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インクルーシブマーケティングの可能性を話そう! -マーケティング研究会-

メンバーズ・コミュニティの「マーケティング研究会」が1月25日(第四水曜日)に定例会を開催しました。
テーマは「インクルーシブマーケティングの可能性を話そう」でした。そして、筒井八恵さんがファシリテーターを務めてくださいました。
筒井さんは助産師としてキャリアをスタートして、今はXTalent株式会社でDEIコンサルティング事業の事業責任者として活躍されています。
詳細は下記の筒井さんのnoteをご覧ください!

前半は筒井さんからインクルーシブマーケティングについてお話しいただき、後半はグループに分かれての意見交換です。

筒井さんのお話は「インクルーシブマーケティングとは何か?」からスタート。
それは「人々の多様性を捉えた、包摂的なマーケティング概念のこと」と説明してくれましたが、「インクルーシブマーケティングについて話す上で、DEIを理解する必要がある」とのことで、DEIへ話題が移りました。
D:Diversity 多様性
E:Equity 公平性
I :Inclution 包摂性

Netflix社のInclusion Strategy副社長のVerna Myers氏は、「ダイバーシティとはパーティに誘われること。インクルージョンは踊りに誘われること」と説明されているそうです。
その場に居る(Diversity)だけではなく、その活動に参加して、意見が吸い上げられて組織の意思決定に影響を及ぼす(Inclution)ことが大切で、そのために公平な機会提供(Equity)が必要という繋がりです。

Diversity、Equity、Inclutionの関係性
筒井さんのプレゼンテーション資料より(Copyright XTalent, Inc. All rights reserved)

では、次に「公平な機会提供(Equity)」の解説です。下記の筒井さんのプレゼンテーション資料が非常に分かりやすいと思います。
4つのシチュエーションの違いが明確に表現されていると思います。一番左が現実、そして平等⇒公平⇒公正(解放)と理想に近づいています。

Equity(公平)とEquarity(平等)の違い
筒井さんのプレゼンテーション資料より(Copyright XTalent, Inc. All rights reserved)


そして次は、「なぜマーケティングにDEIが必要なのか?」というお話です。
社会全体において価値観が多様化しているという市場観点と、事業観点においてもブランディングやファン形成にダイレクトに関係することや、企業の組織においてもDEIにより生産性やクリエイティビティが向上するため、欠かせない要素となっています。

なぜDEIが必要か?
筒井さんのプレゼンテーション資料より(Copyright X Talent, Inc. All rights reserved)


そして具体的な事例として、
一つ目は、土屋鞄製造所のジェンダーレスランドセル「RECO(レコ)」シリーズ。「男の子は黒、女の子は赤」ではなく、性別を問わず背負えるモダンなベーシックカラーから、個性豊かな華やかなカラーまで多彩なラインナップが特徴です。売れ行きも好調とのこと。

二つ目は、インクルーシブビューティの分野です。障がいや何かしら不自由を持った人でも使いやすく設計されたコスメが海外で多く登場しており、今後はさらなる市場の拡大が見込まれているようです。

そして三つ目がバービー人形です。
バービー人形を販売している玩具メーカーのマテルは、2019年車椅子や義足のバービー人形の発売を発表しています。以前から肌の色や体型などは多様性を受け入れた商品展開をしていましたが、今回は身体障がい者も含まれています。人形用の車椅子デザインはUCLA Mattel子ども病院と協同してデザインしたというこだわりを持っています。

(左)車椅子のバービー (右)義足のバービー
マテル社のinstagramより転用


ところで私の個人的な疑問として、「車椅子や義足のバービー人形を作ることで企業としてDEIのメッセージを発信していると思うが、車椅子や義足のバービー人形は売れているのか? 売れていなければ商品としての価値があるのか?」というものでした。
そこで、マテル社について調べてみました。2022年には補聴器をつけたバービー人形を発表していました。

補聴器を付けたバービー人形
マテル社のinstagramより転用

上記の記事の中で、


補聴器をリアルに作るために、専門家のジェン・リチャードソン医師とタッグを組んだ。リチャードソン医師は「補聴器をつけたドールを正しい形で再現できたのを光栄に思う。幼い患者たちが自分に似たドールを目にし、遊ぶことができるのはこの上ない喜びだ」とコメントをしている。
医師が語っているように自分たちと同じルックスがドールとして再現されているのを見ることは、自分たちの存在が社会で認められていると実感する上で非常に大切。
マテル社の上級副社長兼バービードールのグローバル責任者であるリサ・マックナイト氏は「自分とは異なるドールと遊ぶことはインクルージョンの重要性を理解する上で重要だ」とコメントしている。


と記されていました。
そして、マテル社のサイトを見ると、バービーの歴史が記されていました。

1959年:バービーがデビュー
1965年:宇宙飛行士のバービーが登場
1980年:多様性ドールとしてブラックドールやヒスパニックドールが登場
1985年:CEOのバービーが登場
1992年:大統領に立候補するバービーが登場

人類が月面着陸する4年前に既に宇宙飛行士のバービーが存在しており、1985年には“We Girls Can Do Anything”という広告キャンペーンを実施したそうです。
このバービーの歴史をみたときに、マテル社は正にインクルージョンの状態(パーティでダンスに誘われている状態)なのだと理解をしました。
だから、車椅子や補聴器は本物と同じように再現することが重要という意味も納得できます。
商品としてあればいい(パーティに招待された状態)ではなく、売れる売れないのレベルではなく、なくてはならない商品という存在だと理解しました。

今回の筒井さんの「マーケティング研究会」を通じて、DiversityとEquity、Inclutionの繋がりについて腑に落ちました。
筒井さん、どうもありがとうございました!!


ところで、マーケティング研究会は、代表の小磯卓也さんがファシリテーターを務める会もあれば、「〇〇のテーマで話し合いたい!」と希望があればその方にファシリテーターを務めていただく会もあります。
(今回は「インクルーシブマーケティングについて議論をしたい」という筒井さんの希望により実現しました)

ファシリテーターを務めるのは勇気がいると思いますが、チャンレジし甲斐もあると思います。そして、全く一人で行うのではなく、さり気なく小磯さんがフォローして下さるのでとても力強いです。
次回の定例会は3月の第四水曜日(29日)に開催します。テーマは「AIを活用した『デジタルマーケティング手法』」です。今話題のGPT(Generative Pretrained Transformer)を使ったAIの可能性について話し合いをします。ファシリテーターは小磯卓也さんです。
是非ご参加ください。

アカデミーヒルズ 熊田ふみ子

#アカデミーヒルズ #メンバーズ・コミュニティ #ダイバーシティ #インクルージョン #バービー人形 #平等と公平 #DEI


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