倉庫に戻った廃棄する服を黒染めでアップサイクル！

廃棄される運命にあった服を黒く染めてアップサイクルする「フロムストック」。ブランドを展開するアドアーリンクのサーキュラー事業部・舘野香梨さんに話を聞きました。

カーキ色のスエットの黒染め。白タグ、白の英字プリントは染まらずに残った

――黒染めという発想はどこから？
サステナブルに関する勉強会が社内であり、私たちに何ができるのだろうかを題材に話し合いました。そのときに、新たな廃棄物を出さず環境にかける負荷が少ない“黒染め”というアイデアが出てきました。

――黒染めをするのはどんな服ですか？
売れ残り、倉庫に戻った「廃棄する服」です。残ってしまった服は主に白や差し色、トレンドカラーが多いので、それを黒く染めています。ただ、いくつも染めるというわけではなくて、残ってしまったら意味がないので、たくさんは染めません。一点ものも多いです。

――染める作業はどこで行われていますか？
東京都墨田区にある大染（だいせん）という染色専門の会社です。使用する染料にもこだっていて、排水管理もしっかりされているので、環境への負荷が極力抑えられています。新品のまま廃棄されるはずだった服が、日本の染め技術でもう一度よみがえります。

――どんな服でも黒く染められるのですか？
綿や麻などの天然素材は染まりますが、ポリエステルなどの合成繊維は染まらないので、全てが真っ黒にはなりません。ステッチだけ染まらずに元の服の色のままだったり、グレー一色のパンツもポリエステルが混ざっていたところが染まらず模様みたいに浮き出たり、仕上がりはさまざま。一枚一枚違うから、面白いんです。

――この先、ブランドとして目指す方向を教えてください。
一番の理想はフロムストックというブランドが無くなること。服をアップサイクルしないで済むような仕組みをどうつくっていくかが、私たちアパレル業界の課題です。

濃く染まるところと、薄く染まるところによって、白のときにはない模様が表れたノースリーブ

濃い黒に染まったチノパン。縫い糸は染まらず、ステッチのように浮き上がって見える

FROMSTOCK
「グローバルワーク」「ニコアンド」「ローリーズファーム」
など、グループで30を超えるアパレルブランドを展開するアダストリアによるアップサイクリングブランド。https://fromstock.jp/