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【オススメゆに映画まとめ】#6 ヒドい!けど超良作特集【あらすじ・レビュー】

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オススメ映画5作品のまとめ
基本情報・あらすじ・レビュー


フローズン・タイム(2006)

監督 ショーン・エリス
102分
イギリス


あらすじ

ガールフレンドにフラれたショックから不眠症になってしまう画家志望のベン。仕方なく24時間営業のスーパー・マーケットで深夜のバイトを始めるが、そこはダメな若者たちの吹き溜まりだった。スーパーをゲームセンターと勘違いしている2人の同僚、ボスである事に必要以上の誇りをもつ店長、カンフーの身のこなしを崩さないブルース・リーおたく。そして、時間恐怖症で紅一点のレジ係シャロン。不眠が続いているベンの頭はついに限界を超え、突然、周囲の世界がフリーズしてしまう!


レビュー

突然、周囲の世界がフリーズしてしまう!

やかましい。
あらすじからもうヒドい。
ジャケットもヒドい。

でも!これは!最高の名作なのです!
映像も演出も色も構図もコメディセンスもロマンチックなのもまぁぐっとくるどストライク映画。
これ文系男子の夢では?と文系女子は思うのですが…どうでしょう。

この主人公がやっかいな男で。
くせ強い画家志望のいかにもフラれそうな無気力やわ弱ボーイ。

不眠症が続き、1日が8時間増え、人生が3分の1増え、夢と現実の境がなくなり、時間を止める力を手に入れ、夜な夜な夜勤のバイト先のスーパーで女性客の服を脱がし、永遠にデッサンをしまくる日々。

いや最悪なんですけど、
最悪なんですけどね。

ただ彼は触ったりとかはせず、美しい瞬間を切り取ることをずっとしていくのです。

多分この映画、
女性が嫌悪感を抱かない理由に(もちろん皆が皆そうでは無いというのは前提ですが)

・美しさのみを見出している
・女性としてみている(認めている)が、性的な対象(自分の性的な欲望のはけ口)としては見ていない

というのが要素にあるからかなぁと思います。要するにエロがない
その証拠に気になってる女の子は脱がさない。

デッサン以外で彼女たちに触ることも無ければ、興奮することもなく、淡々と自分なりの女性の美しさ(という超性別的幻想とも言えるかもですがそこら辺はここでは一旦置いといて)を探し切り取る。
ただ、描くのは女性だけなんです。女性に興味がちょーあるのはわかる。身体の形に関わらず、人体ならなんでも良いという「無差別選別の中で女性も描く」では無く、意思のある選別の上で、性的な欲望のはけ口とはしない

ごちゃごちゃと言いましたが、
え、キモ…が無いです。

そして
バイト仲間達がアホでめっちゃいい
深夜のスーパーでやりたいこと全部やってます。ひどすぎる。カートでレースしたり、客の買い物カゴにローション入れたり、掃除道具のモップ使ってブルース・リーの真似してたり。

とりあえず、夢と現実の境の表現がめっちゃ良くて気持ちいいです!それだ!それになる!私もその感じなる!!っていうのの連発です。
この映画が皆の脳内を具現化してくれてます。
しっくりくるのではなかろうか。


愛とは何か 知りたかった
今愛はここにある
その美しい姿は 一瞬の中に息づく
立ち止まって 掴みとろう

最高に美しいシーンが待っています。
私の大好きなシーンです!
必見。


推奨環境⚠︎1人、友人
filmarks
https://filmarks.com/movies/30326


「裸のランチ」(1991)

監督 デヴィッド・クローネンバーグ
117分
イギリス、カナダ


あらすじ

害虫駆除を仕事にしている小説家志望の主人公ウィリアム(P・ウェラー)。彼は寸暇を惜しんでタイプライターに向かっているが、その分、本業がおろそかになっている。妻(J・デイヴィス)は麻薬に手をだし、廃人の一歩手前。そんな中、かつては中毒者だった彼自身、自分の売る怪しげな殺虫剤を試して、恐ろしい幻覚と溢れる想像力を交互に得るようになる……。W・バロウズの有名な同名小説を「ザ・フライ」「戦慄の絆」のD・クローネンバーグが監督した問題作。


レビュー

話はあるようで無いような、ゲテモノ映画

気持ち悪い!気持ち悪いんですよ。
ゴキブリタイプライターとかでてきます。
キモいクリーチャー…虫…虫がすごい。

私も虫無理です。
無理して観ました。
無理して観た甲斐ありました!

