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第7回トレニックワールド 彩の国 100km レース当日の記録 後半戦

2022年5月21日〜22日に行われたトレニックワールド彩の国100km
レース当日の記録(後半戦)

前半戦はこちら

レース概要

開催日:2022年5月21日(土)〜22日(日)
距離:106.9km(実測 107.5km)
累積標高:6,640m(実測7,398m) 
オフロード:84.8km(79.3%)
制限時間:31時間
参加費:18,000円
定員:450名
ポイント:ITRA5ポイント
参加資格:49km以上のトレイルラン大会を完走していること

レース タイムテーブル 100km

前日受付:5月20日(金)15:00〜19:00
当日受付:5月21日(土)6:30〜8:40
スタート:5月21日(土)9:00
制限時間:5月22日(日)16:00(31時間)

エイド6 桂木観音まで

ニューサンピアへは明るいうちに戻ってこれたが、出発する頃には真っ暗になっていた。麦茶を補充していたらクラブのメンバーの出発と一緒になったので後ろに着かせてもらう。

ナイトトレイルの経験が少ないのでヘッドライトとウエストライトを両方つけて進むが、夜になって霧が出てきたため、ヘッドライトだと光が拡散してよく見えない。ウエストライトを中心に進む。
途中の下りで前に出させてもらい、桂木観音まで一気に降る。
エイドではフルーツポンチが提供されていた。爽やかでとても美味しかったが、カロリー不足が心配だったので自身の補給食も一緒に食べた。

エイド7 kinocaまで

桂木観音からkinocaまでは走りやすく、10人くらいかわして進む。

快調に走っていたら右足の親指を何かにぶつけてしまう。スピードも出ていたためかなり強い衝撃だった。初めて味わう痛みで爪が取れた(浮いた)ような感覚だった。まだ30km以上走らなければならないのに爪が剥がれたのはまずいと思い、靴の上から爪を踏んでくっつけようと試みる。(走り終わるまでずっと痛かったので効果はなかった。)

kinocaで体に疲労を感じていることを認識する。足の親指を負傷したことも影響していると思うので、いかにダメージを負わずに走るかが重要だと再認識した。
気温も低くなってきたのでここでウインドシェルを着用。

エイド8 竹寺まで

kinocaを出てすぐにロスト。曲がり角に気づかずロードを進んでしまう。エイド直後なのに人が少ないのが気になり後ろを振り向くと、ヘッドライトの列が全然違う方向に進んでいた。急いで引き返して正規のルートへ合流。ボリュームゾーンを走っていなかったら危なかったかもしれない。

竹寺までは急登もあり、きついコースということは分かっていたが、今回のレース中で一番きつかった。原因は複数あるが、きっかけはウエストベルトの電池切れ。レース前日にフル充電していたにも関わらず、4時間程度の使用で充電が切れてしまった。
ライト購入後、何時間使用できるかを確認せずにレースに望んでしまった大失態。

ウエストライト中心で進んでいたので、電池が切れてしまった時の衝撃は大きかった。「ヘッドライトの充電は朝まで持つか」「予備電池は海外製の容量が少ない電池。交換してもすぐに電池切れするのではないか」「次の竹寺エイドで夜明けを待つか」「ヘッドライトと携帯のライトでなんとか進めないか」など、色々なことを考えて、心労も溜まってしまった。
まずは竹寺へ行こうと気持ちを切り替え、ヘッドライトの明かりを小さくして進む。

気を取り直して進み始めたのは良いが、明かりを小さくしたので周囲が暗く進みづらい。
周りが暗くなるので眠くなる。(時間は深夜1時〜2時くらい)
眠くなるので寒くなる。と、負の連鎖が続いていく。
さらに急登のつらさも相まって崩れかける。特にライトの電池切れの不安が大きく、竹寺で仮眠しつつ夜明けを待つ方向に心が傾いていた。

