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銀河鉄道

長閑な山間部

のんびりゆっくり
3両電車が走ってくる

古ぼけた汽笛
錆びた線路が鳴く

日本中を走ってきた
年老いた僕は

長閑なこの街にやってきた

余生は静かな場所で
ゆっくりゆっくりと
こっそり僕は思っていた

ガラガラの客席で
居眠りするおじいさん

カバンから
みかん取り出し
くるくると皮を剥いて
美味しそうに食べるおばあさん

ガラガラの電車の中で
ぴったりくっついて
愛を語る恋人達

「あ!乗り過ごした!」

酔っ払って寝てしまった
サラリーマンが
途方にくれていたり

時がゆっくりと流れる
この町が僕は好きなんだ

僕は嬉しくなって
汽笛を鳴らす

踏切で小さな男の子が手を振っていた
ゆっくりゆっくり
走ったから
その子の笑顔も見れたんだ

だけど
僕もいよいよ
動けなくなった

さよならと書かれたプレートを
首から下げて
ラストラン

あの男の子は泣いていた
寂しいと

だから
この日だけは特別に

僕は彼に言ったんだ

僕は神様から
夜の空を走るように言われたんだ
夜の空でも
電車に乗りたいという人がいるんだって

男の子のは顔をあげた
涙でグシャクジャの顔をしてた

ほんと?

泣き声で男の子は言った

本当だよ
天気の良い
星が輝く夜に
空を見てごらん
きっと
僕に会えるから

男の子は小さく頷いた

翌朝
「おつかれさま」
運転手さんが優しく
僕を撫でた

僕は汽笛を鳴らし
空に向かって
走り出した

その夜
僕は星と星との間を走る
銀河鉄道になった

見下ろしたら
男の子が見ていてくれる
そんな気がして
汽笛を精一杯鳴らした

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