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光を描いて -Michiko Van de Velde@東京アートアンティーク

 東京アートアンティーク(4/25-27)。敷居の高い日本橋界隈の画廊が、この3日間だけ、フレンドリーに門戸を開くとても貴重な3日間。

 都内在住ならばぜひ行ったほうがいいと、アートの師匠と仰ぐ方から強烈にリコメンドされて、その只ならぬ雰囲気に、友人を誘って行ってみたら

 本当に、こんな面白いものはない、というくらいの経験をした。

 通常、「どこか見覚えがある」は、その流れをくんだ作家の作であることが多いはずなのだけど、

 無造作に壁にかけられた掛け軸にどこか見覚えがあると思えば、棟方志功の作(お値段550万円)にはじまり、
 これはまさか、の作風のリトグラフに、キュビズムの巨匠ブラックのサインを見つけたり(値段は怖くて聞けない)、
 輪郭が黒く太く描かれたビュッフェみたいな花の絵~と思ったら本当にビュッフェの油絵でした、とか、
 草間彌生のリトグラフ(2500万円しかも売約済み)とか・・・。

 いやいや値段だけではなく、美術館にありそうな作品の数々に、これでもかと近寄ってその筆致までをも確認できる(しかも、店主の解説付き)という、なんとも至福の時間を過ごした。来年も絶対行こう。


Michiko Van de Velde 「木漏れ日」

 そしてこのイベントは、未知の作家たちとの出逢いの場でもあった。
 長い時間を過ごしたのは、日本橋の一番星画廊。

 パンフレットの紹介記事を見て、チェックをしていた画廊で、

 この作品から、個展ははじまっていた。ガラスに外からの陽光が(計算したように)映りこんで、光を伴って訪れた気分になる。

 白壁には、光を模した絵が描かれ、本物の日差しと見まごう。

 しかも見る角度によって、明るさまで違って見える。


 画廊の空間そのものが、インスタレーションのようだった。

光をそのまま「写し取る」

 「太陽が丸いから、光は丸く写し取れるんですよね」
 画廊のスタッフの方が、声をかけてきてくださった。

 抽象?とばかり思っていたのだが、
 制作風景の動画を観て、そうなんだ・・・と。

 作家はベルギー在住。こんなふうに、光を紙に「写し取る」。描いているうちに、太陽はどんどん移動する。

 日食、日の入りの光は、こんなふうになる。

つながりを求めて

 作家は光を追い、空でつながっている郷里と在住のベルギーを想う。

 広島の原爆ドームの近くで生き残った木々たちの葉から、生を思う。

 空でつながった世界。どこにも平等に射し込む光。

 さわやかでポジティブな光に満ちた、心地よいMichiko Van de Veldeワールドで、遊ばせていただいた。

「日本でも活動している作家さんですか?」「いいえ、日本ではこれからなんです」という会話も聞こえる。


 表通りの美術館だけでなく、一本入った画廊も、たくさんの出逢いに満ちている。


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