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『新古今和歌集』 藤原定家の歌をとんととんと解説!


『新古今和歌集』 藤原定家の歌(「梅の花〜」)を読む



今回は新古今和歌集の歌人の中から藤原定家を取り上げます。百人一首や源実朝の師としてご存じの方も多いでしょう。
読むのは次の一首です。

梅の花匂ひをうつす袖の上に軒もる月の影ぞあらそふ

助詞の〈に〉のお手本のような使い方。そしてその〈袖の上に〉の尋常でない使い方。
袖の上を舞台に、梅の花の香りと軒先から漏れる月の光が争う……発想の冴えに驚嘆してしまいます。同時代の歌人達も定家ヤベェと思ったのではないでしょうか。

それから最後の〈ふ〉。ここは読み方としては〈ウ〉と読むのですが、その文字としての〈ふ〉と頭の中で読んでいる〈ウ〉のズレに、僕だけかもしれませんがマッチを擦るような感覚を覚えるのです。特に、この〈ふ〉の時のマッチの火は美しい。

以前、こんな詩を書きました。
詩集『続素敵滅法界彷徨』から

「今晩は」
マッチ擦るような
残響の香り

「残響」

日本語は残念ながら旧かなを捨ててしまいましたので、今となっては「こんばんは」などにズレを、マッチを擦る音の残響をきくしかありません。しかし、〈は〉の時のマッチの火はイマイチなのです(何わけのわからん事をとお思いの方すみません。わたくし個人の見解です)

ハッとするような発想で香りと光をぶつけ、〈ぞ〉で強調し、〈あらそふ〉で、すぱっと終わる。定家かっこえぇぇ。


このような優れた古典を読むと、日本人に生まれて良かったなぁとしみじみと思います(海外の方も読める方はいらっしゃるでしょうけど)

スターひしめく新古今の歌人の中でも定家は特別な存在だと思います。が、もちろん定家以外の歌人も魅力的な歌をたくさん詠んでいます。
新古今全部(約2000首)はハードルが高いと思いますので、ビギナーズ・クラシックスの新古今和歌集(厳選80首 丁寧な解説ふりがな付き)で和歌をじっくりと楽しんでみませんか?


以上、重吉の古典への誘いでした🐈




〔簡単な自己紹介〕
詩書き。〈青い鳥書店〉店主。
noteでは詩の投稿や販売、人生で出合った特別なものを紹介する『重吉おすすめの本・漫画・音楽マガジン!』の運営などをしています。
詩の面白さを伝えたい。
何度も読んでもらえる詩を書いていきたい。






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