刀篤(かたなあつし)
刀篤(かたなあつし)の厳選した詩集です。
刀篤のRe:STARTから過程を追う詩集です。
ボルヘス著『幻獣辞典』から着想を得る詩篇です。
七つの美徳をモチーフにした詩篇です。
生きている意味を 真剣に考えてみたんだ 他の人のことは知らない 好きな人に伝えたいことがある それをどう云う風に伝えるか それを考えていることだ
輪をぼくに帰してくれないか 盲信するコミュニティの猛進する歯車 勝利の雄叫びや性の悶えへの回帰 涼やかな風に遊ぶ子どもたちの輪 きみと過ごした半ヶ月との邂逅 ぼくも輪の一部だったんだよ ぼくの存在のすべてを差し出すよ 札束だって何億何千万とあるよ 輪の外でぼくたちは出会った きみの履歴に涙すること きみの息災に涙すること きみの面影に涙すること 決定的に失ったぼくは失った
拝啓/ あなたの日常生活に『ジャガイモ』の皮を 所有のピーラーで剥く文化が有るか否か それによって文人としての行く末が変わる という仮説が現実味を帯びてきたこの頃 有る/存命内に大成する可能性 否/死後歴史に名を刻む可能性 日々に於いて益々ご健勝喜ばしい処 もし『ジャガイモ』の在庫無き場合の ビーフシチューには『ブロック肉』を ご採用くださるようお奨め申し上げます /敬具 追記/
退院しました。元気です。
1つずつ数えた白い106錠 何かを完遂したつもりの 『Brotizolam』は確かに 素晴らしいさよならの一種の 作法だったことは間違い無い あの人に詩を贈らないこと あの人にのめり込まないこと 二度とあの人に会わないこと 中庭できみがぼくの 『Creativity』を理解して ぼくはきみに恋をした わたしに詩を贈らないこと わたしに特別固執しないこと 二度と自分で死なないこと 1つのベンチに番いの刀鍛冶 鋭い光を透過する一振りの刀 『Sanatorium』トノ切ッ先
今後の新しい仕事として、ピアスタッフとして働く意志が固まってきてるのですが、この入院で関連本を1冊既に読了しており、何となくビジョンがしっかり開けてきてます。資格を取るのはハードルがかなり高く、資格に拘るわけでもないのですが、選択肢が広がる利点を考えると何らかの資格を取ることも視界には入れています。僕のやりたいことは作業療法士の資格と親和性が高いことも把握しており、金銭的にもスケジュール的にも取るのはかなり難しいですが、取れるものなら是非取りたい資格です。作業療法士的な活動の
ヒマです。詩を凄いペースで上げてますが、ヒマなんです。退院したらやることが山ほどあるけど、今はヒマです。 週2回音楽鑑賞会みたいなのがあってリクエストした曲のYouTubeをみんなで鑑賞するのですが、それが今の一番の楽しみです。あと食事がほんとにやばい感じで美味しい。
早朝/ /リバイアさんは悩んでいた 今日はバハ武藤くんと 初めてのデートなのだが 何を着て行ったら良いか わかんなかったのだ 朝/ /リバイアさんは焦っていた やはり着て行く服は決まんないし 髪型も思い通りに決まんないし 挙句トイレにスマホを落とし 対処法もわかんなかったのだ 昼/ /リバイアさんは困っていた バハ武藤くんはやさしく ゆっくり選んでねと言ったが ドリアって何？ペペロンチーノ？ マッシヴ・アタックって料理なの？ 夕方/ /リバイアさんは辟易していた 会話し
シンジくんに対して皆が 優しかったのはたぶん シンジくんが苦しんで めちゃくちゃ頑張った そういう事実とは関係なく 社会がそう在るのかもな 哀しい歌が好きになった 静かな衝動が好きになった お年寄りが好きになった 福祉の仕事が好きになった 老いた両親が好きになった 血圧を測る時間だ
腿肉の緊張と弛緩 楽曲と協調破調し しなやかに烈しく 美の概念を拡張し ああ、なんという 終わりのない練磨 バレエダンサーの 肉体の誇り高さよ 静的動的な連続性 瞬間瞬間の格調に 質量としての個の リミットを超越す
新しい服を買ったら それは鏡の前で 飛び跳ねるし 好きな音楽を 見つけたら やっぱり鏡の前 夜はアスファルト 寝転がって音楽 服と冷たい風 月にわたしが映る
此処に100円玉をひとつ 同じ様に50円玉をひとつ どのジュースが良いかな？ ライチヨーグルトが好きなのよね 此処のこのボタンを押してね ギュッと力を入れて そうそう ほら落ちてきたよ自分で取れるかな 取れた取れたライチヨーグルト ストロー刺してあげるね
24日に退院することになりました。この先自殺企図はもう絶対しないと思います。約束したので。今はヒマなので本読んだりめっちゃ詩作ってますが、スマホの通信制限でもう4000円チャージしてしまいました。なるべく控えます。食事がほんとにとてつもなく美味しいです。
嘗てICUの羊水の中に居たぼく 妖精たちの祝福を受けたタトゥーの シールの様な中庭には光が射しており 其処は同じ境遇の別のタトゥーを有した 美しい無垢なネコ科の縄張りだった 最も美しい雌猫は最も無垢なシールを ぼくの心臓に貼りつけ最も速やかに 去っていった 温もりを残して行った ゴロゴロと喉を鳴らしたものだ 何しろぼくは陽向に居たのだもの 嘗てICUの羊水の中に居たきみ 深い眼差しでぼくを畏れさせ 安心させ愛させ同じ心を共有した 心は詩だった 陽向の中庭のベンチに 並んで
子供は純粋それはそうだろう 純粋さと美しさを混同すると 君も僕も死ぬことになる 深く蒼い美しさを期待すると 君も僕も死ぬことになる そしてその時の二人の死は 恐らく深く蒼く純粋で美しい 恐らく大人である所以だ 君も僕も死ぬことになる
でんぐり返しをして ｢おれも地球と同じになったなぁ｣ そう言って笑う
