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お笑い第7世代の芸人は「終わった」のか?

https://news.yahoo.co.jp/articles/25eea6e7d244681892e40e2c97e27f9451fad197

お笑い第七世代ブームの終焉。
数か月前に目にした記事だ。
確かにブームは終わっただろう。
だが、この枠に(wikipediaやネット記事等で)括られている芸人たちが芸人として終わったかというのはまた別の話だ。


第七世代の芸人に当てはまるのが

霜降り明星、EXIT、ミキ、ハナコ、四千頭身などだ。

ヤフコメなどで書かれる第七世代についての意見に多いのが「つまらない」である。
それはネタがつまらないのか、テレビタレントとしての芸がつまらないのか、という事になるが、上記の件に関しては後者だと感じる。

私が高校生の頃(2002年あたり)、お笑いブームが起こった。
アンジャッシュ、アンタッチャブル、キングコング、インパルス、陣内智則、青木さやか…数えればキリがないほどブレイクした芸人が頭角を現していった。
この辺の芸人は「お笑い第5世代」に括られているらしい。
現在と圧倒的に違う所は「ネタ見せ番組」の有無である。
当時は「爆笑オンエアバトル」「エンタの神様」「笑いの金メダル」とネタ見せ番組3大巨頭があったため、私たちはネタとテレビタレントとしての芸人の姿を見ることができた。
しかし、今はゼロである。
2000年代後半に「爆笑レッドカーペット」や「あらびき団」などのネタ見せ番組はあったが、それも終了してしまった。
テレビで芸人のネタを見る機会は「M-1」などの特番でしかないのだ。

ネタを見る機会が少なかった芸人というのは「なぜ面白いかわからない」と言われる事が多い。
(第七世代を除き)例を挙げるとロンドンブーツ1号2号、サバンナ、パンサーあたりだろうか。
ロンブーはすぐにブレイクしレギュラー番組を持ち始めたのでネタ見せする機会がなかったと思われる。(ネタそのものは持っているよ)
サバンナに関してはエンタの神様で高橋茂雄が出演していた「犬井ヒロシ」というキャラは知っているがコンビとしてのネタは見たことがない。
パンサーは劇場でネタ見せはしていたのだ(今もっとも出待ちが多い芸人なんて言われていた時期があったし)がネタをテレビで見たことがあるかと問われたら見たことがない。
彼らがブレイクしたと思われるのが2010年頃、ちょうど「爆笑レッドカーペット」そして「爆笑オンエアバトル」のレギュラー放送が終了した。
ネタ見せ番組がテレビから消えた時期にブレイクしているのだ。

パンサーは括りで言うとお笑い6.5世代にあたるらしい。
かまいたち、チョコレートプラネットもここだそうだ。
では第6世代は誰なんだというと
千鳥、ハリセンボン、NON STYLE、オードリーが該当するらしい。

この世代の特徴というのは、「ネタの面白さよりもキャラクターが受けた」人たちが多いように感じる。
第6世代の皆さんはオンエアバトルに出演していた事もあるためネタの面白さはお笑いファンには熟知されていただろうが、大衆が知るきっかけになったのは「キャラクター」だと思う。
千鳥の強烈な岡山弁、近藤春菜さんの角野卓造ネタ、ノンスタ井上氏のナルシストキャラ、オードリー春日氏のちょっとウザめキャラなど。

現在のお笑い第7世代は第6世代の人たちに比べ、より「キャラクター」で判断されていると思う。
それ以前、芸人の面白さを判断する基準は「ネタの面白さ」重視だったのが少しずつキャラの面白さへ比重が移っていき、今に至っているのではないか。
だからこそ、少しでも「つまらない」と感じた瞬間「こいつらつまらない」とすぐに結論づけてしまうのではないか。

