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「好き」だけを凝縮*もっとシンプルな暮らし

なんだか似ているなあと思って、眺めてしまったけど、そんなはずはない。

もっと目立つ、派手さがあって、人によってはけばけばしい印象で、
実はセンスのいいファッションで、小顔だし、ギャルママ風なはず。

髪の色は明るく綺麗だけれど、一見して風景に紛れ込む普通の女性。

シンプルな服で、細いネックレスが目に入るくらい。

飾り気のない笑い声と、ふところに入ってくる会話が懐かしい。

抱き心地の良さそうなふくよかさ。

え、え、いつのまに変わった?

ニュアンスすら残していないんだけど。

シンプルとは思ったけれど、ちょっとお金をかけたお洒落は変わらない。

単に、普通に年を、ちゃんと重ねたということか、と納得する。

好みや傾向はそうそう変わるものではないはずで、
可愛いものが好きな人は20代の「可愛い」があり、
30代や40代の「可愛い」がある。

とんがった格好が好きなひとだって、
その年齢ならではのとんがり具合があるはずだ。

時々、いわゆる「イタイ」感じの女性を見かける。

十年一日のような服装。

十年一日のような髪型。

十年一日のようなお財布やバッグ。

大事に使っているのは分かるし、私もそうだけれど、
自分では、その服は色褪せてクタクタだと気づかない。

健康で元気な髪でなければ、
バサバサに乾いた長い髪型は不潔感を見ることもある。

高価な持ち物だったとは分かるけれども、
角だって擦り切れて、白くなっているのは古くなった証拠。

そりゃ、大切にするのも、例えば形見だとか、
プレゼントだとか理由があるけど、それは安くて新しいものじゃダメなの?

ヘアオイルやフォームやワックス使っても広がる髪は、
さっぱりとさせて、もう少し肩までとかで、短くしてはダメなの?

クタクタでトロトロになった服は、自宅で着るか、
カジュアルを目指すか、新しいものと組み合わせるのはダメなの?

彼女の長い髪は、肩までのボブにすっきり変わっていた。

指輪だらけの手は結婚指輪ひとつになり、短く整えられた爪。

ピンと張りのあるシャツブラウスは、年齢にあった落ち着いた色。

思わず自分を振り返り、会っていなかった年数を数えた。

いつかは読もうと思う本は、きっと読まないと思う。

そのうち出かける時に着ようと思う服は、きっと着ないと思う。

取って置こうと思ったあれこれが、まだまだたくさんあることに気づいて、
ひとまず3年、手に取っていないものは処分しようと、彼女を見て誓った。

思い出と過去の中で暮らすより、
これからの新しい何かに囲まれて暮らそうと思う。

彼女に会えたのは、そんな神様からのアドバイスかも。

私はまだ、過去の心地よさの中で暮らしていることに気づく。




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