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吉村順三設計図集/建築の書架から その3

専門書ばかりで、面白くないかもしれないが、30代で住宅の設計実務に携わることになり、この図集にはかなりお世話になったので、ここでふれたい。
実務ではこの図集を穴が空くほど読みました。参考に成ることばかりで、これがあったから、あるレベルを維持したとも言える。
特に住宅の設計は、易きに流れれば、幾らでも手を抜けるところがある。一方、真剣に取り組めば、芸術領域まで行けるものなので、その範疇でいつも苦闘してました。
属していたのが、地元のハウスビルダーだったので、特にその傾向が強かった。最初の2年間は、ほぼ上司がいない環境だったので、技術的にもこの図集には助けられたし、目指すべきレベルも指し示していたように思えた。

その他にも、参考図書はあったが、これを第一にしたい。

軽井沢の山荘の矩計図(かなばかりず)

上の軽井沢の山荘は、学生時代と10年ほど前の2回見に行っている。
日本住宅史の傑作と言われる、別荘だ。以前、芸大で吉村順三先生の展示会があり、見に行ったが、入り口に、この図面の原寸大が掲示してあった。
それくらい有名な図面である。
と、ここまで書いて肝心なことを書き忘れていた。何故、吉村先生の住宅が素晴らしいのか?それは、そのスケール感にある。実にヒューマンスケールなのである。別な言い方をすると、威張っていないのである。建築には、男性的、女性的と言われると、吉村先生のは、女性的かも知れない。ある意味女々しいかもしれない。が、そこには美しさと秘めた力強さが同居していると思う。


吉村順三先生の図集2冊

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