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クインテットとグラップリング プロ興業ベースの商売は難しい気がする話

クインテットをAbema観戦していたのですが、グラップリングの攻防をそれなりに理解できて、実際の競技者である僕が退屈で最初から最後まで通しで見ることができずに脱落してしまい、何を今更の話ではあるのですが、グラップリング単独の興業は難しいものがあるなと思いました。

客入りも画面と現地から送られてくる写真を見る限りはお世辞にも満員とは言えず、放送を視聴してもらう以上に集客も厳しいのはグラップリング大会の抱える問題だと感じました。そもそも柔術やグラップリングは観るスポーツというよりもやるスポーツの側面が強くて、やっている側はめちゃくちゃ楽しいけれど、観ている側は地味で何が何だかわからないモノなので、興業として成り立たせようとするのが未開の地と言っても差し支えないほどのように思います。

ONEではグラップリングの試合をMMAやキックボクシングの試合に混ぜ込んで客を退屈させないように工夫していて、ルールセットやマッチメイクの創意工夫はあるにしても、現状グラップリングをプロの興業として成立させるのはONEの形式がベターなのかなと僕は思います。諸々つっこみどころはあるにしても1試合のファイトマネーや露出を考えると「プロ」と呼んで差し支えないレベルにあるのはグラップリングではONEなのかなと思っています。まあそれはそれとして。

グラップリングにおいては一本を極める難易度が高いです。ある程度のレベルの試合や実力が拮抗してくると、極まらないのが前提で試合を組み立てているところがあって、ポイントや判定を見越して試合を組み立てていくので、一本決着はなかなか見られません。それに合わせて片方の選手が攻防をディフェンスに特化されて守りの試合をされると一本を極めるハードルは一段と上がってきます。わかりやすい例としては昨年の青木真也対ケイドルオトロの試合は僕が守りに寄ってフィニッシュされずに終わりました。

各団体が出来るだけ攻防があって、観客に受け容れられるような試合を提供しようと躍起になっています。グラップリングの課題であり、創意工夫できる幅として、「ルールセットが確立されていない」点があります。確立されていないからこそ、チャンスだと感じて参入者が絶えずいるのではないでしょうか。

クインテットは本来は退屈なはずの引き分けを、団体戦の作戦としての引き分けにすることで、退屈にさせないようにと考えたのは発見だと思いますが、実際は引き分けが続くとストレスが溜まるのは事実で簡単には行かないです。各団体ともにポイント制はポイントゲームで退屈になるし、サブミッションオンリーはディフェンスに特化する選手が出てくるし、決着をつけようと延長サドンデスにしたら、サドンデス勝負になって本質が変わってくるので、一長一短でルールは確立されていないです。

グラップリングをプロ興業にしようとするのはそれこそ「革命」レベルに難しいです。誰かが革命を起こしてグラップリングを確立させたとき。瞬間一人勝ちにはなりますが、結果、一気に開けて多くの人が潤うようになるのではないかと思います。ただ僕にはイメージができないので、夢のような話を飛び越えて、与太話に聞こえてしまうほどにグラップリング興業の勃興しては廃れていく様をこの20年で見てきました。まあそれはそれとして。

僕はグラップリングや柔術の可能性は違ったところにあると思っています。

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