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頭の中が騒がしい人へ、「ひとりQ&A」のすすめ

今年の5月、Xで「ひとりQ&A」なるものについて投稿した。


ひとりQ&Aをざっくり説明すると、「自分が悩みを相談して、後から自分が回答する」というもの。

しんどい時にどうしたらいいかとアドバイスを求めるのも自分だし、それに対して親身になって後から回答するのも自分。

そうして蓄積された一問一答は、自分をうまくコントロールするマニュアルのように分厚くなっていく。

日記のように毎日つけるのではなく、思い出した時にその都度、メモアプリに残すようにしている。

その中で、少しずつもやもやの落とし所がわかるようになってきた。
暗い感情にのまれそうになった時は、見返して気持ちを落ち着かせてたりもする。

そしてなによりも、悩む自分が以前ほど嫌いではなくなってきた。

そんなわけで、私と似たような性質の人にとって、このnoteがしんどい時の手札の1つになればと思い至った。

前半は「ひとりQ&A」の進め方を、後半は続けている中で気づいたことについて書いているので、やり方だけ知りたい!という方はぜひ前半だけつまみ食いしてほしい。



● はじめに

Xでも最近話題に上がっていたテーマだが、私は普段、頭の中で言葉がビュンビュン行き交っている。

とりとめもないことや、瞬間的に目に入ったものに対しての時もあるが、特に多いのが、悩みやすぐに答えのでない問いをぐるぐる考え続けることだ。

この特性はリスクヘッジ的な面でたま〜に役に立つ時もあるが、日々の暮らし単位でみると困りものだったりする。

例えば人間関係や仕事のこと、好きでやっている趣味のことでも、1つ悩みの種ができると何回も同じことを考え続けてしまう。

まだまだ先の予定のことまで必要以上に不安になって、目の前のやるべきことが手につかなくなったりする。
(すぐに思い出せるものでいうと、大学に入ったばかりの時、もし卒論の提出の締め切りに間に合わなかったら…と早々に悪い想像を巡らせ、今受けている講義の内容を全く聞いていなかった)

たとえ自分なりに落とし所を見つけても、時間が経てば記憶を初期化してもう一度最初から悩む、ということも多い。

どうせなら、また同じ悩みが生まれたとき、もっと手っ取り早く「続きから」や「ゴール」にアクセスできたら楽なのに。

そう思い試行錯誤した結果、
・頭が疲れていても書きやすい
・見返す時も探しやすい、読みやすい
・自分の悩みを一歩引いて捉えられる
そんなQ&A形式でメモを残すことにしてみた。

もちろん人によってはよりよい方法があると思うので、ぜひとも自分ナイズドして、(あわよくば)教えてほしい。




●「ひとりQ&A」のすすめ


「ひとりQ&A」は、ざっくり分けると3つのステップがある。

1.悩んだときにQ.を書き残す。
2.時間を空けてA.を書き足す。
3.随時、アップデートしていく。

ひとつずつ、順を追って書いていく。

1.悩んだときにQ.を書き残す。

ぐるぐる同じことを考えている時、
(もしくは落ち込んだり、悲しかったり、怒っていたり、感情にのまれている時)

まずはメモ帳やメモアプリを開いて「Q.」の欄、その下に「A.」の欄を作る。

Q.には、今自分が悩んでいることを誰かにお悩み相談すると思って書く。
A.は今は空欄のままで大丈夫。

悩みを文字にすることで、頭の中でビュンビュン行き交っている言葉を捕まえる。

そうすると、残像しか見えていなかった悩みをようやくじっと観察できるようになる。

例えばぐるぐるして眠れない夜、Q.の欄にこのように書いたとする。

一旦は、自分が何に悩んでいるのかが可視化できればそれでOKなので、答えが思いつかなくてもそのまま閉じよう。


2.時間を空けてA.を書き足す。

Q.に対しての答えは、すぐに最適解を出せない。(だからぐるぐる悩んでいるのだけど)

