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世界的な呼称「アオキロック」と自分の技を後進がアップデートしてくれることでのギフト

先日のONEの試合でマイキームスメシさんが僕に極めた、踵を抜いたアキレス腱固めとヒールフックの間のポジションが「アオキロック」と世界的に呼ばれているのに驚いた方もいるのではないかと思います。これに関しては何を隠そう僕が一番驚いて、そして恩恵を得ています。技を出すときから狙ってやったわけではないし、世に出して13年経って「アオキロック」と呼ばれているのに対しては、ここまで一生懸命やってきたボーナス感が否めません。

踵を出して極めるアキレス腱固めは2010年の青木真也対川尻達也戦のフィニッシュに用いた形なのですが、従来のベーシックなアキレス腱固めとは違って踵を出して浅く強烈に極める形で、僕が練習を繰り返して試行錯誤の中でオリジナルな形として世に出した技だったので、今までにまったくなかった形だけに世に出たときのインパクトがありました。

浅く抱えて踵を抜いて極めるアキレス腱固めは、従来のベーシックなアキレス腱固めとはまったく異なる形で最初に見た人は意味がわからなかったと思うのですが、一度世に出てしまうと研究されて進化していくもので、気がついたらグラップリングで標準装備な技になっています。2023年の今はアオキロックを知らないグラップラーはいません。

ジョンダナハー門下の足関節システムによる足関節技の隆盛の流れにも後押しされて、アオキロックがポピュラーな技になったのはあるのですが、アオキロックの技名がついたのも僕としては有り難い話です。命名に関してはラグランジャイルスが教則の中で、アオキロックと名付けてから急速に広まったのが僕の認識です。敬意を持って名付けてくれたとは思うのですが、感謝でしかないです。

アオキロックに関しては技名でもあるのですが、それ以上に踵を抜いたアキレス腱固めとヒールフックの間のポジションをアオキロックの呼称がついていて、技名ではなくポジションになっているのは大きなポイントです。イマナリロールのような技名だと流行り廃りもあるし、技名なので使われる頻度も少ない唸ってきますが、ポジションになると形として説明の際に使われるので定着の度合いが違うのは有り難いことです。国際柔術連盟のルールブックにも「アオキロック」と称されていて、世界的な呼称になっているのは有り難いとしか言えません。

マイキームスメシさんがアオキロックを得意にしていて、青木真也にアオキロックを極める相当な実力と余裕がないとできない横綱相撲を繰り広げることで、世界で知られて今以上に定着するダメ押しをしていただいた感は否めませんが、こうして世界に広がることは僕がやってきたことが今後も引き継がれていく意味では大事なことだと思いますし、試合後の彼の青木真也に対する尊敬と今までのレガシーに対する敬意のコメントには感謝でしかありません。マイキームスメシさんは悪い奴じゃないけど、変わった奴で共感とか理解は難しい気もするけど、互いに敬意と適切な距離はあって有り難い関係でいてくれるなと思います。スイカ騒動で試合消滅もある中でムスメシさんもプロフェッショナルになって、穴をあけなかったことは物凄い成長だと思うし、何年後かに青木真也の言っていた意味もまたわかるんじゃないかと思います。今はわからず競技を極めてください。お互いにお前はそれでいいや!でいきましょう。まあそれはそれとして。

踵を出すことでアキレス腱固めとヒールフックの間のポジションで極めたらより強烈になる発想は僕のものだけれど、そこから発展させてより完成度の高いものに練り上げて行ったマイキームスメシさんを始めとする柔術グラップリングの方々には感謝でしかないです。僕は0−1はできたけれど、そこから広げて10に100にしていくことはできなかったので、皆さんが練り上げてアオキロックを押し上げてくれたことには感謝でしかないです。

最初にやったのはワシだ!すごいだろ!なんて気持ちはまったくなくて、練り上げてくれて、世に出してくれて、青木の名前を冠してくれて、本当にありがとうの感謝の気持ちしかありません。ここまで頑張ってきたギフトをもらった感があります。本当にありがとう。そしてここまで頑張ってきてよかったです。

アオキロックはサンボの松本秀彦さんに教えてもらったサンボ着を着たアキレス腱固が基軸になっていて、そこから今成正和さんや長谷川秀彦さんと足関節の攻防を練る中で浅くして踵を出して極める「アオキロック」が出来上がってきました。すべてを自分で考えたというよりかは松本秀彦さんから教わったアキレス腱固から、今成正和さんや長谷川秀彦さんのエッセンスを取り入れて出来たのがアオキロックなので、他の芸術と同じく誰々の流れを汲むものです。

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