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あかね噺-第99席・もうひとつの効果-感想

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「ルリドラゴン」の復帰が決定しましたが、実質的にはジャンプ+に移行という事で、2022年連載組は「あかね噺」だけになってしまいました。
ルリドラゴンは、連載開始からすぐに大人気になり、これはジャンプの目玉になると思ったのですが、作者の体調不良による長い休養を挟んで今回の決定になったようです。
ルリドラゴンは、最初期は良かったけど、休載前ぐらいから内容が怪しく感じていたので、この長期休載がいい方向に進んでほしいですね。
今流行の弱者男性が好きそうな陰キャ女子を愛でる漫画ですが、そこから一歩進んだ面白さを作れるのかに注目したいですね。
とりあえず楽しみな漫画が増えたのは嬉しいってことで感想に行きます。

◆あらすじ


週刊少年ジャンプ 2024年2月26日発売 13号

仁を乗せた効果で、観客をより自分の落語に引き込むことが出来たあかね。芸に集中出来たことで、新たな世界に突入する。

◆感想


ずっと心配していた、次回は連載100回での巻頭カラーという事で、来週の見せ場に向けて、道筋を作る1話でしたね。
あかねもついに領域展開を使えるようになるのか?と言われていましたが、次回やってくれそうで、どういう形で描くのか今から楽しみです。
今回は、スター・システム・江戸の風、について書いていきます。

スター・システム
スター・システムとは、ハリウッド映画におけるスター俳優を中心に据えた映画の作り方なんですが、それではなく漫画の神様と言われた「手塚治虫」のスター・システムについて語っていきます。

手塚治虫のスター・システムと言うのは、手塚の考えたキャラクターを実際の役者のように捉え、作品ごとに役柄を当てはめて描くというもので、ヒゲオヤジやアセチレンランプといったキャラクターは、手塚漫画の中で、悪役だったり、味方だったりと同じキャラクターが様々な役柄で出てきます。

今回の落語の登場人物、与太郎とか八五郎、ご隠居などの登場人物が、違う話に出ていても、人物のキャラクターが同じというのは、この手塚治虫のスター・システムと同じ事だと思います。
落語の中に、出てくるキャラクターは、「柳田格之進」「万屋源兵衛」のような明確に個人を特定できる人物も居ますが、多くの噺では、同じ名前の登場人物が同じような役柄で登場します。

このキャラクター達が、同じ人間だと、あかねが捉えたことで、落語の世界に対する解像度が上がり領域展開みたいな事になるのですが、あかねと同様に、落語世界の住人を、噺ごとの登場キャラでは無く、違う噺であっても同じ名前の人物は同一人物だと考えたのが、立川談志です。
談志がこれを唱えるまで、こういう考え方をする落語家は居ませんでした。
立川談志は、大の手塚治虫ファンだったので、手塚のスター・システムからの着想かもしれないですね。

阿良川のモデルになる談志の言い出した、落語の登場人物は、同一人物であるという考え方に、あかねが気付くのも面白いですね。

江戸の風
あかねが、領域展開のように、自分の話世界に入ってしまう所で終わりました。
うららが、花魁のいる景色を観客に見せたときのように、あかねの思い描く落語の世界を広げることが出来ました。
今回の噺である「狸賽」の狸や、平林の丁稚、花魁、まんじゅうこわい、寿限無、といったこれまでやってきた噺の登場人物が、同じ場所に会している場面は、マルチバース的で良かったですね。

そのコマを見て思い出したのが「江戸の風」です。
「江戸の風」っていうのは、立川談志が最晩年に言い出した、落語とはに対する答えです。
落語を聞いたときに、観客に江戸の風を感じさせることが大事って話なんですが、どういう事なのかなんとなくは分かるけど、ニュアンスでしかない話なので理解するのは難しい話です。

しかし、今回のあかねの江戸時代に入り込んでしまったコマには、江戸の風を感じました。
いろんな登場人物が、普通にいる感じが、落語の現場に居るって思わせる良いコマでした。
本当に談志が言いたかったのは、こういう江戸の風なのかなと思いましたね。


次回は2周年の巻頭カラーです。アニメ化なんかの発表は無いみたいですけど、そろそろ人気投票的な企画はやってほしいと思うんですけど、どうでしょうか?
その辺も期待しつつ、待ちたいと思います。
今回はここまで。でわでわ。




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