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【会計】税効果会計が苦手な方へ。「スケジューリング」の考え方。

税効果のスケジューリング
 税効果が苦手な方には、「スケジューリング」の理解が条文で整理できていない方が多いです。
 繰延税金資産を計上して良いか否かは、①条文上スケジューリング可能とされている一時差異(将来減算・加算)か否かを判断し、②回収可能か否かを、会社分類やタックスプランニング等から判断します。そのため、大雑把に言えば、そもそも条文上スケジューリングしても良いとされていない一時差異については、回収可能性を判断できません。
 税効果が苦手な方は、①のスケジューリングに的を絞って条文を読み込み、頭に入れたうえで、会社分類等の回収可能性の判断に進んだほうが良いです。以下では、①を整理していきたいと思います。

スケジューリング不能な一時差異の定義
 回収可能性基準では、次のように定義されます。
「スケジューリング不能な一時差異とは、次のいずれかに該当する、税務上の益金又は損金の算入時期が明確でない一時差異をいう。」(基準3(5))
 定義では、回収可能か否かは関係ありません。スケジューリング不能な場合とは、定義のとおり、将来の解消時期が不明なので、回収可能か否かの判断(上記②)なんてできない状況です。つまり、『いつか解消する』で税効果が有るなんてありえないのです。
 なお、スケジューリング不能の一時差異について、基準の例でいえば、非償却資産に係る減損損失が該当します。土地等の非償却性資産は、売却によって一時差異が解消しますが、当該解消時期が不明であるため、スケジューリング不能な一時差異とされています。

スケジューリング可能か否かの留意点
 スケジューリング可能か否かについては、以下の点に留意が必要です。
 基準13項「 スケジューリング不能な一時差異のうち、将来減算一時差異については、原則として、税務上の損金の算入時期が明確となった時点で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上する。」そのため、先ほどの土地の例でいえば、売却等に係る意思決定又は実施計画等がある場合には、スケジューリング可能となります(基準36項(2))
 また、「ただし、期末において税務上の損金の算入時期が明確ではない将来減算一時差異のうち、例えば、貸倒引当金等のように、将来発生が見込まれる損失を見積ったものであるが、その損失の発生時期を個別に特定し、スケジューリングすることが実務上困難なものは、過去の税務上の損金の算入実績に将来の合理的な予測を加味した方法等によりスケジューリングが行われている限り、スケジューリング不能な一時差異とは取り扱わない。」(基準13項但書き)というように、見積り項目について、整理されています。






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