急登を登り切って、なんとか竹寺に到着。動くのがつらい。とにかく寒かったので温かいものが食べたいと思っていたら、エイド食はそうめん入りの豚汁。この豚汁の味は今後忘れられないと思った。
寒かったので何杯かいただいてしまったが、体温が上がらずに途方に暮れる。
(後で知ったが、今回の彩の国はリタイアが少なくサウスのエイド食が尽きてしまったらしい。申し訳ないことをした。)

眠さもピークに達していたので横になろうと思ったら、すでに選手が5〜6人くらい横になっていて寝られるスペースが全くなかった。周りをよく見ると、今までのエイドの雰囲気とは全く異なりベンチにも動けない人が大勢いる。寒さと疲労で体が動かなくなってしまったんだろう。自分もその中の1人なので気持ちがよくわかる。

横になっている方は体温の低下が激しいらしく、エマージェンシーシートにくるまっている。体調が悪いらしく、その場で吐いている方もいた。明らかに自分より重傷の人がいるのに、横になりたいなんて言えない。
とりあえずベンチに座り体が回復するのを待つ。眠ることもできず動かずにいると、桂木観音の途中で別れたクラブのメンバーが到着する。

眠くて動けずにいる旨を伝えて、途中まで一緒に行かせてもらうことに。
1人ではスタートできなかったが、一緒に行けるならと、なんとか体を動かす。
完全に体も冷えていたので、長ズボンを着て出発。一番気力を振り絞った瞬間だった。

エイド9 高山不動まで

クラブのメンバーと会話しながら進む。3人になりライトの明かりも3倍に。
会話しながら進むこともできたので、20分くらいで完全に回復。
子の権現まで一緒に走らせてもらい、そこからは1人で進む。

もう一度崩れたら終わりだと思い、眠気がこないように歌を歌いながら走る。
頭を使わずに走りたかったので、選曲は「崖の上のポニョ」。幸い、周りには誰もいなかったが、人がいたとしても恥ずかしがってはいられない。

西吾野駅に到着する頃には陽も登り始め、気持ちも高揚し始めていた。
西吾野駅から高山不動までのきつい登りは試走で経験済みなので、安心して着実に登る。

気持ちは全く折れずに急登を登り切る。その後のゆるい上りを進み、高山不動へ到着する。がエイドがない。水分には余裕があったのでエイドなくても先に進もう!と思い、ロードに出るとそこにエイドが設置されていた。
今になって思うと、エイドでログを取らなければ失格になってしまう。正常な判断ができなくなっていたらしい。
エイドの肉うどんはとても美味しかったが、カロリーの消費が落ちているせいか満腹感を強く感じた。

エイド10 桂木観音まで

高山不動から少し登り関八州へ。彩の国のコースの中では素晴らしい見晴らしだが景色を見る間もなく進む。関八州以降は降り基調。コースを知っているクラブのメンバーからも、ここから先は飛ばしていいと言われたので、力を振り絞って走る。
ここから桂木観音まで、先に見えていた人を全員抜かして進んだ。
桂木観音到着時点で100kmを達成。この時点でゴールを確信していた。

ゴールまで

関八州からの下りを飛ばしすぎたせいか、土踏まずが痛い。
エイドを出てからは残り10kmもないので、あと少し、あと少しと思いながら走り(歩き)続ける。短いようで長いトレイルを抜けロードへ。

試走の時はロード区間は走らなかった。理由はゴールの時に達成感を得たかったから。せっかく100kmを走るので、最後の区間は未経験のまま走ってみたかった。
しかし、最後のロード区間は意外に長く、平坦な道であるにも関わらず、土踏まずの痛みもあってペースが上がらない。
最後は走ってゴールしたいという想いから、7:00分/kmで爆走…

ニューサンピアの登り坂も走り切ってゴールへ。
結果は目標だった27時間よりだいぶ早い23時間21分。
前を走る人を全員抜いたせいか、前の順位とは20分以上の差があった。
その為、カメラマンが不在だったらしくゴールの写真は撮ってもらえなかった。

