見出し画像

過食嘔吐の脳内/やめたくてもやめられない恐怖

過食嘔吐について皆さんはどれだけ知っているでしょうか?

「なんでそんなに食べちゃうの?」
「どうしてそんなに食費にお金を使っちゃうの?」
「意志が弱いから食べちゃうんでしょ?」

そんなことを思う人も居るのではないでしょうか。
今回は10年以上過食嘔吐を経験している私が、なぜやめられないのか、過食嘔吐をする時の脳内をありのままお伝えできたらと思います。


摂食障害について

摂食障害は拒食症と過食症に分かれます
おそらく多くの方が耳にするのは拒食症の方ではないでしょうか?
実際、拒食症の方が身体が痩せていくので周囲からも気づかれやすいそう
過食症は過食と過食嘔吐に分かれます。
過食後に嘔吐を伴う方と、伴わない方が居ます。
私は過食嘔吐に長年悩まされています。
過食と嘔吐を繰り返すので、体重は大きく変わらなかったり、病的なまでに痩せることは少ないので、周囲から気付かれることが少ないとも言われています。
ただ、意欲がわかなかったり、1日中倦怠感や疲労感に襲われていたりと目に見えづらい身体の異常はあります。
なにもやる気が出なかったり、朝起きるのがつらかったり、身も心も曇り空が続いているような感覚に陥るのです。
症状がひどい時は、吐きだこやムーンフェイスなど、身体に異常が現れることもあります。
私の場合は吐きだこはなかったのですが、過食嘔吐が連日となると、顔のむくみが目立つようになります。
ただ、家族と一緒に暮らしている時も見た目からバレることはありませんでした。
バレた時に「最近顔がむくんでいると思った」と言われましたが、「気のせいかな?」と思える程度の変化だったようです。

拒食症から過食症になったり、その逆もあったり、拒食症と過食症を行ったり来たりすることもあるみたいですが、私の場合はずっと過食嘔吐
過食嘔吐は、普通の人の2食や3食分などの過度な量を一定時間内に食べて、お腹はいっぱいのはずなのに食べるのをやめられなかったり、どんどん食べたい気持ちが増していきます。
そして、食べたことへの罪悪感や体重増加の不安から嘔吐をしたり、下剤などを使って過食をなかったことにする行動をとります
私は下剤を使ったことはなく、嘔吐だけで過食をなかったことにしているつもりになっています。
食べていない時間も常に頭の中は食べ物のことでいっぱいで、仕事中でさえ
「今日の夜はあそこに寄ってから帰ろう」
「明日は過食嘔吐をしたくないから、今日過食嘔吐をして食べおさめしよう」
などと考えることさえもあります。

最終的にはいかにうまく吐けるか?みたいなことも考えるようになって、水と食べ物を交互に流し込んで、吐きやすいように食べるようになりました。

食事を楽しむことができなくなるのです。

なぜ過食症になったのか

摂食障害の引き金になることは、人それぞれだと思います。
私は高校3年生あたりから過食嘔吐が始まったように記憶しています。

  • 運動部をやめて運動機会が減り、太る恐怖が増加した

  • 受験など勉強のストレス

  • 人間関係のストレス(クラスメイトや家族など)

体型が気になるようになったのはおそらく高校生頃から。
小中は運動部に所属していたのもあって、いくら食べても太らなかったのですが、高校に入学してからは文化部に所属し、運動機会が激減。
それなのに食べる量はあまり変わらなくて、少しずつ体重が増えている実感がありました。
実際高校3年生の頃は中学生の頃と比べて+5㎏くらい増えていたように思います。

そこから大学に進学して、運動機会はもっと減ってしまって、それと同時にクラスの友人関係で悩まされ(上辺は仲良く接していましたが、内心一緒にいても全然楽しめていませんでした)、家族との関係もあまりよくなくなって。
色々なストレスで食べたい気持ちが増していく一方で、太ることへの恐怖はそれ以上に大きくて
どうにもならなくなった結果、過食嘔吐という選択に至ってしまったのだと思います。

摂食障害を発症する人は完璧主義であったり、体重や見た目への自己評価が厳しいかつ低い方が多いみたいです。

私も昔から完璧主義なところがあって、何ごとも平均より上を目指したいと思っていました。
学校の成績も常に上位をキープしていたし、運動会でもリレーの選手に選ばれたり、合唱コンクールではピアノを弾いたり、絵のコンテストでは入賞したり。
自分ではあまり努力しているとは思っていなかったけれど、その頃は
「いかに自分を高められるか」
「いかに人から高評価をもらえるか」
みたいなところに固執してしまっていたように思います。
ほんとうにいろいろなことに手を出して、途中で投げ出すよりもある程度のところまでは極めなければ気が済まないタイプの人間でした。

「なんでもできる自分」であることが誇りだったし、そんな自分を褒めてくれる人が居ることが嬉しかったのです。
母親からも「あなたはなんでもできてすごいねって友達のお母さんから言われたわよ」と誇らしげに言われたこともありました。
それ以降、当時は気付いていませんでしたが、「なんでもできる自分」で居なければ自分には価値がないと思ってしまい、勝手に自分で自分にプレッシャーをかけてしまっていたのだと今では思います。
人と比べることが当たり前になって、人よりできることが自分の価値だと思い込んでしまっていたのです。

