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「判例百選は買った方がいいですか?」~「判例を勉強する」とは?

みなさんこんにちは!
勉強の進捗状況等はいかがでしょうか?
今回のnoteは、受験生のあるあるな質問を通して、「判例を勉強する」とはどういうことなのか、私の思うところを書いてみようと思います。
それでは、はりきってどうぞ!

「判例百選は買った方がいいですか?」
全受験生に生じるといってもいいくらいの質問・疑問ではないでしょうか。
私は、この質問に対して、「なぜそう思いましたか?」と回答しています。
この記事を読まれている方は、どのような回答でしょうか?
「百選掲載判例が大事と聞いたので」、「判例を勉強しなきゃいけないと聞いたので」といった回答もまた、あるあるでしょう。
ただ、当然の前提として、「試験に合格するために」百選掲載判例が大事、判例の勉強が必要ということは、受験生としては忘れてはいけないことでしょう。

さて、「百選掲載判例が大事と聞いたので」についてですが、それは、百選掲載判例であるかどうかが分かればいいはずなので、判例百選を買わなければならないということにはならないでしょう。
例えば、アガルートの総合講義、重要問題習得講座等のテキストでは、判例の年月日だけでなく、百選番号も付いていますので、百選掲載判例であるかどうか分かるということになります。
ちなみに、「百選掲載判例が大事と聞いたので」は、次の「判例を勉強しなきゃいけないと聞いたので」とつながっている回答でもありますね。

ということで、「判例を勉強しなきゃいけないと聞いたので」についてですが、ここで考えなければならないことは、「判例を勉強する」とは具体的に何なのかということです。しかも、それは「試験に合格するために」必要な勉強でなければなりません。
「判例を勉強する」という枠組みの中で受験生がしそうな作業の一部を羅列してみると、
・事案を読む
・判旨を読む
が挙げられるでしょう。
では、上記作業は、判例百選を買わないとできないことでしょうか?答えはノーですね。
例えば、アガルートの総合講義のテキストでは、判例の事案と判旨が記載されていますので、それを読めば、上記作業としての「判例を勉強する」は達成できます。
ちなみに、民法、商法の総合講義のテキストでは、判例の事案と判旨が記載されていませんので、上記作業としての「判例を勉強する」を達成するために判例百選を買うことは考えられます。また、それ以外の科目でもすべての判例百選掲載判例が記載されているわけではないので、記載されていないものについて上記作業としての「判例を勉強する」を達成するために判例百選を買うことは考えられます。
このように、どのような作業をイメージして「判例を勉強する」ことを考えているのか、それとの関係で判例百選を買う必要があるのか考える必要があるでしょう。

さらにもう一歩進んで、他の作業を考えてみましょう。
例えば、その判例に対する理解を深めるための作業として
・長文の判旨の中でのポイント・キーワードを知りたい、おさえたい
・その判例の射程を知りたい、おさえたい
などが考えられるでしょう。
ここで大事なのは、「判例を勉強する」際の作業項目は、「試験に合格ために」必要なものでなければなりません。
そして、そのためには、過去問の検討が避けられません。上記作業は、過去問の検討を通して、「試験に合格するために」必要だといえる項目といえるでしょう。
そして、上記作業は、事案や判旨をただただ眺めているだけではうまくいかない作業でしょう。そこで出てくるのが、上記作業の役割を担う形での
・判例の解説を読む
という作業です。
そこで、そのために判例百選を買って、その解説を読むことが必要だという結論にもなるでしょう。
ただ、注意点は、判例百選を読み進めていくうちに、上記作業=目的意識を失って、ただただ解説を眺めているだけという状況にならないようにする必要があるということです。多くの受験生は、次第にこの状態になっていきやすいので、本当に注意しましょう。
ちなみに、令和5年の司法試験の民法は、判例の理由付けの一部は今の制度では通用しない可能性があるので注意といった形で出題されています。ということは、判旨の理由付けが通用するかどうかを確認するために判例百選の解説を読むという作業も考えられるところでしょう。

まとめると、
「試験に合格するために」必要な「判例を勉強する」のイメージ=作業内容を具体的に持つこと、それとの関係で必要な教材を揃え、その作業内容で一貫して教材を潰すことが大事であって、その教材が判例百選なのだということであれば、ぜひとも判例百選を買いましょうということになります。
判例百選に限らず、あなたが「試験に合格するために」その教材等が必要なのかどうか、考えること自体を大事にしていきましょう!

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