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ストーン・ブラッド『UPSTARTS』

こちらにも書いたとおり、ライドシェアに興味がある吉村です。
先日、GOの上場準備が発表されましたね。23/5期は売上高180億円見込みでした。日本でライドシェアが本格解禁されると少し市場が拡大して、シェアが割れる形になるのだと思います。GO、Uber、SRide、その他という構図になるんだろうと思うのですが、日本でどんな風にライドシェアが発展するのか楽しみです。

本書は、Bloombergのジャーナリストが緻密な取材を重ねてUberとAirbnbという巨大スタートアップの創業からグロースまでを描いた完全ノンフィクション作品です。

本書に描かれる両社とも既存のタクシー業界、ホテル業界からの反発を受けながら成長してきたシェアリングエコノミー企業です。今回はUberの部分だけを読むつもりだったのですが、Airbnbの部分も面白くて読んでしまいました。

基本的には各社の創業話と、その後州政府とのやり取りや法規制にどんな風に対応してきたのか、対応出来なかったのかがリアルに描かれた作品です。感想としては「大変だったんだなぁ〜」みたいな稚拙な表現しか出てこないのですが、学んだことはいくつかあるかなと思います。 

①違法状態でも進める
どちらも新しい産業なので、グレーだったり法を適切に解釈するとブラックだったりしています。ただ、その中でも事業を前に進めていました。これは大手には出来ない戦い方だなぁと思いましたが、トラビスの法則(Uber創業者の名前にちなんで)、すなわちとある地域で一気にユーザーを増やし、ユーザーを味方につけて政治活動を行い、民意の力で法を変えることが出来る法則を使って事業推進をしてきたということです。当然、ものすごい数の訴訟をされ勝ったり負けたりしていました。
そんなパワープレーがあり得るのかと思いましたが、実際にはそれで特にUberは成功を収めているようでした。

②最初からうまく行くとは思っていなかった
やってるうちに事業を信じられるようになって人に迷惑をかけようがお構いなしに、なんとか成功させようとしていた点が印象的でした。
最初は思いつきで事業を始めて、お客さんが何人か出来て、自分たちが想定もしていないことが起きてグロースしていました。
単なるアイデアを実行したら次第にそれが信念に変わっていく様子が描かれていて、実際そんな感じだったんだろうなぁと。

③タフすぎる
色んなトラブルや死亡事故も起こしながら、また全世界で大規模なデモを起こされながら、それでも止まることなく事業をドライブさせていくのは、どこか狂っていないと出来ない事だと思いますが、今完全にマーケットフィットをしていることから考えると、創業者たちは「絶対に世の中はそっち側に落ちる」という確信があったのだろうなと感じさせられました。
どんなことがあっても、やり切るサイコパスさゆえにここまで大きくなったんだろうなと。

ライドシェアについてガッとインプットしたくてUber関連の本を何冊か読んでますが、今のところ物語として描かれているので本書が一番面白かったです。

また、Uberがかなり本気で自動運転を見据えていることも、Googleが随分前からその分野に投資していることも学びになりました。
本書を読んで、きっと自動運転の時にも事故が発生して色んな騒ぎが起きてデモが起きて規制されて(現在SFで起きてることですが)、それでもきっと自動運転に世の中は落ちていくんだろうなということを改めて強く認識させられたのでした。

※本noteで利用しているAmazonリンクはアソシエイトリンクを使用しています

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