見出し画像

なぜ業務はブラックボックス化してしまうのか

業務のブラックボックス化とは

業務のブラックボックス化という言葉を聞いたことありますか?
多分、多くの人が聞いたことがあると思いますが、どのような状態を指すか知っていますでしょうか。

業務のブラックボックス化とは、作業担当している人のみ、もしくはごく一部の人しか特定の業務を理解しておらず、業務内容が外から理解できない状態のことを言います。

名前の通り、中身が見えない黒い箱のような状態ですね。
皆さんも直面したことがありますでしょうか。

ブラックボックス化すると何が困るのか

ブラックボックス化すると何が困るのでしょうか?
ぱっと思いついただけでも結構あります。以下のような感じです。

・その業務が正しいのか間違ってるのかどうかわからない
・人に引き継げない
・引き継げないので、その人がいなくなった時業務が止まる可能性がある
・納期を指定しても大体ズレる
・数値の予測値を聞いても大体ズレる
・イレギュラーが発生した時に、対応ができない(もしくはイレギュラーを見逃す)
・そのため、ボトルネック業務になりやすい

結構困りませんか?
ブラックボックス業務の後工程にいる人なんてたまったもんじゃありません。
いつアウトプットができるかわからないし、その結果が意図したものかどうかも検証できない。そのまま受け入れるしかないため、それが正しいかどうかもわからない。

そんな困った状態がブラックボックス化です。
今回はなぜブラックボックス化するのかを実体験踏まえて書いていきたいと思います。

業務がブラックボックス化するのはなぜか

これに関しては理由が2点考えられると思っています。
①自分の業務を守るため、あえてブラックボックス化(属人化)している。
②担当者が意識していないうちにブラックボックス化(属人化)してしまっている。

結果は同じですが、当事者の意識がまるっきり違うこの2つ。

前者の①は完全意図的です。
自分の存在意義を示すためや、これ以外の仕事をやりたくないなどの理由でブラックボックス化してしまうケースです。担当者が長年同じ業務に従事していると起きやすいですね。
よくある常套句が「私しかできない業務だから」「言っても分からないだろうから」「昔からこうやってるから」です。

後者の②は本人はブラックボックス化しようと思っておらず、一生懸命業務をやっているだけなケースが多いです。
ただ、この場合、自分の業務に一生懸命すぎて、周りとの業務連携が取れていない、もしくは習熟度や知識が不足していて、「自分の業務がどこに影響を及ぼしているかわからない」「自分の業務がどういうロジックで五\動いているかわからない」という状況です。

これはどういうときに起こるかというと、前任から仕事を引き継いだ時に、ここの数字をここに転記して~、とか、このボタンを押して~、みたいなタスクベースの引継ぎを受けており、どういう業務なのか、全体感をイメージできていない場合や、知識不足で業務理解ができずに、とりあえずタスクベースに落とし込んでしまう場合が想定できます。

ブラックボックス化はデメリットが多いので解消したいですよね。
解消方法を次から書いていければと思います。

ブラックボックス化しないためには

①自分の業務を守るため、あえてブラックボックス化(属人化)している場合

この解決方法は政治です。
同僚から言ってもなかなか難しいと思います。なぜなら意志を持ってブラックボックス化をしているので、自発的な解消は難しいです。
なので、上司や上席に動いてもらうしかありません。それとなくジョブローテやブラックボックス化している業務のサブ要員をやりたい!などと交渉してみるのがいいと思います。

ただ、長年同じ業務についているのは上司も承知のはずです。
それなのに動かないのは相応の理由があり、いきなりガツンと言ってしまうとこじれてしまう可能性があります。なので背景含めて色々調べたり、以下に現状のボトルネックになっているかなどの組織全体のデメリットと解消後のメリットをまとめておく必要があります。

余談ですが、私は何度かブラックボックス破壊の使者としてブラックボックス化人員に送り込まれたことがあります。いずれもブラックボックスは破壊してきましたが、結構大変な業務でした。

②担当者が意識していないうちにブラックボックス化(属人化)してしまっている。

このケース、実はよくあるのではと最近思っています。
この状態になっている場合、本人は頑張っているのだが周りからは冷たい目で見られる、周囲はなんでこんなことになっているかわからない。さっさと仕事終わらせろ、もしくは質問に答えろ状態になっており、雰囲気も悪くなっていそうな感じがします。
本人はやりたくてもできない。これは前述した業務理解や知識不足から、今の業務以上のことができない、いわゆるデッドロック状態だと思われます。今以外のやり方が分からないため、変えようがない・新しい情報を共有できないということです。

