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加速者です。たいてい失敗しています。 映画と音楽から受け取るものを形にするため、note開始。

最近の記事

『パルプ・フィクション』最新型のジェットコースター映画

 時間軸をシャッフルさせ、最後まで観たら全てが明らかになるという、当時としては珍しかった手法の映画。タランティーノの最高傑作としては、最新作の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を待たなければならないが、この2作目にして、タランティーノは映画界の頂点に登り詰めた。  ジョン・トラボルタの、クールだが何かあるとすぐにヒートアップする、ヴィンセントのかっこよさ。プルース・ウィリスは、とても感情的で情に厚い生き様にグッとくる。サミュエル・L・ジャクソンは自分の哲学で生き

    • かむくら/ゆず香る鶏ラーメン

       ゆずのトッピングは大正解だろう。スープとも麺とも野菜ともとても合う。元々あっさりとしたラーメンだが、よりすっきりした食後感。鶏肉も食べやすいが、そこに美味の豚チャーシューも乗っており、2倍楽しめる。さらに煮玉子をトッピングしたので、舌が忙しい。それでも、おいしいラーメンは最強のメニューだと思うが、新メニュー試してみてよかった。

      • 『ザ・キラー』殺害の連鎖の先に訪れたある感情とは?

         ある任務失敗により、雇い主を相手に戦うことになった暗殺者。 世界中で追跡劇を繰り広げる彼は、それがかたき討ちであっても目的遂行に個人的な感情を持ち込まないよう自分自身と闘い続ける。  とにかくフィンチャーの作る画が凄すぎる。決めっ決めの連続。映画的快楽を通り越して、こちらにもかなりの集中力を要求する、圧巻の映像世界。  また、キラーがかける劇中歌のthe smithsがかわいい。レズナー&ロスの劇伴もやはり素晴らしいし、あるシーンで流れるポーティスヘッドは、ちょっと今思い出

        • 『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』傷を曝け出し合った先の真の友情

           マット・デイモンとベン・アフレックの共同脚本、親友役での共演というそれだけでmoveしてしまう事件。今や伝説?デイモンもアフレック兄弟も若過ぎて、タイムスリップしたみたい。  ボストンに住む青年ウィルは、幼い頃から天才ゆえに周囲から孤立していた。だが、彼の才能に気付いた数学教授のランボーは、ウィルに精神分析医のショーンを紹介する。ウィルはショーンにしだいに心を開いてゆくが。  ウィルは過去の生い立ちからのトラウマを、ショーンは妻の死の傷を、曝け出し合う。その先にあった、真の

        『パルプ・フィクション』最新型のジェットコースター映画

          『まともじゃないのは君も一緒』普通さより大事なもの

           数学一筋の予備校講師・大野は、普通の結婚を夢見ながらも「普通」が何なのかを分からずにいた。そんな時、彼の前に自らを恋愛上級者だと思いこむ女性が現れる。彼女は実際には恋愛経験が無いにも関わらず、普通の恋愛に憧れる大野に対して思いつきでアドバイスをする。そして、大野が自分の言葉を信じて行動する姿を見た彼女は、彼を利用したある計画を思いつく。  清原果耶のコメディエンヌぶりがめっちゃ強烈で、しかもso cute。成田凌がそれに負けてないのも凄い!ライオンのおっちゃんの息子は大嫌い

          『まともじゃないのは君も一緒』普通さより大事なもの

          『タクシードライバー』名優ロバート・デ・ニーロ、キャリア最高の怪演

           デ・ニーロ出演作品で最も好きなのは『ディア・ハンター』なのだが、この映画のデ・ニーロは凄すぎる、どうしたらいいの?ってくらいすごい。銃撃シーンの動きは脱帽するほどリアルでイマジネイティブ。デ・ニーロに釘付けになる。狂気と哀愁の演じ分けも巧みで、表情で繊細に表現されている。  また、デ・ニーロ演じるトラビスのベッツィーに対しての言動が、今じゃストーカーで、自分と照らし合わせて、めっちゃ応援してしまう。(筆者最低じゃねぇか!)デートでポルノ映画に連れてきたときは、手に汗ですよ。

