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初めての彼氏

小学6年の頃、割と仲良く遊んでいたグループの中の男の子のことが好きになった。

完全にイケると踏んでいたのか勇敢な私は、友達に頼んでラブレターを渡してもらった。すぐにOKの返事が返ってきた。

ちょうどいいタイミングで修学旅行があり、男女で部屋が分けられている夜にこっそり密会、宿泊施設の非常階段の踊り場で、おそろいのキーホルダーをくれた。ペアになっていて、くっつけるとひとつの形に見える、何とも可愛らしいプレゼントだった。私の宝物になった。

修学旅行から帰ると今度は学校の階段の上から、踊り場にいる私にボールペンを投げてくれた。手渡すのが恥ずかしかったらしい。鉛筆しか持たない小学生にとってボールペンはなんだかむずがゆく、これまた宝物になった。

仲良しグループは、キズナ半分からかい半分で、みんなでゲームセンターに行って、私とその彼の2人でプリクラを撮るというとても素敵な機会をくれた。今思い出しても甘酸っぱすぎる写真だった。もちろんこれも宝物に仲間入りした。

翌日、舞い上がった彼は、仲良しグループとは別の友達にプリクラを見せびらかして自慢した。
全身全霊コンプレックスの私は、その行為がとても嫌だった。そしてまたなぜか勇敢だった私は、即座に別れを告げた。本当にもったいないことをしたと思う。「なんで?」「いやなもんはいややの!」という問答をしたのも、同じ階段の踊り場だった。


結局、この彼とお付き合いというものをした期間は1ヶ月にも満たなかった。
ぎゅっっと濃い、青春の踊り場だった。

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