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ヒメジョオンな彼女と私

確かにそれはそうだと思うのだけど。

「どうせ私は、そこらへんに咲いてるヒメジョオンみたいな女だから」

知り合った女性がそう話すのに、うまく反論できなかったことがある。

ヒメジョオンはひっそりとした、小さく控えめな花だけど、
草原という表現の似合うあちこちの場所に咲いている。

薄い黄緑色の柔らかな茎が、高くまっすぐ立ち上がり、
その葉はぺたりと自分のテリトリーを確保して広げはするけれど、
その根は素直で、抜きやすい。

きっと雑草と区分けする人と、
ちゃんと花と区分けする人が存在するグループに属している。

私は「ヒメジョオンは花」と区分けする方の人かな。

咲いて欲しくないところは、他の強健な花と同じ扱いで抜くけれど、
「自由に咲いてていいよ」と思えば、増えすぎさえしなければそのままだ。

今、私の花畑の真ん中に立つと、
白い花々がユラユラと小さく揺れて、風の形や行き先を教えてくれる。

足元に夏雪草、エリゲロン、シロツメクサだって。

膝丈に小菊、オルレア、
腰のあたりにフランス菊、シャスターデイジー、おだまき、
それからヒメジョオン、胸に届く高さに牡丹、芍薬、ジャーマンアイリス。

一番自由に咲いているのはヒメジョオン。

どこと嫌うことなく、何かと寄り添って、一人で立ち上がったり、
ちゃんと場所を選んで仲間を増やしたり。

小さい頃の道草はヒメジョオンがいつも見ていた。

タンポポの綿毛を飛ばしたり、サルビアの蜜を吸ってたり。

茎からちぎれないように実を割いて鳴らすぺんぺん草。

イネ科の雑草はその花茎がスーッと気持ちよく抜ける快感。

オオバコの葉で、どちらが強いか友達と引っ張り合って勝負する。

母がため息をつく、洋服にたくさんのひっつき虫のような実。

ピュッと出るのが面白くて、コスモスの蕾を潰して歩く。

クローバーで作る花冠や首飾りや指輪。

そういえば、どこからここまでやって来たのか、
ヘビ苺の小さな赤い実がポロポロとその存在を主張している。

もう、つまんで遊ぶようなことはしないけれど。


ヒメジョオンは懐かしさと切なさのかたまりのような花と思う。

どこにでも咲いているけれど、どこに咲いていても可愛らしいのに。

いつもヒメジョオンを通して、幼い私を見てしまう。

花もただ咲いているだけなのに、みんなに評価されてしまうんだね。

日本には1865年頃に観葉植物として導入され、明治期には雑草となっていた[6]。現在では全国に広がり、各地で野生化している。在来種の植物の生育を邪魔する可能性があり、とくに自然豊かで希少な植物が多く生育する国立公園亜高山帯では問題となる。そのため、ヒメジョオンは、ハルジオンとともに要注意外来生物に指定されているほか、日本の侵略的外来種ワースト100にも選定されている。

ヒメジョオン - Wikipedia



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