愚痴と弱音です。

電話をひったくられた。
比喩とかではなく、文字通りに。

もしかしたらそれが最善の行動であるケースもあるのかもしれない。通話の相手に罵詈雑言を浴びせているとか、武器にして人に殴りかかっているとか、数秒後に電話機自体が爆発するとか。

でも、そうでない場合、ふつう大人同士のコミュニケーションの中で電話機はひったくられたりはしない。
と、思う。
そのことを上席と話していて「人は不完全であるから相手のミスを受け入れる心を持つように」と言われた。「多様性の時代だから」と。

はあ?!
今世紀最大の「いまなんとおっしゃいました?」が出た。

そうであるならば、そのような行動に怒りや悲しみを感じるわたしの心の動きも多様性として受け入れていただきたい、というのはまったく本心ではなくただの嫌味で、多様性ってけっこう取り扱い注意の言葉だと思うからわたしは使わない。
わたしの電話応対がいかに酷かったとしても、保留にしていたとはいえ相手と通話がつながっている状態の電話機をひったくるという行為はとうてい受け入れ難い。なんでひったくったほうの多様性が優位なのよ。

泣きたくなかったが涙が止まらなくなり、そのまま仕事を続けた。
おそらくストレスが限界なのだろうと思うが、何によるものかわからない。
月曜日からもずっと、永劫泣きながら勤務しようかな。

わからない。

朝は何の苦労もなく目覚ましの2時間前に起床し、いきいきと身支度やら鳥の世話をし、雨でなければ会社までの道のりを楽しく歩き、始業の10〜20分前には席についている。早く着き過ぎないよう調節したりもする。
仕事は忙しい。何がかはわからないが暇だなあと思う瞬間がほぼない。トイレに行く暇もない。たいしたことをしていないのに。
帰りも楽しく歩く。音楽を聴いたり深緑を眺めたりしながら。
帰宅後は鳥と遊び、少し横になり、鳥を寝かせ、食事をしてからお風呂に入る。お風呂から上がったらドラマを見たり見なかったり、小説を読んだりして0時ごろに寝る。

よその部署から電話がかかってきて、誰もいないからわたしが受けた。担当業務に関する質問だったので、注意深く丁寧に答えた。電話を切ったあとで念のため間違ったことを答えていないか確認した。万が一間違っていたら即連絡する。相手は社内の人間でありお客さまとかではないのでそれができる。
難しい質問もあった。その部分はわたしの手には負えないと思ったのでいったん保留とさせていただいた。
きちんと調べ、その内容で答えても良いか上席に確認し、了承を得たので電話をかけて回答した。
すべてが終わり結果をお礼と共に報告したときに事件は起こった。想像を超えたコメントがされた。曰く「事務要領に載っている以上のことを答えるな」

はあ?!
今世紀最大が今世紀最大を上回った。

出しゃばって何かを答えたわけではない。チームとしての正式な見解ではなくわたし個人の解釈や認識が含まれていることを念押しし、判断の前には必ず法務確認をしてほしいとも伝えた。そもそも回答前に内容を確認してもらっている。
どの部分がどのように間違っていたのか、どうすべきか訊いた。いつでも誤りを認めることができるし相手に謝ることもできる。間違っているなら撤回するし早いほうがいい。そういうことを恥と感じない。
が、何をすべきか明確な言葉はなかった。「もういいんじゃないですか?」「書いてあること以上は答えられない」「それがあなたを守ることにもなる」「それでいいんじゃないですか?」と言われた瞬間池が割れた! 嘘です!
体が震えて何も考えられなくなった。涙も止まらなかったし、呼吸が乱れてまともに喋ることもできなかった。たぶん限界なんだと思う。

生身の人間が生身の人間に質問の電話をかけてきたとき、何かに書いてある以上のことを答えてはいけない、なぜならそれが自分の身を守ることだからっていうのはどういうことなの? 社内だよ? 裁判とかじゃないんだよ?
わたしの回答について「あのときお前はこう言ったじゃないか」って言われてもぜんぜん平気だしそんなことは言われないと思うし必要ならいくらでも説明するし対話するし間違いがあれば訂正する。なぜそれができると思う? 「わたしの回答」だからだよ。
そもそもそこまで大したこと答えてないよってかあなたがたはどこ見て仕事してんの?

虚構です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?