          『タクシードライバー』名優ロバート・デ・ニーロ、キャリア最高の怪演

          世界情勢も日本の状況も大変になってきたけど、それと相対的に文化が面白くなってる。特にアメリカ!それと、new jeansの最期のきらめき。コロナは文化的隆盛を生まなかったが、世界中で貧富の差が拡大し、戦時下であることが、確実に響いてきているのを感じる。

          世界情勢も日本の状況も大変になってきたけど、それと相対的に文化が面白くなってる。特にアメリカ!それと、new jeansの最期のきらめき。コロナは文化的隆盛を生まなかったが、世界中で貧富の差が拡大し、戦時下であることが、確実に響いてきているのを感じる。

          『スワロウテイル』映画的自殺と感動的な詩情

           小林武史のテーマ曲が響き渡ると、「円都」にまた私は帰って来て、切なさでいっぱいになる。すぐに、演技に対して行き届いていない演出、無駄にブレるカメラ、逆光ばかりの照明、功を奏さない暗い映像で、魔法は解ける。そんなときに訪れる、信じられないほど美しい映像にまたムーブされる。その連続。良い面と悪い面がこんなにはっきりしている映画も珍しい。  超豪華キャストの中で最高の演技を見せた、当時少女にして新人の伊藤歩。少しの表情の変化で観る者に強く訴えかける。「円盗」のヒーローを演じる江口

          『スワロウテイル』映画的自殺と感動的な詩情

          『バービー』架空の世界よりも現実が素敵なすべての理由

           グレタ・ガーウィグがこんな最高な娯楽大作を撮ると予想していた人は、前作の時点で一人もいなかっただろう。バービーワールドはとても良く作られているが、それ以上に素晴らしい現実世界。生きて死ぬ世界がこんなに美しいとは。対比により顕になる世界のかけがえなさ。あらゆる醜さを含めて美しい。それを体現するマーゴット・ロビーの変わりゆく演技の素晴らしさ。全てを決定づけるビリー・アイリッシュの主題歌の美しさ。感動。  この脚本を形作ったのが、グレタ・ガーウィグとノア・パームバック夫妻だという

          『バービー』架空の世界よりも現実が素敵なすべての理由

          『アメリカン・ハッスル』詐欺師が捨てられなかった友愛とは?

           引きから何度も効果的にクローズアップされる主人公たちを、ラッセルは狂おしくもリアルかつエモーショナルに描く。役作りで激太りにして髪を引き抜いたクリスチャン・ベールの演じる詐欺師の生き様のかっこよさ、エイミー・アダムスのフェロモンたっぷりのセクシーさ&タフネス、ハイ・エナジーな狂気のブラッドリー・クーパー、ビッチでイルなジェニファー・ローレンスなど、俳優陣の魅力を余すことなくスクリーンに焼き付けている。  劇中曲も俳優の動きや状況、情景とシンクロさせる巧みさ、衣装の70s感あ

          『アメリカン・ハッスル』詐欺師が捨てられなかった友愛とは?

          『セブン』観る者の心に傷を残す7つ目の大罪の恐ろしさ

           引退を控えたベテラン刑事サマセットは、新米刑事ミルズと共に殺人事件を捜査することになる。2つの現場には、同様に文字が残されていた。それを見た彼は、キリスト教における「七つの大罪」に絡めた犯行と気づき、殺人が続くことを予測するのだが。  今観て思うのは、ブラッド・ピットには現在ほどの表現力がない。ただそれはミルズの未熟さを際立たせていて、この映画の中で上手く機能している。そして、むちゃくちゃかっこいい。  フィンチャーも作今の作品ほどの完璧さはないが、暗くもクールな映像やカメ

