阿部八富利

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『新版 20週俳句入門』 暗誦句の暗記アプリデータを用意してみた

『新版 20週俳句入門』の暗誦に挑んでいる。が、そらで言えるようになるのは難しい。僕の記憶力では、とっかかりになるヒントがないと厳しい。 そこで例えば、最初の虚子の句だと、 1句目「遠山に日の当たりたる枯野かな」 → 2句目「桐一葉日当りながら落ちにけり」 2句目「桐一葉日当りながら落ちにけり」 → 3句目「一つ根に離れ浮く葉や春の水」 みたいに連想して覚えていた。そうして20句まで覚えたが、よすがとなるものを無理やり編み出し続けるのも本末転倒な気がしてきた。

    • たくさんの俳人に会いたくなる『およばずながら』

      最近、同僚がポケモンカードを始めた。 大会に出てみたら、「みんないい人だった!」と言っていた。 その話を聞いて、「わかる気がする。俳句もそうでさ……」と話が弾んだ。 そう、人が交流する嗜みは、和を尊ぶことが求められる。 いわんや結社の主宰ともなれば。 僕は、結社の主宰の先生と話したことは数回しかないが、どの先生も魅力的だった。結社の先生方は、自身の句業のみならず、「育成」的な側面も結構な割合担っているからだろうか。声のかけ方が上手な気がする。 そんな先生方と、「俳句総合

      • 鑑賞の視座が上がる『星を見る人』

        カミングアウトしよう。 俳句の鑑賞文を読むのが苦手である。 鑑賞文を読むと眠くなる。 僕にとって、鑑賞の本や、俳誌の鑑賞コーナーを読むのは苦行だ。 どうしてか。 紋切り型のテクニカルな話になりやすいからだ。鑑賞は基本的に、「どう読んだか」と「なぜ素晴らしいか」を述べる必要がある。そして俳句が一定のルールに則る文芸である以上、どうしてもお決まりの説明が多くなる。 その結果、俳句の鑑賞文というのは、ペーパーテストの解説や、ニュース記事のように、ある種のフォーマットに沿った

        • 一緒に俳句を苦しみたくなる『俳句脳』

          あさって長野の諏訪に行く。 そのためのガイドブックを地元の図書室に借りに行った。 うちの市は人口8万で、図書室が6つある。 その中で一番小さい図書室に初めて行った。 目的のガイドブックを見つけて、 全く期待せずに俳句関連のコーナーも見てみた。 古い歳時記と、芭蕉関連のエッセイと、夏井先生の入門本があり、 「まあ、こんなもんかな」と思っていたら、一緒にこの本があったのだ。 黛さんと茂木さんで対談本を出していたとは…! あと黛さんの句集『B面の夏』もあって、近隣住民にファン

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          もっと写生したくなる虚子の俳論三部作

          虚子の俳論三部作を読んだ。どれも薄いので、一気に読みやすかった。 結論、もっと早く読んでおけばよかった。 たまに話題になる「写生とは?」について、虚子がわかりやすく回答している。あと随所で「〜なのが俳句である」と、言い切ってくれるので、迷ったときに参考になりやすいと思う。さすがは大虚子! 『俳句はかく解しかく味わう』は鑑賞本に分類されるが、俳句論や実作に立ち入るポイントや、先人にダメ出ししているポイントが豊富なので、俳句論の本としても読み応えがあった。 僕なりに気づき

          もっと写生したくなる虚子の俳論三部作

          第25回 NHK全国俳句大会観覧メモ

          第25回 NHK全国俳句大会に行ってきた。昨年に続き2回目だ。 この大会は基本的には、先生方の選評と受賞者のコメントを聞く会である。単にそれだけなのだが、3万句以上の句から先生方が選んだ一句だけあって、笑って泣ける人間ドラマが生まれる。その感動を味わうのが、この大会の一番の醍醐味だと思う。 なのだが、俳句論や作句の話にももちろん立ち入るので、その部分をメモしておく。 併せて、午前中に開催されたNHK学園の「プレミアム俳句講座」にも参加して、句会形式で木暮陶句郎先生、西村

          第25回 NHK全国俳句大会観覧メモ

          あし俳の歩き方 〜あしらの俳句甲子園2024に参加して〜

          あしらの俳句甲子園(以下、あし俳)に初めて参加した。 楽しかった。 帰ってきてからもポカポカ満ち足りた気分になっている。 多分また参加するだろう。まだ参加したことがない方にもおススメしたい。 同じ形式で開催されるとして、将来の自分に向けて5点だけメモを残しておく。参加者の皆さまが思い出を振り返る材料や、これから参加する方々の参考になったら幸いです。 1. 早く申し込んで、最前列で見よう今回 12月2日 21:00から受付が開始され、うちのチームは8番目に申し込んだ。

          あし俳の歩き方 〜あしらの俳句甲子園2024に参加して〜

          命のひらめきを探したくなる『俳句とは何か』

          俳句論の本は20冊くらい読んだと思うが、どの本にも名前が挙がる評論家がいた。 山本健吉。 彼の「俳句は滑稽なり。俳句は挨拶なり。俳句は即興なり」を引用する文に何度出会っただろう。その度に読んでみたいと思っていたが、なかなか手を出せずにいた。 が、年末年始の時間を取れそうなタイミングで、『俳句とは何か』を鱗読書会の課題本にしてもらえたので、ついに読むことができた。 結果。 思っていたよりも熱い本だった。引用先ではテクニカルな話題が多かったけど、それよりもっと情熱のたぎ

