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ゲームブック制作日誌(5)第一期・完(総括・修正・通販)

文学フリマ東京36に発行したゲームブックの制作日誌、今回で(第一期は)最終回です。今までのまとめはこちらをご覧ください。↓

総括

というわけで、ついに完成し、予定通り文学フリマ東京36で販売することができました。
スゴいものができたわけでは決してありませんが、今の自分の能力での最善を尽くし、完成に至りました。
これでゲームブック作りたい熱が燃え尽きる可能性もあるかと思っておりましたがそんなことはなく、今後も作っていきたいと考えております。
よかったら今後ともよろしくお願いいたします。
なお、今回制作したゲームブック「消えた相棒」は、文学フリマ後「BOOTH」(Pixivの運営する通販サービス)で匿名配送の個人通販を行っておりました。

パラグラフ分解~配置

パラグラフは書いた順に仮番号を振っておりましたが、ゲームブックの形にするためそれをバラバラに組みなおす必要があります。
これが相当ややこしい。
表計算アプリ(ExcelのLivreOffice版Calc)で元パラ→本番パラ番号の管理を行いました。次回作る際は行数管理も含めたいと思います。 
挿絵、小さい絵を入れる空枠を配置しつつ、最後のパラグラフまで組みました。
  
★フローチャートを完全に先に作り、そこに当てはめる形で書くのであれば、先にバラバラで番号を振っておけるので、その方が効率がよいと思います。
ただ、先に行数まで決めなければならないのが厳しい。FF方式で余ったところにはどんどん埋め草を入れるというやり方もなくはないかと思いつつ、編集も自分でやっているのだからそこはこだわって作るべきではないかと思ったりなどして。
 そういうわけで、ページ構成は、パラグラフが見開き単位で泣き別れにならないよう配置しました。ごく少数の、1見開き以上に亘るパラグラフ以外は、見開き内で読み終えられるようになっています。
そうでない場合と比べ、格段に読みやすい(遊びやすい)と思います。
例外的に次のページに続くパラグラフの場合、文章単位では分かれたり分かれなかったりしてます。これは無理にどちらかに寄せるより、むしろ次に続いている感が出るかなと思いそのままにしています。逆に、文が区切られているところをわざわざ分かれさせるのも違うような気がしたのでそれもそのままです。
 
確認は、都度出力して行いました。その方がミスが見つかりやすい、ような気がします(それでもやっちまっているところが……)。あと、挿絵のサイズ感や全体のバランスが分かりやすいです。

今回の物語の舞台となっている森の地図もあったほうがいいかなと思い、描いてみましたが、なぜか妙に苦戦しました。ヘッダーはその一部です。
主人公が、木の枝を削ったペンとインクで描いたという設定です。
★ネタバレを含んだ内容となるため、ここには全体図は載せません。

印刷仕様について

本本体、ダストカバー、オビ、カード、冒険記録用紙と、何やら印刷物がいろいろになりましたが、一通り済ませることができました。
なお、本と、それ以外は依頼した印刷会社様が異なりますが、どちらもオンデマンド印刷です。
帯の副産物として金*黒のカバーも作り、蛍光ピンク*黒か金か、選んでいただけるように販売したところ、思っていた以上に金版を選んでくださった方がおられました。縁起が良さそうな色合いだからでしょうか、または蛍光ピンクのクセが強すぎたせいかも。