その悩みから時間が経ち、俯瞰的に、客観的に見れるようになってようやく書けるようになってきたりする。

なので、はじめは簡単にでも何かを書いておいて、あとからこの答えよりはこっちのほうが自分に合うかな、とだんだん塗り替えていくほうが近道だ。

例えば上記の悩み(新しい仕事が不安です。どうしたらいいですか?)は実際に私が過去メモしていたものだ。

数週間して、その後とりあえず新しい仕事に関する本を読んだら気持ちが落ち着いたので、一旦A.にはこのように書いてみた。

最初はこのくらいシンプルでいいので、とにかく文字にしてみることを目標にする。

3.随時、アップデートしていく。

ここからまた何かに悩んだ時やふと思い出した時、パラパラとこのメモを開いてみてほしい。

すると、過去の自分よりももう少し悩みの解像度が上がっていたり、別の視点が得られていることがある。

その時に、Q.でもA.でもどんどん加筆・修正していって、自分にとっての最適解に近づけていく。

アップデートをするにはいくつかコツがあって、
Q.のコツは、できるだけ悩みを分解すること。

例えば、当初「新しい仕事が不安です。どうしたらいいですか?」と書いていたが、今はこのように加筆されている。

こうすることで、新しい仕事がうまくいくかどうか、という答えの出ない悩みから、

・経験不足からくる不安が存在する 
・今の気持ちを落ち着かせたい
の2つに分解することができた。

そうしてできるだけ、絡まった悩みを紐解いていく。




次に、A.のほうのコツは、状況の整理+具体策を意識すること。

いつかA.を求めてメモを開く時に自分が欲しいはずの、一歩引いた視点と、まず何から手をつければいいかのヒントを残しておこう。

先に挙げた例の場合、このように分けてみた。
状況の整理:経験不足からくる不安な気持ち
具体策:本を数冊読んでみる

そしてもう一つ、ひとりQ&Aで一番大切なことがある。

これが自分にとって大切な友人から受けた相談だとしたら、自分はどのような言葉選びをするだろうか。

きっと傷つけないように、過剰に不安を煽らないように気を使うし、その上で気持ちが明るくなるように勇気づけようとするかもしれない。

同じように、その時辛かった自分を励まして共感しながらも、糸口に導くような気持ちで書いてみてほしい。

例に挙げたものも、そこから何度かアップデートを重ねて、他の新しい経験もする中で、今はこのような解答に落ち着いた。


いきなり長文になってびっくりしたかもしれないが、時間をかけて更新した結果なので、すぐにこんな解答にならなくても安心してほしい。

時たまこれを見返しては、そうだったそうだった、といくつか本を買ったりしている。

A.を見たら100%解決!とならなくても、少なくともちょっとは励まされて、一歩引いて、素早く最初の一歩を知ることができる。

このようにして、1〜3を繰り返したり、新しく書いたりして、時間をかけてQ&Aの項目を増やしていく。




 ●「ひとりQ&A」を続けて気づいたこと


「ひとりQ&A」を始めてから、ただぐるぐる思考がマシになった以上に、なんとなく自分の心が軽くなった気がしていた。

それがなぜか、続けていく中で少しずつ分かってきた。

・ぐるぐる思考をショートカットする
・問題の解答を保留して時間を稼ぐ
・悩めば悩むだけマニュアルを蓄積できる

この3つの側面が、自分の負担を減らしているようだった。


・ぐるぐる思考をショートカットする

これは前半で説明したメインのはたらき。

一度書いた解答を参照することで、今まで自分がハマってきた深みに、もう一度ハマらずに近道を知れる。

悩むことに削られていた気力を温存できる。過去の自分に「とりあえずこうするのが今んところベスト!」と最も説得力のあるアドバイスをもらえる。

もちろん、わざわざメモに起こさずとも、「こういう悩みはこう解決!」と覚えていられるなら、それに越したことはない。

だがそもそも多くの場合、『できなかった』時というのは覚えていられないものだ。

例えば自転車に乗れるようになると、乗れなかった原因を思い出せなくなる。だがそんな時、乗れなかった時の自分がメモしていたらどうだろう。

生まれて数歳でこんなメモは難しいだろうけど


すると、確かにゆっくり漕いでたから失敗しがちだったなとか、ケガが怖くて早く漕げなかったなとか、乗れるようになるまでのつまずいた過程を思い出すことができる。

メモは、今まで分断されて思い出せなかった「できない」と「できる」の間を繋ぐ方程式になる。

