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歴史的円安がもたらすアメリカ駐在員への影響

自己紹介

ご覧頂きありがとうございます。新卒で食品会社に就職し、営業職を経験したのちにアメリカの子会社に赴任。10年間超海外駐在しています。
自分自身への備忘録も兼ねてアメリカでの体験や自身の考えをnoteに残していきたいと思います。同じ境遇やこれから海外に挑戦したいという方にとって少しでも参考になれば幸いです。

始めに

2024年5月現在歴史的な円安が進行していますが、円安がアメリカ駐在員に及ぼす公私にわたる影響を分析してみたいと思います。

①給与の実質的な大幅減額

まず、海外報酬のベースが円貨の場合(多くの日本企業がそうだとは思いますが)、円安によって結果的に減給となる可能性があります。

例えば海外報酬含め1000万円の年収だったとすると1ドル=100円の時は10万ドルの年収ですが、それが現在のような1ドル=150円レベルになってしまうと約6.7万ドルまで下がってしまいます。

これは、円安により日本円での給与が相対的に低下し、駐在員の購買力が減少することを意味します。円安が続くと駐在員の生活水準に大きな影響を与える可能性を感じます。

実際、私自身この歴史的なインフレの中、実質給与が大幅減給という状況に陥っています。コロナ禍以降はインフレと円安のダブルパンチで明らかに生活が苦しくなったと感じています。

このような急激な円安は想定されていなかったのだろうとは思いますが、仕組みとして現在の実態には即していないように感じます。

②ドル建て金融資産の含み益

一方で、既にある程度の米ドル資産がある場合、歴史的円安は含み益を生む可能性があります。

円高の時に積み立てた米ドル金融資産が、円安の時に日本円に換算されることで為替差益が発生します。
これにより、一定の資産を持つ駐在員にとっては円安はプラスの影響があるとも言えます。

③日本からの輸入品価格が下がる

また、日本からの輸入品の価格が下がることも円安の影響の一つです。
日本の加工食品や調味料などは円安により値下げされやすくなり、駐在員の生活費が削減される可能性があります。

ただし、体感的には最近の歴史的なインフレ傾向により、この効果は相殺されさほどの効果を発揮していないように感じます。

アメリカでビジネスを行う日本企業には日本の親会社やグループ会社、下請けから原材料を調達している企業も少なくないと思います。
その際の支払い通貨が円貨であれば仕入価格が下がるということもあると思います。

④日本本社からの期待値が上がる

実質減給となっていまう給与とは逆で、米ドルを稼ぐアメリカのビジネスは日本本社にとって、より魅力的な事業となります。
その結果、日本本社からの期待値が上昇する可能性があります。

日本本社が駐在員に対して更なる業績向上を期待するようになると、駐在員はより高い業績目標やプレッシャーを受ける可能性があります。

最後に

総括すると、歴史的円安はアメリカ駐在員に様々な影響をもたらしますが、海外報酬のベース通貨や過去の資産状況、会社の業績や役職などで円安はメリットにもデメリットにもなりえます。

いつまで続くか先行きが見えない円安が続く中、駐在員はその影響を的確に把握し、適切な対応をとる必要がありそうです。

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