仏教余話

その203
しかし、苦行などという一見、尊いものにも写る修行は、実は、仏教の本質ではないのである。ブッダの伝記でも、よく言及される逸話にデーヴァダッタの造反がある。彼は、ブッダの親族で、ブッダの教団運営に不満を持ち、次の5項目の規定を僧に課すことを求めたのである。
1)僧侶は人里離れた所に住むこと。
2)托鉢のみで生活し、供養接待を受けてはならないこと。
3)糞掃衣(フンゾウエ、ゴミダメ等から集めた布で作った衣)のみを着て、信者から施された衣を身に着けないこと。
4)樹下のみに座り、屋内に入らないこと。
5)魚や鳥獣の肉をたべないこと。
どれひとつを取っても、悪いことはない。むしろ、よいことのように見る。現に、今日の仏教各宗派では、よいこととして、行われている。だが、この5項目は、教団の理念に反するものとして退けられた。教団において肝心なことは、 
1)都会の近くに住んで、活発に議論すること。
2)信者の接待を受け、心置きなく、教えを伝えること。
3)清潔な衣を着て、寒暖を避けること。
4)屋内で、雨露をしのぐこと。
5)何でも食べて、健康であること。
なのである。この例を見てもわかるように、仏教の本義は、苦行等にはない。興味があれば、各自、仏伝を調べてもらいたい。


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