ネタが面白い=テレビタレントとしても面白い

必ずしもイコールではない。
昔と比べて現在、若者は決まった時間に決まった映像を見ていない事の方が多い。年配の方もそうだろう。

ここからはちょい偏った余談になりますが

お笑い第七世代のほとんどはYoutubeにネタをアップしている。
再生回数が100万を超える動画もチラホラある芸人さんもいる。
が、個人的にYoutubeなどの動画サイトにあるものというのは共有されにくいのではないかと感じるのだ。
テレビ番組だと「昨日のあの番組見た?」が
動画だと「〇〇さんのあの動画見た?」になるのだが
動画というのは詰まる所「いつでも見れる」ものだ。
そのいつでも見れるというのは「とりあえず見ておく」につながるのではないか。
「とりあえず見た番組」と「何時にあの番組見よう」と決めて視聴する番組では記憶への残り方が違うような気がする。
動画の投稿間隔もそうだが、先に挙げた霜降り明星とハナコはほぼ毎日動画を投稿している。
個人の見解だが、これは作品の新鮮さとしてはあまりよろしくない。
エンタの神様でも、当時人気だったアンタッチャブル、陣内智則らは3週に1度という飢餓感を絶妙な塩梅であおる感覚で出演していた。
新鮮なネタを毎日お届けするのもアリなのかもしれないが、価値を高めるには少しくらい出し惜しみしてもよいのではないか。
(Youtubeのヘビーユーザーからしたら「違うそうじゃない」と言われそうだが…)

話を戻すが、第7世代のネタを知っている人はどのくらいいるだろうか。
M-1やR-1で一度見たきりであとは知らない、という人がほとんどではないか。
第5、6世代だって知らねーよと言われるかもしれないが、
エンタの神様はかつて平均視聴率が20%超えをしていた時期があった。
1%=約118万人とのことなので
20%だと約2300万人が視聴していた事になる。
爆笑レッドカーペットも平均は13.7%とのこと。
約1600万人が視聴していたのだ。
動画の100万回再生なんて比べ物にならない。
2010年あたりまでにブレイクし、今も活躍している大御所~中堅芸人のネタを知っている人の確率はかなり高いのだ。

今第七世代がつまらないと言われる理由は
ネタを知らずにテレビでのキャラクターを見て判断されているからだと思われる。
というより、芸人という職業が
ネタ見せ職人」から「番組で面白い事を言う(やる)人
にシフトしているからではないか。
コント番組は「新しいカギ」「LIFE」が生き残っているが、ネタを披露できる番組は深夜枠でもいい、どこかで復活べきだと思う。

お笑い第七世代は視聴率が取れないからこいつら終わりと片付けるのは早計だ。
霜降り明星の粗品氏は「生涯収支マイナス1億君」を名乗り競馬の重賞レースを予想、盛大に外しまくり「粗品の呪い」なるワードを作り出している。
ぼる塾の田辺さんはスイーツ好きとして知られラヴィット!のコーナーで活躍しているし、本も出している。
EXITの2人もAbema Prime(AbemaTVで配信されている報道番組)のコメンテーターとして出演し、彼らの的確な意見はよくネットニュースに取り上げられる。
キャラは十分にたっているのだ。
彼らが担当したレギュラー番組が短命に終わったなんてネガティブな記事も見かけたが、第5、6世代だってすぐに終わった番組たくさんあるよ、この人たちばかりじゃないよ。

今のお笑いがつまらないと言う人は、あなたの感覚がそこに合わなくなってきただけだと思う。

いつの時代も「笑い」は「笑い」であって、世代によって人を笑わせるためにやることの中身がそれほど大きく変わるわけではない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/25eea6e7d244681892e40e2c97e27f9451fad197

上記に載せた記事にもそう書かれている。
ぺこぱのように形を変えた漫才はあれど、誰かが面白い事を言ってそれに何かを返す
ボケとツッコミという基本スタイルは変わっていない。

ブームに乗っかってブレイクした芸人たちは不祥事でもない限り大体が今も活躍している。
ブームは終焉するだろうが、上記の記事で取り上げられた「終わった」と言われる芸人たちは、今後も活躍しているだろう。そう思っている。


余談

現在のお笑いブームで時代を感じたのが、トリオの台頭である。
先に挙げたぼる塾(正確にはカルテット)の他にハナコ、四千頭身、3時のヒロイン、Yes!怪奇どんぐりRPGと、同時期に5組がブレイクしているのだ。
私がリアルタイムでブームを見ていた頃はロバート、安田大サーカスのツートップ、そこに以前から活動はしていた森三中が入る、という感じで
その後は東京03、我が家、パンサー、ジャングルポケット・・・とブレイクする芸人が現れたのは数年おきだったため、まあ時代を理由にするにはちょっと苦しいのだけれど、この現象には大変驚いている。

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