麻薬中毒者の視界、脳内、性の葛藤、
トラウマとの対峙。
こんな場所どこにあるんだというようなロケーション、ファッションもかっこいい。画面の隅々まで作り込まれた世界が用意されてますので、確実に入り込めます。

悪夢的、幻想的、夢世界の探検ができます
この映画を見終わってすぐには現実に戻ってこられないくらいには脳みそをやられるでしょう。

ただ本当に気持ち悪いのは変わりないので、
お食事時は本当にやめた方がいいです。
逆にダイエット中はいいかもしれません。

キモ虫が出てくるって言いましたが、もう普通に出てきすぎて、虫じゃなくてもなんかずっとキモイやつがいるので、途中からちょっとかわいさすらおぼえます。しかもめっちゃ喋るし、動きがCGの滑らかな動きじゃなく、シュヴァンクマイエル的な、ティム・バートン的な、コマ撮りのカクカクした動きで、なんか愛着が湧いてきます。

確実に名作で、怪作。

ゴキブリタイプライターの言うことを聞いたり、魚人タイプライターの言うことを聞いたり、果たしてどこからホントで、どこから幻覚なのか?はたまた全て幻覚なのだろうか?

とりあえず、麻薬は怖い。

非推奨環境⚠︎カップル、お食事時、虫嫌い
filmarks
https://filmarks.com/movies/17652


「ピアニスト」(2001)

監督 ミヒャエル・ハネケ
132分
フランス、オーストリア


あらすじ

ウィーン。小さい頃から母親に厳しく育てられたエリカ。40歳を過ぎてウィーン国立音楽院のピアノ教授となった今でも母と二人暮らし。ある日、エリカは私的な演奏会の席で青年ワルターに出会う。彼のピアノの才能に特別な感情を抱くエリカだったが、それ以上にワルターのエリカに対する思いは強かった。彼女に執拗につきまとい、ついには音楽院の試験に合格し彼女の生徒となってしまう。ワルターはある日、思いあまってトイレにいたエリカに強引にキスを迫る。ワルターの思いが通じたかと思われた瞬間、エリカがひた隠しにしていた秘密があらわになる……。


レビュー

どんな恋愛映画なのかなぁ〜とか思ってた私は殺されました。恋愛映画というか、サイコスリラーと言っても過言ではないかと…。

そうだった、これはハネケ先生の映画だった…。

過過過干渉母に抑圧され続けたピアニストの女性が、それ故に歪んでしまった性癖のドアを、青年が知らずに軽くノックしちゃって、1回ノックしたくらいならいいんですけど、まぁまぁな勢いで爆裂アタックしてしまい、ドア開いちゃったよお前これどーしてくれんだよ、みたいな感じなんですけど(は?)

性癖という部分だけでいうと、

「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」とかが分かりやすい例だと思うんですけど。
(皆が羨むモテモテイケメン社長は、実は極度のSM癖の持ち主で、更に女性を本気で愛したことがない。いつも契約書を交わして「付き合う」ことをする。地味で男性経験もない優等大学生のヒロインがそのお眼鏡にかなってしまい、恋に落ち、まさかのSMの道に堕ちてゆく…みたいな)

(ちなみに私はフィフティ〜好きです!プリティ・ウーマンみたいで)

