ハマスーイスラエル戦争:テロ組織のゲリラ戦と国家の対抗策について

はじめに

10月7日、ハマスはイスラエルへテロ攻撃を行いイスラエルとの戦争がはじまり、10月13日時点でまもなくガザ地上作戦が行われようとしています。
当記事ではこれまでの経過からこの戦争についてハマスとイスラエルの話を中心に私が思う事を文章にしました。
人によっては当記事の内容をハマスまたはイスラエル寄りと取ったり、非人道的と感じるたりする方もいらっしゃるでしょうが、あくまで私という平和を望む一人の民間人が書いたものだとご理解ください。

これまで起きた事

ハマス

・ガザ地区からイスラエルへ大規模なロケット攻撃を行う
・ガザ地区からイスラエルへ侵入
・イスラエル側の民間人を殺害・拉致
・ハマス指導者・シンワル氏が死亡
・「警告なしにガザ地区を攻撃した場合、人質を処刑する」と予告
・世界中のパレスチナ人やアラブ人に動員の呼び掛け

イスラエル

・テロ攻撃を受け、ネタニヤフ首相が「戦争」を宣言し報復作戦を開始
・ガザ地区にあるハマスの拠点などへ空爆を行う
・ガザ地区への電気や水道、ガスなどの供給を停止
・予備役30万人を招集
・ガザ地区住民へエジプトへの早期脱出を勧告
・ヨルダン川西岸地区とガザ地区の間のすべての国境と検問所を封鎖し、ガザ地区を完全包囲
・ラファ検問所のパレスチナ側のゲートを空爆し通行不可にする
・ガザ北部住民に24時間以内の退避勧告

各国の動き

・米英独仏伊の首脳がハマスによるテロを厳しく非難
・中露とイスラム諸国のサウジやトルコなどはハマスへの直接の非難を避ける
・イランはハマスの攻撃を称賛
・シリアがイスラエルへ攻撃
・レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラがイスラエルへロケット弾による攻撃を行う
・エジプトはガザ地区へ物資の支援を行う
・各国でイスラエル・パレスチナ双方のデモが行われる
・日本の外務省がハマスの攻撃をテロと非難
・米が2隻目の空母を地中海へ派遣

ハマスの目標

ハマスの目的は武装闘争によりイスラエルを打倒し独立国家としてパレスチナ人によるイスラム国家を樹立する事で、これによりイスラエルの支配から解放される事とパレスチナの土地を取り戻すことが目標です。

国際法上では国家として承認されるためには主権領域国民の3つが必要であり、またその承認は他国が判断するため外交も必要です。
仮にガザ地区をパレスチナ国家にしようとした場合、国民に関しては問題ないとして、ハマスはテロ組織でありながら実質的な政府としてガザ地区を支配していますがその地域はイスラエル軍に封鎖・占領されているため主権と領域が機能しているとは言いづらく、また各国もパレスチナ問題に触れづらく報道も多くないため外交にも難がある状況です。
その状況下でパレスチナに目を向けられないのであれば、嫌でもこっちを向くように行動を起こせばいいのです。つまりテロです。

テロとは軍事行動による恐怖で社会に悪影響を与えて自分たちの目的を達成しようとするものです。ただし、軍事行動と言っても国家とテロ組織では軍の規模に大きな差があるため、まともにやってはテロ組織側は勝つ事ができません。
そこでテロリストがとる戦略は、ゲリラ戦による軍事行動で恐怖を拡散しながらも自分たちの被害を最小限にしつつ時間を稼いでなるべく長く軍事行動を継続することになります。
軍事行動を長く続けることによる影響は以下のものがあります。

  • 軍事行動による心理的打撃

  • 軍事行動による経済への悪影響

  • 軍事行動によるプロパガンダ(政治宣伝)

  • 軍事行動による強制外交

個々の解説は割愛しますが、現代社会では情報が世界中へすぐに伝わるため戦闘地域周辺だけでなく世界中へ悪影響を及ぼすことができます。
戦争に時間をかける事でイスラエルを敵視する諸外国または他のテロ組織が便乗してイスラエルを攻撃する可能性もある上に、なかなか終わらない戦争に辟易した世論により平和を求めて停戦を唱える声が増えることで、戦争初期では国家側に傾いていた世論が離れていく事になりかねません。

仮に、その世論が無視できないほど大きくなりイスラエル軍が停戦または軍の撤退を行えばテロリストの勝利となり、目的の達成の他に次のテロの準備ができるようになります。
こうなればハマスの勝利です。

イスラエルの目標

そのため、イスラエルは戦争の早期決着を目指します。
イスラエルの勝利条件はテロリストの殲滅と自国の防衛成功であり、テロリストがゲリラ戦を行いながら戦争に時間をかけようとするならばそれらを行えないようにすれば良いのです。
そこでイスラエルがとった作戦は以下のものです。

  • 空爆

  • インフラの停止

  • ガザ地区の完全包囲

ゲリラ戦とは小部隊で奇襲や嫌がらせ行い、敵を消耗させる戦法です。
空爆はその攻撃力もさることながら、町を破壊し平らにすることで奇襲を難しくできます。また、インフラの停止と完全包囲によって生きるために必要な水や食事、戦うために必要な武器や医療品などの確保が難しくなり継戦能力を奪う事ができます。逃亡もできません。

もちろんこれらは国際法に抵触するものですが、小部隊で戦闘を行い地下トンネルも用意してテロリストの基地と言える場所も発見が難しいとなればどのようにテロリストを攻撃しろと言うのでしょうか。
また、ハマスは教育、医療、福祉活動を行っていたことからこういった事態を見据えて学校や病院といった攻撃しにくい場所を基地としている可能性も考えられるため、イスラエルがテロリストと戦おうとすればガザ地区全体を攻撃せざるを得ないのです。

さらに厄介なのが他国や各種団体からのガザ地区への人道支援です。
人道支援により人や物資が入り込めば支援者たちのいる地域では大規模な攻撃は行えず、兵糧攻めの効果は薄くなる上に間接的にテロリストへ物資が渡る可能性があり、支援者の入り口が作られれば同時に出口もできることになってテロリストがそこから脱出しそのまま逃亡または別ルートでイスラエルに攻撃を行いかねません。
しかもこの人道支援に非協力的な姿勢を見せればイスラエルは非人道的な国家と扱われる事になります。(実際そのような事になっています)

しかしこれらの作戦を行ったとはいえイスラエルはガザ地区の民間人へ退避勧告を何度も行っており、民間人の完全退避が現実的でないとしても避難所や南部を避けて攻撃しようとする努力姿勢を見せています。
それに対してハマスはガザ地区の住民に自宅から退避しないよう呼び掛ける声明を出すという、住民を人間の盾として使おうとするようなとんでもない事をしています。

これらの事からイスラエルがどのような結果になろうとも多大な犠牲を払う事になり、たとえ勝利してもひどくつらいものとなるでしょう。

おわりに

今回の戦争はイスラエルとパレスチナ双方に根深い歴史があるためどちらが悪であるかとは言えませんが、テロ行為は悪ですし戦争はクソです。
テロを行う連中の主義思想など平和に暮らす民間人には何の関係もありませんし、その主義思想のために民間人を利用し攻撃するなど言語道断です。
これ以上犠牲者を増やさないためにもこの戦争が一日でも早く終わる事を願っています。

参考リンク

外務省ーガザ情勢
https://www.mofa.go.jp/mofaj/me_a/me1/palestine/page22_001217.html

法務省公安調査庁ーハマス(HAMAS)https://www.moj.go.jp/psia/ITH/organizations/ME_N-africa/HAMAS.html


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