          命のひらめきを探したくなる『俳句とは何か』

          いい俳句とは ver2.0 & 自選十句

          俳句3年目に突入しようとしている。俳句を始めた頃に「いい俳句とは ver 1.0」というnoteを書いた。その後「いい俳句とは?」の定義が僕の中で更新されたので、このタイミングでまとめておきたい。 2022年5月の自分:いい俳句 = 情景が大きく立ち上がる句 2023年12月の自分:いい俳句 = 感性をリフレッシュする句 である。例によって、僕の考えをまとめるためのメモですので、未熟の極みですが、何かの参考になれば幸いです。 感性をリフレッシュするとはいい俳句に出会う

          いい俳句とは ver2.0 & 自選十句

          句集の楽しみ方。『かちょふげ』の場合

          初めて句集制作に参加した。 名を『かちょふげ』と言う。 俳句ポスト並盛連盟(以下、俳並連)の二周年記念句集だ。 句集ができてわかったが、句集は多分、作者側の方が楽しく読める。 去年まだ俳並連に入ってなかった頃に、一周年記念句集『ふんわり』を読んだが、その時より今回の『かちょふげ』の方が断然楽しい。 なぜか。 背景の情報が豊富だからだ。俳句を読むのに鑑賞力や知識が要求されるように、句集を読むときにも、関連情報があると楽しみやすい。 もちろん句集である以上、純粋に俳句が

          句集の楽しみ方。『かちょふげ』の場合

          自身の句境を深める選評とは 〜まのあたり句会2023秋を受講して〜

          秋の大まのあたり句会に参加した。まのあたり句会は前々から気になっていたが、今回初めて参加した。 講師の先生方は、 【青山教室会場】 小川軽舟、堀田季何、神野紗希、岩田奎 【梅田教室会場】 岸本尚毅、山田佳乃、若林哲哉 である。豪華!若い! いわゆる先生同士の句会を見るのは初めてで、楽しく学べた。 本講座に参加して考えこと、感じたことをまとめます。 公開句会から考える、先生方の選評の特徴同じ句会の選評でも自分のような俳句初学者と、先生方では何が違うのか。3点挙げてみる。

          自身の句境を深める選評とは 〜まのあたり句会2023秋を受講して〜

          俳句の山のマイルストーンとは 〜道後俳句塾2023の学び〜

          道後俳句塾2023に参加した。 去年に続き2回目である。塾の形式は基本的には去年と一緒なので、気になる方は↓をご覧頂きたい。 ただし、去年と変わったことが3点あった。 黒田杏子先生に代わり、西村和子先生が講師を務めた 進行役が新設され、家藤正人さんが務めた 懇親会が実施された 正人さんが進行役に入ったことと、西村先生が会場にいらしゃって直接お話しされたことで、去年に比べて先生方が塾中で喋った内容が多くなったと思う。体感的には3割以上増えた。 なので去年よりも「選

          俳句の山のマイルストーンとは 〜道後俳句塾2023の学び〜

          五七五の次を考えたくなる『絶対本質の俳句論』

          苗字が同じ俳人は何となく気になる。歳時記で出会うと、ちょっと余分に目を通しておこうという気になる。僕の場合は、阿部みどり女、阿部青蛙、、、そして阿部完市だ。阿部完市の が好きだ。通称あべかん、本記事でも尊敬を込めてあべかんと呼ばせて頂きます。 そんなあべかんが『絶対本質の俳句論』という、インパクト絶大のタイトルの本を遺していた。鱗読書会で教えてもらって、すぐにポチった。 「絶対本質」なんてねぇ、なかなか言えないですよ。このタイトルはどうしたって「巷で言われているのは本質

          五七五の次を考えたくなる『絶対本質の俳句論』

          見慣れたものを見知らぬものに置き換える俳句を詠みたくなる『おいしそうな草』

          詩人の蜂飼耳のエッセイ『おいしそうな草』を読んだ。俳句とは関係ない文脈でオススメされたのだけど、句作に役立ちそうなポイントがあった。 それは「詩や芸術がどうやって生まれるのか」を論じている箇所だ。 僕は句作するとき、「感動」を思い出してとっかかりにすることが多い。が、どういう「感動」をベースにすると、詩になりそうかのヒントがここにある気がする。 4点抜粋します。黒太字は僕が勝手につけました。 3行でまとめると、 習慣に従って生活していると、眠らされてしまう感性がある

          見慣れたものを見知らぬものに置き換える俳句を詠みたくなる『おいしそうな草』

          絵画的な俳句を詠みたくなる『百句燦燦』

          アンソロジー句集『百句燦燦』を手に入れた。 先日読んだ『愉しきかな、俳句』で、装幀家の間村俊一さんが、衝撃を受けた句集として挙げていたからだ。曰く、 歌人の塚本邦雄さんの愛誦句集 塚本さんの完璧な美意識と価値観で、選句されている 独特な活版組の本文がイカれるくらいすごい 余白も美しい。造本のすごさを味わうために持っておくといい この原体験ゆえ、今でもコンピュータじゃなくて活版にこだわってしまう テキストだけなら今でも文庫版で手に入るよ である。ここまで言われて

          絵画的な俳句を詠みたくなる『百句燦燦』

          俳句というツールを磨きたくなる『愉しきかな、俳句』

          9月に道後俳句塾に行く。西村和子先生に初めて句を見て頂く。 せっかくの機会なので、西村先生の著作を読んでおこうと思った。そうして新宿の紀伊國屋で出会ったのが『愉しきかな、俳句』である。各界の著名な俳句愛好者15名との対談集だ。 読み返したくなる言葉がたくさんあったので、抜き出してみます。 ※一部、編集しているところもあります 洋菓子店当主の山本 道子さんと 歌人の永田 和宏さんと 居酒屋探訪家の太田 和彦さんと 歌舞伎役者の坂東 三津五郎さんと 小児科医の細谷

          俳句というツールを磨きたくなる『愉しきかな、俳句』