本の表紙はアートポスト160kg(公称紙厚0.18mm)、本文用紙はモンテルキア69kg(公称紙厚0.14mm)です。
前の記事にも書きましたが、本文の紙が(不景気の影響か、または単純に製造過程のぶれで薄いものに当たっただけなのかはわかりませんが)公称紙厚より1割(予定背幅から1mm強)薄くなり、結果としてダストカバーの背がゆるめとなりました。なお、紙厚については±10%のぶれは仕様ということです。
同じ製造ロットの紙で束見本を作らない限り、このぶれを避ける方法はなさそうなので(それを実行するのは大部数発行の商業本でもない限り難しいかと……)、次回以降は、できるかぎり先に本を印刷に出し、届いてからそれに合わせてカバーを作成・印刷発注したいと思います。
なお、モンテルキアはラフ系でありながら白く、印刷も映え、コシがないので本の開きも良いという素晴らしい紙です。モンテシオンの色違い的存在ですが、そちらは元々やや白茶系、そしてなかなか見事に経年変色(茶色くなる)します。
表紙は開きやすさを考え、厚すぎない紙にしました。結果としてとてもいい感じに仕上がりました。
ダストカバーは、蛍光ピンクの方はマットコート110kg、金の方はコート135kgです(コート紙は同じ重さならマットな方が少し厚いため)。
金はコート紙の方が映えると思い、コート紙刷りにしました。実際見事なツヤテカ具合で、大満足です。
蛍光ピンクの方も概ね予想通りきれいに刷り上がりましたが、裏表紙のグレーが今一つ(オンデマンド印刷は中間色の塗りが苦手なのかも、色の相性もあるかも)だったのが失敗でした。これは蛍光ピンクの部分をノセにしておくか、背景は黒ベタか白が良かっただろうと思います。

付録のカードは狂気(?!)の手切りです。面付して刷ったものをカッターで切って角をコーナーカッター(爪切りタイプのちっこいやつ)で落としました。
部数(や予算)が少なければ、工夫と時間があればこういうこともできます。
ボードゲームを作ることにも興味があり、今回試しにカードゲームの要素(というほどのものでもないですが)をちょこっと遊びで入れてみました。
上下不問、または横にもつなげる造りにすると、制作難易度がぐっと高くなるため、上下固定で縦つなぎ限定にしました。

なお、ダストカバーなど、別途印刷に出して手巻きする場合、部数や作業者の器用度にもよりますが、最低でも+10部(、または総部数の1割程度のどちらか多い方)は多めに発注することをお勧めします。一般系印刷通販会社にチラシ印刷として出す場合は特に。
予備数はそれなりに入れてくださる場合が多いですが、その分傷、折れのあるものがあったりします。また、巻き、折の際、結構失敗してしまうものです。

最終的に仕様は以下の通りとなりました。
題名:消えた相棒(結局これ以上のものを思いつけなかったので変えず)
判型:A6(文庫)105mm*148mm
ページ数:180(本文)+4(表紙)=184P
パラグラフ数:215(文字数は7万字ぐらいです)
挿絵:一枚絵6枚、地図のようなもの1枚、小さい絵30枚(同じ絵の使い回しはありません)
本体表紙:モノクロ刷り
ダストカバー、帯付き(二色刷り)
付録:冒険記録用紙2枚、プレイ用カード12枚、折り紙2枚、サイコロふたつ
価格:700円

なお、ダストカバーの2色刷りなのですが、色覚が少数派の方はピンクの識別が難しいであろうことに気づいたので(青空にも見えるかと思います)、popにはピンクである旨記載しました。

仕様予定と実際、そしてこれから

今回のゲームブックに関しては、実はまだ作っていない前日譚がありまして、作り始めた当初はむしろそちらの方が本命でした。
未経験者がいきなり大規模のゲームブックを作ろうとしてもうまくいかないだろうと考え、まず軽く一本作ってみようと始めたのが今回の「消えた相棒」です。
最初はコピー本、ページ数は最大48Pぐらい(中綴じのコピー本だとそれぐらいが限界値)で仕上げてみるつもりが、なんか物足りないかなと書き足していった結果、184Pになりました。
増えたページを考えると、あと1,2枚は一枚絵があってもよかったかもしれません。
パラグラフ数は215と、FFシリーズの半分強ではありますが、双方向移動ができるので、じっくり遊ぼうと思えばそこそこ周辺をうろつけるしかけになっています(逆に、やろうと思えばあっという間に終わらせることも可能)