もう少し掘り下げていきたいと思います。

業務標準化をしないのではなく、できない

ブラックボックス化を解消できないケースと類似して、業務標準化・効率化も同様の事象が怒っていると思います。

業務標準化はいろんな企業で話題になってるであろうトピックな気がします。しかし、声高に上司が盛んでも一向に業務標準化が進まないケースがよくあります。

私は業務効率化・標準化が非常に好きでもはや趣味と言ってもいいくらいなので、ガンガンやるタイプなのですが、周りを見ているとあんまりこれらの改善業務をやらない人もいます。
いくらやろうといっても何かと理由をつけてやらずに、従来通りのやり方で仕事を進めます。それがどれだけ面倒なやり方に見えても、です。

これは何でなんでしょう?
これは業務効率化をしないのではなく、できないのではないか

ではどうすればこのような進まない状況を打破できるのでしょうか。

ブラックボックス破壊・業務標準化への道

何はともあれ業務フローの書き出しです。
まず担当者(自分がブラックボックス化している場合は自分)でやってる業務を書き出します。この段階では、きれいなフローを書く必要はありません。スプレッドシートでもホワイトボードでも紙でも構いません。とにかく知ってる情報を書き出しましょう。ブラックボックス化している場合、間違いなくこれだけでは情報が不足しています。

そこでこの書き出しをベースに、前工程・後工程の業務担当者にも話を聞きに行きます。そこで前後の工程ではどのような意図で業務をしているのか、必要な情報は何なのか、なぜこのようなアウトプットになっているのかなどを聞いていきます。
そうするとこのタイミングで、ブラックボックス担当者の業務意図と周囲の期待値がずれているのが見えてくると思います。もしここで出てこなかった場合まだ情報が足りないので、上司や他部署などからもっと情報を聞いたほうがいいです。

次にやることは、ギャップが生まれている業務がなぜ発生しているのかの理由を特定します。ここでブラックボックス業務担当者がおそらく初めて業務意図を理解します。ここは意図が分かるまで考え続けます。もし全く意図がない場合は不要な業務である可能性が高く、業務をなくす方向で考えるべきです。

ギャップの真因が特定できれば、後は直すだけです。ここでようやくあるべき業務フローが見えてくると思うので、ギャップの部分を中心に業務の見直しを行います。よく言うas is/to be分析ですね。

ここまでできれば後はどうto beを回すかということになりますが、まだ安心できません。絵に描いた餅にならないように、マニュアルでできるのか、それともシステムに力を借りないといけないのか、などどうアクションしていくかまできっちりスケジュールを引いて落とし込む必要があります。

ここまで書くと大変そう…と思うでしょう。。
そう、実際にブラックボックスをなくしたり、業務改善をするのは大変なんです。
なので一人でやろうとせず、複数人でやるのがいいです。プロジェクト化したりチーム・部署全体でやらないとなかなか進みません。

ただ、やることはいたってシンプルです。
業務を可視化して、どんどん修正を加えていく状態を保っていくのが重要です。

業務フローは高尚なものである必要はないので、とにかく最初は吐き出すことです。洗練化させるのはかなり後です。

ブラックボックス化破壊・業務標準化に役立つ知識

古典的ですが、最後に私がよく使う知識を共有して締めたいと思います。

ECRSの原則

ECRSとは以下の略語です。
E(Eliminate):なくせないか
C(Combine):一緒にできないか
R(Rearrange):順番を変えられないか
S(Simplify):単純にできないのか

まず優先順位が高いにはEの「なくせないか」です。
不要な業務を特定し業務自体をなくすのが一番楽です。まずこの不要な業務を探すのが、最重要課題となります。
その次が、Cの「一緒にできないか」です。これも複数業務をまとめてしまうのでなくす方向に行く改善なので優先順位が高くなります。
3番目がRの「順番を変えられないのか」です。特定の日・時間に業務集中するとミスが発生しやすいですし、非効率なつながりになってるケースがあります。その際に順番を変えてスムーズに流れるようにします。クリティカルパスメソッド的な考え方です。
最後がS「単純にできないのか」です。これが一番最後なのは、最終手段だからです。業務を簡単にするのは言うが易し、行うは難しです。システム化などがあげられますので大きな改修が必要になります。できればいいですけど、あくまでも最後と考えておきましょう。

As is(現状) / To be(理想)

現状と理想像を書いていき、そこのギャップを特定する方法です。
結局ギャップがボトルネックになりやすいので、ギャップを特定し叩きに行くときに有用な方法です。

他にもいろいろありますが、この2つをケアできれば何かの糸口になると思いますので、ぜひ活用してみてください!





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?