ホロロギ

北海道出身のゲームクリエイター志望。シナリオ担当。イラストも描けるがアマチュア。週に一…

ホロロギ

北海道出身のゲームクリエイター志望。シナリオ担当。イラストも描けるがアマチュア。週に一度、なんらかの記事を投稿している(たまに休む)。

マガジン

  • 創作物の陳列棚

    短編小説、コミックエッセイなどです。「この人、普段どんなの作っとるんだ?」と思われたら、是非覗いていってください。

最近の記事

君の意見は聞いてませんという出来事

若い頃は特に、職場の上司に「君の意見は聞いてませんよ」という態度を取られることが多かった。 十九歳の時、一年間、事務のアルバイトをしていた。 当時、係長のもとに、六十代くらいの男性が、しばしばお客さんとして顔を出していた。 その日も男性はやって来て、立ったまま係長と何かを話していた。 どういう経緯だったのかは覚えていないが、「グスベリ」って何だろう、という話題になった。 「グスベリ」というのは「グーズベリー」の通称である。 ジーニアス英和大辞典によるとgooseberryと

    • 創作者クラスチェンジ!

      創作を円滑にするための型を、いろいろと試したり、使いやすく微調整したりしている。 例えば、物語を作る上で「起承転結」という型がある。 これを「起承転転」にして、「結」を読者に意識させないくらい、あっさり控えめにした方が収まりがいい、とか。 そういう型の試行錯誤をしている。 前は、こういう理論を、自分の創作に適用することをしなかった。 書きたいものを、書きたいように書いていた。 他者の創作論などを読むと、「自分の書きたいものを書くのではなく、読みたいものを書きなさい」という

      • 魔王ホロロギと鼻の孔のデカい勇者

        作家が小説を書くにあたって、最初にテーマを決める。 その後、どういう表現をするかを考える。ストーリーやキャラクター、結末などを決めていく。 角田光代さんや辻村深月さんといったプロ作家のインタビューを拝見すると、それぞれ決まった創作のプロセスがあるようだ。 いくつか創作論の本を読んだところ、ドラマが生まれるのは多くの場合、誰かと誰かが対立した時だ。 いや、対立とまでいかなくてもいい。ただ一緒に行動するだけでも、互いに影響し合い、ドラマが生まれる。 人間関係というものは、軋轢も

        • 人から影響を受けやすいよね

          感受性が良いことを褒めてもらえるのは、十歳くらいまでだと思う。 それを過ぎると、途端に「クサイ」「厨二病」と誹謗されがちだ。 豊かな感性から生まれたはずのイメージや言葉が、だんだんと周りの感性にそぐわなくなっていくのだろう。 私が十六歳の時、思春期らしく、親のことで悩んでいた。 親が過干渉で、好きなロックバンドのライブに出かけることができなかった。 同級生たちは、高校に進学した途端に髪を染めたり、彼氏彼女ができたりと、思い思いに遊んでいる。 それなのに私は、従順で真面目でな

        君の意見は聞いてませんという出来事

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        • 創作物の陳列棚
          6本

        記事

          フォトジェニックな人

          うつ病は、心身とも、強い疲労感にさいなまれる病気だ。 とはいえ、家にこもってばかりになると、体もなまるし、気も滅入ってくる。 適切な抗うつ薬が処方され、外に出られるようになったのは、かれこれ十年ほど前になる。 ある日、一念発起し、Nikonのデジタルカメラを買った。 インスタグラムにアカウントを作り、発表する場所もできた。 精神科の主治医には、写真を撮る目的での散歩をすることに、大いに賛同してもらえた。 天気のいい日はできるだけ、カメラをぶら下げて外出するようにした。 バッ

          フォトジェニックな人

          佐藤宏美個展「mymyth」の思い出

          ゲーム制作の相棒が、先日、とある個展に行きたいと言い出した。 「何の個展?」と問うと、見せられたのがこの記事のヘッダー画像。 色彩のない写真だったこともあり、私は最初、何かの生き物の死骸かと思った。本当は死骸ではなかったものの、生命の重さやリアリティのようなものが見て取れた。 それが、アーティスト・佐藤宏美さんの創作物の第一印象だった。 佐藤宏美さんの個展「mymyth」(マイミスと読み、「私の神話」という意味)へ、そんなわけで相棒と行ってきた。 初日の18時から、ギャラリ

          佐藤宏美個展「mymyth」の思い出

          マンガ「ぶんかちゅ」

          キャラクター原案:暗号化エンリ 作画:ホロロギ

          マンガ「ぶんかちゅ」

          笹倉鉄平のアーティスティックな瞳

          笹倉鉄平という画家をご存知だろうか。 海外の港の風景をファンタジックに描く人で、「光の情景画家」と呼ばれる。 私がこの画家の絵を知ったのは、二十歳くらいの時だった。大きい文房具屋の一階にカレンダーの売り場があり、そこで販売されていた一つが目に留まった。 やんわりとした青と紫の溶け合う宵闇に、ふわっと染まっている港町が、うきうきするような光であふれている。笹倉鉄平の絵を用いたカレンダーだった。 アートについて門外漢の私は、「どうしたらこんな景色が見えるんだろう?」と素直に思った