前日譚は、いろいろあってとある大陸に流れ着いた「きみ」と、相棒君が出会う話です。一応目標としては400パラグラフを目指していますが、今回の構成でも相当苦労したので、さてどうなるか……という感じです。前半/後半で区切る造りにするので、多分なんとかなるはず。

個人的には難易度を上げるため、退屈な作業を要するタイプのゲーム(これはゲームブックに限りませんが)より、過程を楽しめるゲームの方が好きなので、その方向性を目指しています。ゲームブックの「過程」というのは、しかけや謎解きもそうですが、物語を「読む」ことが一番の要素と考えています。
ゲームブックを作るにあたり、まずゲーム系イベントではなく、本を読むのが大好きな方々が集まる「文学フリマ」を目指したのはそれが理由の一つです。
そのため、ゲームブックづくりについては、様々な要素も入れ込みつつ、「読む」楽しみを大事にして作っていくつもりです。

なお、上記の続編の前に、軽めのゲームブックの制作を予定しています。薄くて安くて手軽なものが良いかなと思いつつ、ボードゲーム主体のイベントへの参加を考えているので、サイコロ、またはカードゲームの要素を入れた賑やかな造りでも面白いかなと考えたりもしています。

なお、今回はひとまず手探りで作り始め、その流れで最後まで進めました。そのため効率が悪く、最新技術、知識などを入れずに作ったので非常に泥臭い造りとなっております。
技術に関しては、周辺情報や知識を調べたりして取り入れた上で作った方が良いものができることは間違いないので、勉強しながら進めます。
(文学フリマで情報をいただいたりもしました。ありがとうございます!)

紙の本を作るのと、デジタル媒体の本、またはゲームを作るのは別の技術なので、それらについてもぼちぼち考えていきたいです。

修正点のお詫びとお知らせ

文章が下手だなー……では収まらない誤字脱字について、修正のお詫びとお知らせです。推敲不足が招いたミス、大変申し訳ないことです。
次作以降の制作の際は、このようなことのないよう気を付けてまいりますので、何卒ご容赦のほど、よろしくお願いいたします。
(twitterでのお知らせ、および前回のnote記事に記載した内容と同じものですが、再掲いたします)

項目番号四七
6行目

誤:~鞘を差し入れてみる。竿を動かすと~
正:~鞘を差し入れてみる。を動かすと~

項目番号九九
4行目

誤:葉が山菜、~
正:葉が広がる山菜、~

★今後直接参加するイベントに現物をお持ちいただけた場合、該当部分を心を込めて貼り込み修正いたします。大変お手数をおかけいたしますがお声がけください。

★在庫分につきましては、当方にて貼り込み修正を行ったうえで販売いたします。何卒ご了承ください。

自力貼り込みを行っていただける方向けに、プリント用pdfを用意いたしましたのでご利用ください。↓

パラグラフ(項目番号)の飛び先については充分確認したつもりですが、間違いがある可能性は捨てきれず。見つかり次第情報公開します+在庫については修正いたします。
もしおかしな点を見つけた方は、web siteのメールフォーム(ご返信不要であれば、メールアドレスのご記入は不要です)またはなんらかの手段でご連絡をいただければ大変助かります。

通販のお知らせ

上記部分に貼り込み修正を施した在庫につきましては、BOOTHにて通販を開始いたしました。諸々ご確認の上、よかったらご利用ください。
★おかげさまで初版は売り切れました。ご利用くださった皆様、誠にありがとうございました!!
★なお、もし初版が完売した場合、時期は未定ですが上記修正部分、その他の部分も含め改訂し増刷を行う場合があり、その際、本の装丁・印刷仕様・価格が変わる可能性があります。
★次回のイベント参加に合わせて増刷を行う予定です。
今回と同じ仕様での印刷は予算の関係で厳しいので印刷仕様が変わる可能性が高いです。値上げはしないつもりです。

以上、長くなりましたが、ゲームブック「消えた相棒」の制作日誌、これにて完結といたします。最後までお読みくださってありがとうございました。

次回作の制作についても引き続きnoteに記していく予定です。
よかったらそちらもよろしくお願いいたします。

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