見出し画像

人が成長できる可能性・機会をテクノロジーで実現する

ライブラリーメンバーが集うリアルイベント「ライブラリーラウンジトーク」を毎月開催をしていますが、2月は17日(金)に福原正大さんをゲストにお迎えして、「AIによる評価は、人事・人材育成のあり方をどう変えるか?」をテーマに語り合いました。


福原さんを私なりに表現すると、「最新のテクノロジーを活用して、人が成長できる可能性を高め、学ぶ機会を創っている人」だと思います。
2010年にInstitution for a Global Society株式会社(IGS)を立ち上げて、AIを活用したピープルアナリティクスのGROWなどのサービスを展開されています。


AIを活用したGROW

GROWは、2017年にHarbard Business Schoolのケースとして取り上げられ、講義で白熱した議論が展開されて現地でも話題となりました。その翌年の2018年にアカデミーヒルズでご講演いただいたのが、福原さんとの最初の出会いです。

福原さんの根底にある考えは「人は変われる。そのためには正しい評価(フィードバック)が必要である」というものだと思います。
そのためにGROWは、“気質×コンピテンシー(行動特性)×スキル”で人の特性や能力を可視化して、バイアスを除いた適切な評価(フィードバック)を提供して次へ繋げる仕組みです。
特徴としては、360°評価にAIを活用した評価補正を掛け合わせ、信頼性の高い他者評価を実現していることと、IAT(Implicit Association Test)と呼ばれる潜在的な傾向チェックで隠れたパーソナリティやバイアスを可視化をしています。ここに最新のテクノロジーが使われています。

IGSのサイトより転写
  • 気質:本人も認識できない生まれ持った潜在的な性格。後天的に変化しづらい部分です。GROWでは、科学的検証が最も進む「Big 5」(内向性↔外向性、保守性↔開放性、平穏性↔繊細性、独立性↔協調性、自由性↔自律性)を尺度にしています。

  • コンピテンシー(行動特性):課題設定、創造力といった個人の行動特性。OECDが定義したキー・コンピテンシーのフレームをベースに、グローバルで活躍する人材の普遍的な行動特性を「25項目」で定義しています。

  • スキル:ITリテラシー、企業特有の専門性、STEAMなどの知識や能力です。

  • バイアス:不合理な判断に繋がる、先入観や直感、願望などによる思考の偏りで、GROWではデジタルに対するバイアスや心理的安全性を阻むバイアスなどを測定することができます。


ブロックチェーン技術を使ったONGAESHIプロジェクト

福原さんは新しいテクノロジーの活用として、ブロックチェーン技術を使ったデジタル人材育成・採用一体型の新サービス「ONGAESHI(オンガエシ)」のプロジェクトに参画され、今年の9月の提供開始に向けて活動をされています。
このサービスは、「リスキリングが無償化される、デジタル人材育成・採用一体型のサービス。IT業界に就職や転職を希望する人に対して、無償でスキルアップのための講習を提供し、その人が就職・転職を行った際には、採用企業から採用費用の一部を供与してもらい、その費用で講習費用を賄う。ONGAESHIでの共有価値は、育成に貢献した人々・コミュニティ全体に対して、教育への資金還元を進めることで持続的な成長環境を提供すること」としています。
ニュースリリースはこちら

ブロックチェーンを活用したデジタル人材育成・採用一体型の新サービスONGAESHIの概要(©2023 ONGAESHIプロジェクトチーム)

このサービスによって、育成に貢献した人が報酬を得る仕組みを構築でき、その結果、教育に関心が低かった人も育成に参加しやすくなり、みんなでデジタル人材を育て、就職に繋げることが実現できます。
ネーミングにプロジェクトの想いが表現されていると思います。


Chat GPTに注目!

福原さんが注目する次のテクノロジーは、やはり今話題になっている汎用型AI, Chat GPTです。
「AIの機能を格段に向上させたディープラーニングは、2005年初めて論文として発表されたが、その威力を発揮するまでに10年程度の年月が必要だった。汎用型AIは2030年頃まで無理だろうと思われていたが、こんなに早く実現されるとは思っていなかった。そしてChat GPTはスタートしたばかりだが、既に高い性能を発揮している。テクノロジーの進化はどんどん加速している。」と、Chat GPTを評価しています。

「AIが進化することで仕事が奪われてしまう」など、テクノロジーの進化をネガティブに捉える考えもありますが、福原さんは「テクノロジーの進化で、人間の可能性が拡がる、拡げていけるようにテクノロジーを活用したい!」とポジティブに考えていらっしゃいます。
今後もテクノロジーの進化に伴って、福原さんがどんなサービスを開発されるか楽しみです。

イベント会場にて記念撮影


ところで、福原さんには、2019年のInnovative City Forumにおけるビッグデータをテーマにしたセッションにご登壇いただきました。
事前インタビューはこちらです。
また、慶應義塾大学大学院の山本龍彦教授との対談は下記を是非ご覧ください。


アカデミーヒルズ 熊田ふみ子

#アカデミーヒルズ #chatgpt #汎用型AI #ビッグデータ #ブロックチェーン #コンピテンシー #innovativecityforum #GROW

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?