100kmのレースはロードを含めて2回目だけどやはり達成感がすごい。
ゴール後はアドレナリンが出ていたせいか、制限時間さえなければこのまま160km走れそうな予感さえあった。

ゴール後

まずはクラブのコーチに完走の報告とお礼。
他のメンバーやラン仲間のゴール時間もわからないので、荷物をピックアップしてお風呂へ。
脱衣所でNorthの最後で一緒だった選手と遭遇。完走されているのかと思ったら、股ずれがひどく、竹寺でリタイアしたそう。100kmも走ろうとすると思わぬトラブルがありますよね…
100km走った直後のお風呂はとても気持ちよく、完走した達成感もあり最高の気分だった。
露天風呂に入りながら、ゆっくりとレースの内容を思い出していた。

お風呂から出た後は体がガチガチに固まっていて、足も思うように上がらない。
つい30分前は問題なく動いていたのに、終わった瞬間にこんなに固まるのかと意外だった。
体育館に戻ると、抽選をやっていることに気づく。試しにやってみたらニューハレのテーピングセットが当たった。

豪華なセット 大切に使おう


翌日は在宅勤務とはいえ仕事なので早々に帰宅。
帰宅してからウェアやシューズを洗濯して16時前に就寝。

レースを終えて

トレイルランニングで初めて100kmを走ったが、初めてのレースが彩の国でよかった。
お手頃な参加費(100kmで18,000円はとても安い)、アットホームな大会の雰囲気、エイド食の充実(ジュース数種類に多くの食べ物)と、至れり尽くせりの内容だった。

また、エイドのサポートの方の投稿で知ったが、完走率が高かった為にエイドの食料が不足していたらしい。しかしエイドの方はそんな不安を表情に出さず、「おかわりいかがですか?」「ちゃんと補給していってください」と選手のことを気遣ってくれていた。また、竹寺のエイドでは体調不良者が続出し、救急車も出動したと聞いている。
ここまで完走率が高かった要因の1つに、エイドのサポーターの方の協力があると思うし、死者が出ずに大会を終えることができたのも、サポーターの方の的確な判断があった為だと思う。

来年、再来年も続くレースとなるよう、次回出場した際は開催者と一緒にレースを盛り上げていければ良いと感じた。

また個人的な目標としてサイラー(100mileの完走)を目指したいと思う。
彩の国の100mileは難易度が高いことで有名。第1回の完走者はなんと0人。
それだけに挑戦する価値はあると思うし、今まで味わったことのない達成感を感じることができるだろう。
 
今回の彩の国を経験し、試走を含めたロングレースの楽しさやつらさ、調子が良いだけでは結果につながらない難しさを感じた。一筋縄ではいかないところが面白い。
今後、様々なレースに参加し経験を積み、どんな結果を残せるかとても楽しみだ。
彩の国のおかげでトレイルランニングがまた1つ好きになった。

後日談

レースで痛めた右足の親指は、レース後は真っ白になっていた。
剥がれてはいなかったが少し浮いているようで、左足の爪と比べると盛り上がっていた。

レース翌日には爪が真っ黒に変色していたので、整形外科を受診。
内出血しているが血が固まっているので、このまま経過を見るしかないとのこと。
爪を強打した際にはよくあることなので、一安心。

1ヶ月半後に爪がぐらつき始める。爪の隙間から溶けた血が染み出してくるのだがとても臭い。その2日後には完全に爪が剥がれ、小さい爪が生えてきていた。
爪が生えてきたことよりも、洗浄できたことに喜びを感じる。
爪が黒いうちからランニング、トレイルランニングは問題なく行えたのでよかった。

また、レース1ヶ月後には完走賞のTシャツが届いた。

後日届いた参加賞のTシャツ デザインがかっこいい


後ろ側 完走率は68%だった模様


使用した装備の記録はこちら


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