これは自分の欲望について認知してコントロールできてる人達のお話。遊べている人達。

「ピアニスト」は全くもって違う種類のお話。

エリカの場合は、認知もできていなければ、当たり前にコントロールもできない。今までのやり方にはワルターが入る余地はない。(他人のカーセックス見て絶頂に達し、その場で放尿したり←こんなシーンこの映画でしか見たことない)だからとワルターに命令通りにされてもエリカは満足できない。

エリカの秘密の告白的な手紙を読んで、めっちゃ好きだけどマジで信じられねぇ!!ってなったけど、やっぱ気になる!でもやっぱ信じられねぇ!!でも好き!!ってどんどん狂ってきちゃうワルターくんには、ほんまに一生同情します

でもワルターくんは心底エリカに惚れてしまってるので、離れたくても離れられない。2人とも求め合っているのに、1つも噛み合わない。この噛み合わなさの、イきそうでイカない感じ、押したり引いたりに、観てるコチラまで振り回される。このバランスがすごい
ぶん殴ったり、切ったり、視覚的にも血の赤が出てくる次の瞬間、キッスしてたり、無機質な景色が広がっていたりする。

エリカに共感することはできないが、なぜかラストシーンで「ああ、良かった」とカタルシスに似た感覚を得るのですが、それはホントにカタルシスなのか、この悪夢が終わってくれたことに胸をなでおろしてるだけなのか、その両方なのか、あなたはどうなのでしょうか。

あと普通におもしろすぎて、無音のエンドロールで爆笑とガッツポーズはしました。


推奨環境⚠︎1人(カップルダメ絶対)
filmarks
https://filmarks.com/movies/14248


「アメリカン・サイコ」(2000)

監督 メアリー・ハロン
102分
アメリカ


あらすじ

80年代のニューヨーク。27歳のハンサムなヤッピー、パトリック・ベイトマンは一流企業の副社長。高級マンションに住み、美しい婚約者もいる彼は一見誰もが羨む生活を送っていた。しかし、彼の心の中には深い闇が広がっており、突如襲う衝動に突き動かされ、夜の街をさまよいホームレスや娼婦を殺害していたのだった……。


レビュー

アタオカ映画。

アメリカ、ニューヨーク、ウォール街のリッチ・エリート文化社会の強烈風刺のみで構成されているといっても過言ではない!

金持ち達のナルシズム、他人への無関心、見栄、偏見と差別。
名刺バトルや、どれだけいいレストランに予約できるかとか、謎のアホな戦いを繰り広げる男達。

主人公もその中の1人。
その張り合う男達の中の1人。
なのだが、その生活のアホ空っぽ加減にストレスを感じ(多分)、その発散方法に殺人がハマっちゃったという。

もうできる限り、やれるだけ、どんどん殺してゆきます。

「どんどん殺す映画」は想像できますけど(キングスマンとか戦争映画とか、殺すのが当たり前の世界、特殊な武器を使う、等々)、こんなほぼ毎回証拠隠滅できないよね、レベルの派手派手殺人繰り広げる夢設定は少ないかなと思います。こってる!

完璧な男が、そんな自分の狂気の歯止めが内からも外からも効かない、誰も止めてくれない、と知ってゆき、それに恐怖し、ボロボロになってしまうんですけども。

そんなことはさておき、
クリスチャン・ベイルの、空っぽの笑顔、癖の強い喋り方とか、部下へのセクハラパワハラとか、細かい所作からむんむんにかもしでる、こんなヤツおる!おる!なんか何考えてんのか分からなくてめっちゃ怖いやつ!感

前の「ピアニスト」でもそうですけど、イッちゃってる人の描写はもはや笑えます
これもめっちゃくちゃ笑えます。

娼婦2人との最悪の濡れ場がありまして。
まさかの鏡に写った行為中の自分をチェックしてうっとりするとか、自分のシナリオ通りに2人を動かそうとするとか…!逃げたら全裸チェーンソーで追いかけるとか。

こういう極度の完璧潔癖主義ナルシストってほんとにいるのかな?

