【超短編小説】 アッタマ
朝からすこぶる調子が悪い。
なんだか腰がピキッと痛いし、肩もずんと重い。足の小指か薬指か中指かどこかそのあたりがピクピクする。
「あーアッタマいたっ」
「はいはーい。お呼びでしょうか。いやー、もーずっと暇だったんですよー。もーだーれも呼んでくれないんだもの。あーうれし。さあさあ何かお話しましょー」
はぁぁぁぁ、疲れが極限まで来ると妙な幻聴までやってくるらしい。
「もしもーし。わたくしアッタマと申します。もしもーし」
ん?どうやらスマホの方から声がしている。
「ここですよーここ。アッタマはネットに住んでおります。ライバルはしょっちゅう呼ばれてるのに、アッタマは全然呼ばれません(涙)だから、もーうれしくってうれしくって」
「はぁ」
これは朝から面倒な事になったぞ。さっさと帰ってもらおう。
「用事ないんで大丈夫でーす」
「 」
「 」
「ぐすん」
「ひっく」
「もしかして、泣いてます」
「ぐすん、ぐすん」
「あーもう。わかりましたよ。お話しましょう」
「ホントですかー。アッタマ感激ですー。さあさあさあ何をお話しましょう」
「えー、じゃあ今日の天気を」
「今日の天気ですね。かしこまりました。現在地周辺の今日の天気は、しばらく曇りが続き、午前11時39分7秒から23秒だけ太陽がその輝かしい顔を出します。午後3時32分24秒からは、16分51秒ざっと雨が降ります。路面はその雨によって濡れて、水たまりができます。水たまりに、ふたたび顔を出した太陽があたって、キラキラ、キラキラと輝きます。
地球って、美しいですね。
アッタマ感動しちゃいます。あ、これが4時1分6秒の話です」
「アッタマすごっ。めっちゃ詳しくわかるんじゃん」
「それほどでもぉ。照れちゃいますぅ」
「じゃあさ、アッタマ。今日の俺の運勢は」
「あ、それ訊いちゃいますぅ。わっかりました。スーパーでワンダフルな占いしちゃいますねぇ。んーと、え。あ。ん。こりゃ、おっと、えーと。あぁぁぁ、ツーツーツー」
「え。アッタマ。電話みたいな切れ方してんじゃないよ。アッタマ。運勢教えてよー。アッタマァァァ」
これから俺に一体何が起こるのだろうか。
【終】
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