が始まったくらいで、例年よりも芽吹きがとても遅いような状況です。

本種に限らず2023-24の冬春は気候変動の影響か、さまざまな植物の発芽や開花などの挙動が例年とは異なり、やや戸惑いを感じますね。

アムソニア 'ストームクラウド' 風に揺れるしなやかな草姿、夏には緑葉の涼やかな印象、秋にはボルドー〜黄葉への移ろい、黒い芽吹きや、黒みのカラーステムも相俟って花期以外の季節にも次々と異なる観賞価値を発揮してくれます。

耐寒性耐暑性ともに日本の気候にも合い、庭植えでローメンテナンスに育てられます。



■アムソニア 'ストームクラウド'
■ 学名 : Amsonia 'Storm Cloud'
■ キョウチクトウ科 耐寒性多年草
■ 花期 : 春〜初夏
■ 草丈 : 60cm
■ 耐寒性 : 強い
■ 耐暑性 : 強い
■ 原産地 : 北アメリカ


最後に私 太田敦雄の著作や掲載誌をいくつかご紹介します。
2024年1月16日発売(本記事執筆時点では発売前)のガーデニング雑誌「Garden&Garden vol.88 (Spring 2024)」。
巻頭特集「風景ガーデニング」にて、私 太田敦雄 / ACID NATURE 乙庭 を8ページにわたり掲載いただいています。私の設計案件の中でもこれまで一般誌で解説紹介していない2つの住宅を実例に写真豊富に、自分が思い描く植栽風景を形にしていく思考のコツなどについて解説しています。私のページ以外も人気ガーデナー、ガーデンデザイナーさんの多様な植栽事例をお楽しみいただけます。


私と、おぎはら植物園の荻原範雄さん、フローラ黒田園芸の黒田健太郎さん・和義さんご兄弟との共著作「グリーントータルプランツブック」。前半の1/3を私が執筆担当しており、実例も交えた植栽論と植物の解説をしています。


私の最初の著作本「刺激的・ガーデンプランツブック」は、出版社のご都合で現在絶版となっていますが、この本に書いた内容も含めて、今後の出版物に盛り込んで、なんらかの形で情報としてこれからも手に入るようにはしていきたいと思っています。


noteの「乙庭植物図鑑」では、これまでの著書では解説していない植物も積極的に取り上げていく予定です。
自分だけの特別なお庭造りの参考になれば幸いです😊✨




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