          笹倉鉄平のアーティスティックな瞳

          ワコム国際芸術祭2024の思い出

          noteでの投稿が、とうとう100回を数えました。 今日はイベントレポなどをしてみようと思います。 今年2月17日、北海道札幌市で行われた「ワコム国際芸術祭(WIAF)」に、私は相棒とともに行ってきました。 私も相棒も、ワコム製品のヘビーユーザー。二人ともCintiq 16という液晶タブレットを使って、修行をしたり作品を作ったりしています。 このほど、ワコムのイベントが、札幌市民交流プラザで催されるということで、二人で足を運ぶことにしました。 札幌市民交流プラザを訪れるの

          ワコム国際芸術祭2024の思い出

          縦スク漫画「君の頭の中どうなってんの?」(2)

          縦スク漫画「君の頭の中どうなってんの?」(2)

          短編小説「大卒ぼんくら」

          最後に、彼女は言った。 「あなたは、きっと何言われても、わかんないよ」 顔はこちらを向いているのに、まともに目を合わせともしない。 うんざりしたような表情を背けて、玄関のドアノブをひねる。 その華奢な背中に、俺の影が必死にすがりついている。 だけど彼女はひとりで玄関を出る。まばゆい白日が、彼女を迎え入れるように陽射しを下ろしている。 そんな光景も束の間。容赦なく閉められたドアが、俺の鼓膜をびくっと震わせた。 ベッドにぐったり横たわったまま、ずぅっと天井を眺めていた。 他にで

          短編小説「大卒ぼんくら」

          不細工で短足、そこがいい

          前の職場で、猫のデジタルイラストを描いたことがある。 私はいわゆるブサ猫、不細工な猫が好きだ。大好きだ。だから、その時描いていたイラストも、不細工で短足な猫だった。 すると、たまたま通りかかった同僚が、そのイラストの猫にダメ出しをしてきた。 まず、猫に見えない。 顔が大きい。鼻が低い。いっそ別の生き物に見える。 おまけに短足で尻尾が短く、美しさに欠ける。 毛の色も全部ネズミ色で、印象も良くない。 「あなた、背景を描くのは上手なのにね~」とか何とか言って、まったく違うデザイン

          不細工で短足、そこがいい

          うまくいかない時は基礎

          新しい作品づくりを試みようと、情報や知識をインプットしている。 興味のある分野の本を買って読んだり、YouTubeで専門家の話を聞いたり。 いざ、アイディア出しになると、うーんうーんと頭を悩ませる。 さっぱり手が動いてくれない。 ああでもない、こうでもない。 あれもボツ、これも使えない。 気がつけば、鈴木雅之の名曲「違う、そうじゃない」をリピートして聴いていたりする。 アイディアを出す環境については、リラックスしている時、何度でもいくらでも失敗していい環境が、理想的だと思う

          うまくいかない時は基礎

          短編小説「グズの男」

          これは、後から聞いた話だ。 俺も、そいつの身の上については、何も知らなかったよ。だって、ろくに会話したことなかったもの。 あるとしたら、そいつが俺の店にやって来て、一番安いラーメンを注文する時だけ。食って、会計して立ち去るまで、雑談なんかする余裕なんかない。こっちも、住宅地の真っただ中にある食堂とはいえ、仕事帰りの若いやつらが、そこそこやって来る。一人で営んでいるんだから、客と話しているゆとりなんか、これっぽっちもありはしないよ。 そいつを見た限り、いつもげっそりした顔で、

          短編小説「グズの男」

          君が君なのは偶然じゃない、必然だ

          作品を作っていると、偶然性に頼りすぎているな、と感じたことがある。 そもそもアイディアというもの自体、私は偶然に頼っていた。 カラーバス効果というものがある。意識していると、街を歩いて風景を眺めるだけで、欲しい情報が目に留まるようになる。 それに頼って、普段からアンテナの感度を上げ、いくつかのキーワードに似つかわしい情報を収集していく。 さながら、餌や仕掛けを使わずに釣りをするようなものだ。 そうして、いざ作品の設定を考え始めると、偶然得られた情報同士を組み合わせていくこと

          君が君なのは偶然じゃない、必然だ

          こういう年の取り方をしたい

          青春時代にファンだった歌手が、年齢を重ねた現在、ふたたびマイクを握っている。そんな動画を、私はしばしば視聴している。 今流行りの楽曲をカバーしたり。 若かりし頃のヒット曲を、キーを下げて歌ったり。 伝説的なロックバンドの歌手でさえも、ファルセットやビブラートなどの発声が変わっていたりすると、「この人も大人になっちゃったんだなぁ」と感慨深くなるものだ。 寂しくなることもあったが、「こんな年の取り方もいいな」と思い直すことが、このごろ増えてきた。 若かりし日の、ハリのある高音

          こういう年の取り方をしたい