高校生から運動部ではなくなって、運動を続けている人より体育の成績が芳しくなかったり、自分の見た目や評価が変わってきていることが許せなくて。
立て続けに周囲の環境も変化していって、ストレスがどんどん蓄積されていった結果、過食嘔吐の底なし沼に足を踏み入れてしまったのだと思います。

過食嘔吐の引き金は

私の場合、過食嘔吐の引き金はストレスとPMS。
仕事はどうしてもストレスがつきまといます。
仕事終わりのストレス発散の手段として、過食が選択されてしまうことがほとんどです。

生理前に食欲が爆発することは多くの女性が経験することだと思います。
私も生理の1週間前が1番食欲が爆発する期間。
これは当たり前の現象なのですが、ストレスで日常的に過食をしている私にとっては、いつであろうと「過食したら吐く」ことも当たり前になっているのです。
毎月訪れるこの期間は、過食嘔吐からは逃れられなくなるのです。

過食嘔吐の脳内

最初は「食べたい」という気持ちから始まる過食嘔吐ですが、それが連日となると、「食べなきゃ」という思考に切り替わっていることがあります
特に食べすぎた日は「いっそもっとたくさん食べて、吐いてなかったことにしよう」とか、「ちょっと食べちゃったから満腹まで食べてから吐かないともったいない」とか、「今日はそんなに食べたい気持ちはないけど食べなきゃ」とか。
そんな感じで過食嘔吐の連鎖が始まります。
満腹の幸福感や空腹の心地よさはいつしか感じられなくなって、「限界を超えるまで食べてから吐く」ことが習慣化してしまう
その負のループに陥るとなかなか抜け出すことができません。
お金も時間も身体も精神も無駄に使い果たしていく。
そんな日々が始まっていることにまた落ち込む。
やりたいことは山ほどあるのに。
自分の時間を自分の行動が奪っていく。
やりたくないことに時間を費やしていく。
もうこんな日が10年近く続こうとしている。
「食」への依存からの脱却は非常に難しいです。

「意志の弱さ」で片づけられてしまうことがある依存症。
病院へ行くことを勧められるのだろうけれど、人に悩みを相談することが苦手な私にとっては、そこへ行く勇気も気力も持ち合わせていなかったのです。

行動の裏の心情

仕事終わりにどこかに寄ることが癖になっていて、お腹がすいていなくても、とりあえずお腹に何か詰め込まなきゃっていう謎の使命感に駆られては手あたり次第に食べ物を購入。
家に帰ってからの時間は食べて、お風呂に入って、寝るだけの時間しかなくて、趣味や好きなことにあてられる時間はありません。
衝動的に食べ物を買って、食べて、食べ終わった後と吐いた後は毎回罪悪感に支配されている。
毎回、「後で後悔するんだから明日はやめよう」って思うのに、終業間際になると「今日は何を買って帰ろうかな」なんて考えちゃってる。

自分の中の矛盾が未解決のまま日々が過ぎていくのです。

過食嘔吐がひどい時は、ほぼ毎日仕事終わりにコンビニやスーパーに寄って、とりあえずその時無性に食べたいものを買い物かごにどんどん入れる。
家に帰ってから無心で食べて、食べた後の太る恐怖心からトイレに駆け込む。
すべてなかったことにできた安心感とまたやってしまったという罪悪感の狭間で揺れる
そんな毎日を送っていました。

朝起きたときは「今日は過食せずに過ごせそう」という気持ちで職場に向かうのですが、仕事が終盤に差し掛かるにつれて、「今日はどこに寄って帰ろうかな」という気持ちに切り替わっています。
この気持ちの変化を不思議に思うと同時に、自分をコントロールできない無力さにまた自分を責めてしまいます。

現在の過食嘔吐

ここ数ヶ月、過食嘔吐の症状が出ずに過ごせています。
過食嘔吐に10年以上悩んできて、こんなに長期間過食嘔吐から離れられたことはありません。

以前、精神科とセラピーを受診した記事を書きましたが、それ以降も過食嘔吐は続いていたので、直接的な抑止になったようには思えません。

1番の変化は自分の心。

あるがままの自分を受け入れて、「今のままでいいじゃん」っていう、半ば諦めの気持ちを持つことが大切であるように感じます。
そして、自分を労わる癒しの時間やなにかに熱中できる時間を持つことも大切です。
食から離れようと思えば思うほど、食のことで頭がいっぱいになります。
他の活動で頭の中を埋める方に力を注ぐ必要があります。

そして何より食べることを恐れないことです。
食事制限をすることが、1番のストレスとなります。

普通の量の食事でさえ、否定してしまっていませんか?
必要なエネルギーをしっかり確保できていますか?
食べること自体を悪だと思っていませんか?

食に関する印象を変えることが1番重要であるように思います。

もう数ヶ月、自分の心と身体と向き合ってみて、それでも過食嘔吐をせずに過ごせているのであれば、どんな方法で変えることができたのか、皆さんに共有していきたいと思っています。

自分を責めてしまう日々が多いかもしれませんが、少しでも自分を労り、褒めてあげる、そんな時間を作ってあげてください
少し立ち止まって、ゆっくり深呼吸して、何もかも空っぽにする自分のためだけの時間。

慌ただしく流れていく日々に押し負けるのではなく、時間にも精神的にもゆとりを持てるような日々が増えますように。
じゅうぶん頑張っているのだから、もう頑張りすぎないでくださいね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?