奇天烈映画ですけど、ストーリーはシンプルに面白いのでオススメです!


推奨環境⚠︎1人(カップルダメ絶対)
Netflix
https://www.netflix.com/jp/title/60000861
filmarks
https://filmarks.com/movies/27947


「エブリバディ・ウォンツ・サム!!世界はボクらの手の中に」(2016)

監督 リチャード・リンクレイター
117分
アメリカ

あらすじ

1980年夏、野球推薦で大学に入学することになった主人公・ジェイク(ブレイク・ジェナー)が、個性豊かで騒々しいチームメイトたちと野球はもちろん、女の子、お気に入りの曲、パーティ、お下劣なジョーク…あらゆることに全力で打ち込み、新たな出会いと成長、そして恋を経験する。

レビュー

私はリチャード・リンクレイターが大好きです。

うっわ最悪、こわ、この脳みそ筋肉の人達の乱痴気騒ぎ!イジメにしか全力出さない先輩!単純にバカ!すぐキレるめんどくさい先輩!モラルなし、変人、女、酒、野球、勝利、洗礼

そんな映画。ひどい。

でも私には、こんな憧れるシチュエーションだらけの夢映画はない!!!!

あとギャグセンスも最高!
Rapper's Delightを車ん中でデカい男たち5人が本気で歌うシーンがあって、これきた瞬間に爆笑しながら名作を確信しました。

https://youtu.be/cZLoKbPQHy0
(大好きだからYouTubeリンクのせときます。)

こういう調子乗りのムカつくうるさい男子達だっていうキュートなキャラが、端々に出まくってる。

この映画のすごいところはそこ!
筋肉モリモリ男達のアホさの最たるところは、それ以外の人達との差で表現してない。コイツらだけでコイツらのキャラは確立されている。

だから見てて楽しい。
ある意味、弱いものいじめとか、胸クソ悪いシーンは実は無いんです。
ケンカや後輩いびりとかはあるけど。それも野球部にだけ。無差別にムカつくやつぶん殴るとか、女の子に乱暴するとはない。
あくまで自分たちのフィールドで全力で遊んでいる。

コイツら好きだなぁ〜
ってなれる理由がもう1つ。

3日間どれだけ楽しめるか(←これに命かけてる)ということで、自分たちが普段行ってないジャンルのパーティにも、場違いでも行ってみよう!楽しいかも!ってちょっとバカにしてた所にも足を運んで、ちゃっかりそこの皆も尊重して楽しんじゃえる柔軟さ!

物語はずっと最高潮ではなく、「3日間」が終わってゆく流れと共に、映画も段々深くなっていきます。
これから始まる者、これから終わる者、夢を見る者、現実に生きる者、立ち止まったままの者、さっきまでバカやってたそれぞれが「さて、どうしようか」と未来を見据えて腰をあげる。

有限(3日間、大学生活、大人になるまで)だと知りつつ、「無限」に遊ぶ。

野球部員達が語り合うシーンは割とジンときます。
1度は味わったことのある様な感覚、大人って、未来って、これからって、どうしたらいいんだろう…がつまってます。

ごちゃごちゃ言いましたが、めっちゃ楽しいパーティー映画です!
リンクレイターの魔法がつまってます!


推奨環境⚠︎1人、爆笑できる人
filmarks
https://filmarks.com/movies/63166


毎度のことながら、ここまで読んでくださった稀有な方、ありがとうございます。毎度じゃない方はむしろありがとうございます。今後ともごひいきに、引き続きよろしくお願いします。

スキ、コメント、色々待ってます!
リクエストご意見などもいつでも欲しいです!

第6週になってこう、じわじわ思ってきているのですが、このnoteを読んでくれた人が、楽しくなったりうれしくなったり(プラスの気持ちが働くのをここでは目指している)、ついでに私の考えに興味を持ってくれる方がいたらうれしいな、と。じわじわしています

ではまた来週!!!


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