・問題の解答を保留して時間を稼ぐ

次に、実際に 「ひとりQ&A」を始めてから気づいたもの。

「時間を稼ぐ」というと問題から無理に逃げているように想像するかもしれないが、それは「時間を置いて考える選択肢が手に入る」とも言い換えられる。

そもそもぐるぐる思考する人は、(意識しているかどうかにかかわらず)早急に、今すぐにそのモヤモヤを解決したい気持ちでいっぱいになる。

そうすると逆に焦ってしまって心理的な負担も大きいし、気分にも波ができやすい。

さらには、どんどん頭のメモリが使われていって、目の前のことに手がつかなくなる。

でも、よく考えるとぐるぐる悩む種の中には、今すぐに答えや落とし所が見つからないものもあるはずだ。

そんな時、後で考えよう、と「保留」の選択肢が増えれば、一旦は負担も減るし、目の前のことに時間をかけられる。

そうすると焦る気持ちも落ち着いてきて客観的な目線を持てたり、少しずつ気持ちが前を向いたりする。

実際、「時間が解決してくれるよ」と外野から言われるのにムッとしたりもしても、冷静に振り返ってみると、確かにあの時の自分では最適な判断はできないな、ということは多い。

時間という方法で問題と距離をとることが近道だったりする場合、この「時間を稼ぐ」というのは想像以上に役に立っていた。


・悩めば悩むだけマニュアルを蓄積できる

これも始めてみて気がついたが、悩む時間がただつらいもの・時間の浪費ではなく、自分のマニュアルをアップデートする「役に立つ時間」になる。

気休め半分でも、この時間もあとから役に立つし、とか、未来の自分から感謝されるしな、と前向きになれたのは、想定外のもうけものだった。

そして、その過程だけでなく、成果物としてのひとりQ&Aが「自分には悩んだ時や困った時に対処するヒントがある」という安心材料になる。

まだ見ぬ不安にも心強いお守りとして働いてくれる。

はたまた、時間がたってから過去の解答を見ると、こんなことに悩んでいたのかと覚えていなかったり、今とは違う解答だったりもする。

純粋に、メモをつけて自分の思考の傾向だったり、解決する時の落とし所の癖が分かってくるのはおもしろい。

こんな風に自分のことを深く知れるというのも、蓄積されてようやく見えてくるおもしろさなのかもしれない。




● とはいえ、習慣化って難しい

ここまで読んでみて、やってみようと思ってくれる人が1人でもいたら嬉しい。

ただ新しく始めることって、どうしても最初は生活に馴染まないもので、つまずくところもあるはず。

大きいところで言うと、「そもそもメモの存在を忘れる」「ふと思い出した時、と言われても二度と思い出さない」という人は多いだろう。(自分もそうなので)

特に私の場合、頭の中でどんどん勝手に話が広がっていくので、メモするという大事なことを「念頭に置く」ような構造化が苦手だ。

こういう時、努力などの真っ向勝負で挑んではいけない・・・

戦うべくは、物理的に目につく/思い出す頻度を高める「環境づくり」なのだ。

iPhoneのメモアプリを使うのであれば、
・ホーム画面のよく使うアプリの横に置く
・その上で「ひとりQ&A」のページをピンで上部に固定しておく
など、とにかく1タップでたどり着くようにする。

アナログのメモ帳であれば、
・クリップやふせんなど開きやすい目印をつけておく
・一週間のどこかで思い出すためのアラームを設定しておく

「忘れない」ことはかなりハードルが高いので、こうしてとりあえず「思い出す回数を増やす」ことをおすすめしたい。

メモ自体は、自分に馴染みがあるものならデジタルツールでも紙のメモや手帳、仕様は問わない。

ただ、内容をアップデートする時の利便性を考えるとデジタルのほうが管理しやすいので、私は「Notion」というメモアプリを使用している。
(iPhoneとPCなど、複数デバイスで同期できるのも便利!)

ちなみに私は、仕事編・趣味編・人間関係編などざっくり分類して、A.を知りたいときにすぐ探せるようにしている。



● おわりに

無理して続けようと思わなくてもいい。ふとした時に思い出すくらいで、ゆるく続いていけばそれだけで十分ゆるやかに助けられていくはず。

そしてここまで書いていて気づいたことは、結局「自分が自分の味方をする感覚」が心地いいということ。

この感覚が少しずつでも根付いていくことが、自分とうまく付き合っていく手助けになることを願っている。

おわり!


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