見出し画像

さよならだけが人生だ*毎日note270日を前に

日常のどこかで、知らず知らずに井伏鱒二の名訳をかみしめている。

「さよならだけが人生だ」

空を見上げると青が綺麗で、雲の白がリラックスして浮かんでいる。

山の木々は緑が濃くなり、これがベストの色と落ち着いたように思う。

真っ直ぐな杉の木にからんで、高く高く伸びていく藤のツルは、
もはや手入れする人のいない山だ、と思いながらも、
その薄紫に染まる遠景に見とれてしまう。

「杉の木が可哀そうに」

ふと父の声が聞こえた気がして、仏壇のリンを力強く鳴らしてみる。

白檀のお線香は心の姿勢を正してくれるような香りを発する。

桜のような花の香や、いまどきのお線香はコーヒーの香りまである。

仏具屋さんには握り鮨の形をしたろうそくや、
キャンディの詰まったようなろうそくとか、面白いものが置いてある。

パソコンの脇に置いてある文具雑貨は、黒で統一していて、
テープカッターも黒の合成皮に白いステッチでお気に入りだ。

何年か前にいただいたお誕生日カードは、少し色褪せたまま飾っている。

目の前には綺麗なシノワズリなデザインのパッケージの紅茶。

(そろそろ飲んでみよう)

お気に入りのものたちに囲まれて、
のんべんだらり生活の中で、時間を意識することは、とても大事だ。

ともすると、何かを忘れてしまう。

変わらないことに安心感があっても、
変わることを多分自身で願ってるんだと思う。

増えていくものは物理的なものたちと未来の予定の数々。

減っていくものは物理的なものたちと、やはり未来の予定の数々。

相反するものがなくて、ただ変わっていくだけなんだと安心する。

note を始めてそれなりの時間が経ってしまった。

マガジンに登録していただいたり、サポートをいただいたりすると、
この場所に住んでいてもいいのかな?とウキウキした気持ちになる。

コメントに一喜一憂するたびに、3次元の自分が、
確かに2次元に入り込む自分の面白さも感じている。

高名な先生の、物理を交えた講演では、
さらりと「現在10次元まで解明されている」とお話ししてくださった。

年を重ねても脳のシナプスが増えることも分かったし、
もしや時間旅行できる未来も遠くないのかもと思うと、
ぼんやりとした生きる意欲が湧いてしまう。

内緒だけど、ちょっと止められない誘惑。

そろそろ時間配分を考えなおさなければいけないと思う。

スキしてくれた方の記事は真面目に面白く読んでいるけれど、
面白い話が多くて、フォローしている人の記事を、
すべて目を通せないことには少しいらつく。

だけどもそれでは、読んでばかりいる生活になってしまう。

スキしてくれる人がみんな、私の記事を読んでくれるわけではないことを、
もっともっと自分に納得させなければと思う。

(じゃあ、スキなんてどうでもいいんじゃないの?)
と、いうことなんかの、ある意味生活の本質を考えるのは結構楽しい。

まるでお料理をしてるみたいに、煮物と焼き物とお菓子と
明日の下ごしらえを同時進行してる時のように、
効率的な無駄な動きを無くして得したかのよう。

無駄を嫌い、別の無駄を楽しむ。

削ぎ落していく生活の中で、
誰かに削ぎ落される自分も、そろそろ気にはならなくなってきたのかも。

あと何十年か経って、時間の中に自然に溶けていくように、
忘れられるのが一番幸せなのかも知れないと思うこの頃。

それまではせめていろんな新しい言葉と、
忘れられない言葉たちと、美しい花々の近くに、ちゃんと住んでいたい。

これは内緒ではない、止められない誘惑。

誘惑される環境って、とても好きなんだもの。

それが何か?


この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

花の種じゃなくて、苗を買ってもいいですか?あなたのサポートで世界を美しくすることに頑張ります♡どうぞお楽しみに♡