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【超短編小説】ソルト君

〈20××年〉


人類は一家に一ロボット、いや一人一ロボットの時代へと突入していた。
人間は、家では涅槃像のような姿勢が基本姿勢となり、あとはほぼなんでもロボットがやってくれた。これは、ロボットのソルト君と暮らす男の話だ。


「ソルト〜お茶」
「少々オマチクダサイ」
ソルト君はお茶をテーブルへと運び、男の口へと運んだ。
ぽとっぽとぽとぽとっ。
「おーい、ソルト〜こぼれちゃったじゃん。ちゃんと飲ませてよ〜」
「ゴメンナサイ」
「あっ、ソルト。テレビつけて。もうすぐナナのドラマが始まるからさっ」
ブブブ、ブゥインッ
部屋の空間に映像が浮かび上がる。
テレビには、最新型ロボットのバスソルト君、かわいいと評判のシューガーちゃん等のCMが流れていた。
プツンッ
「おい、ソルト、何で消しちゃうんだよ」
「マチガエマシタ、スグツケマス」
ブブブ、ブゥインッ
今度は、伝説の天才ロボットその子ちゃんのCMが流れていた。その子という名前は古事記からつけられたらしい。


命の全けむ人は
たたみこも平群の山の
熊樫が葉を髻華に挿せその子


その子ちゃん欲しいなぁ〜と男は思ったが、一億円だったのですぐに諦めた。



−終−




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