          『セブン』観る者の心に傷を残す7つ目の大罪の恐ろしさ

          『ほつれる』明らかになる終わりとずっと続いていた終わり

           加藤拓也監督の2作目『ほつれる』について。今自分が夢中になっている行為が過ちだと分かっているときの苦しさ。それがずっと続いていく映画。夢中になっていたことが終わりを迎えても、過ちは続いていく。その苦しみに決着が着くときがタイトルで、それがラストなんだけど、何も解決しておらず、ただ終焉を迎えたという。一瞬の解放感とやり場のない憂鬱。  事実を回避しながら会話をしていた夫婦が、事実を話したとき、堰を切ったように感情が溢れ出す。一番残酷で、一番胸に迫るシーンだった。  この映画は

          『ほつれる』明らかになる終わりとずっと続いていた終わり

          今を生きるセックス・シンボル、デュア・リパの強烈な魅力

           デュア・リパの最新曲のビデオを観て彼女の魅力について感じたのが、性的エナジーの解放、男性とのそのシェア、声色・音の美的センスの追求、ファッションを含めたセクシーさというふうにオーソドックスなのだが、そのビジュアルのセクシーさと曲のエナジーの強さで、問答無用の魅力を放っている。  私はオリヴィア・ロドリゴも好きだが、彼女をシンガーソングライターとして愛聴しても、彼女にアイコンとしての魅力を感じないし、シンガーとしてこんなふうに求めるのは、スカイ・ファレイラ以来か。女優にのめり

          今を生きるセックス・シンボル、デュア・リパの強烈な魅力

          『エイリアン』おぞましい恐怖に支配されるSFホラーの金字塔

           鑑賞時、精神状態が悪かったこともあるが、静謐の中で感覚が研ぎ澄まされ、かつてない恐怖に襲われた。リドリー・スコットは、監督2作目にして、焼き直しの決してできない、SFホラーの金字塔を立ち上げた。本作以降、続編だけでなく、後発のSFホラーは数多く作られたが、この映画には遥かに及ばないだろう。  それにはH・R・ギーガーのエイリアンのおぞましいデザインも影響しており、その登場の恐怖をスコットは巧みに演出する。また、宇宙船のデザインもグロテスクで、舞台設定も見事である。  今でも

          『エイリアン』おぞましい恐怖に支配されるSFホラーの金字塔

          『ブロークバック・マウンテン』恋により失い、恋により得た人生

           アメリカ中西部の広大な山地を舞台にした、2人の男のフラジャイルな恋。結婚生活が上手くいかなかったのは、彼ら2人の気質か?それとも、秘密の恋の時間があったからか?その両方か?  ヒース・レジャーはほぼ表情を変えず、ときに変えた瞬間、エモーションが爆発していた。ギレンホールはすぐに所作にあらわれる役で、2人の交錯する演技と一線を越える際のリアルさが最大の見もの。  同性愛を異質なものというより、誰でも踏み越えてしまう近いものとして描かれているようで、観ていてどこか居心地が悪くも

          『ブロークバック・マウンテン』恋により失い、恋により得た人生

          『グラン・トリノ』血の繋がりとは異なる大きな友情

           イーストウッドの登場とともにビビる。スクリーンで観てきたどの彼よりも、怖い。ずっと怒ってる。上手く子どもたちとやってこれなかった。足りないものばかり。  そんなとき隣に住んでいるモン族の家族と親しくなる。自然に国や世代を越えた友情が生まれる。イーストウッド演じるウォルト自身も変わっていく。その表現は一筋縄にはいかない。言葉遣いも表情も、観客から観てほとんど変わらないのだ。男は行動で示すべき、とイーストウッドは残りの生涯をもって、行動で彼らへの感謝とけじめを示す。その姿は感動

          『グラン・トリノ』血の繋がりとは異なる大きな友情