見出し画像

SEKAI NO OWARIの『深海魚』について-逃げる勇気(パート1)

こんばんは🌱
発売されたばかりのアルバムに収録された新曲から「深海魚」に焦点を当ててみることにしました。この曲は亀梨和也さん主演の映画「怪物の木こり」の主題歌です。セカオワが主題歌だということで興味はあったのですが、わたしの苦手なジャンル(血とか殺人とか刃物とか)であったため観に行けませんでした。この曲がどんな風に映画にマッチしているのか知りたいものです。しかし映画を観なくても、この楽曲自体が持つ深みを楽しむことはできます。本当に、深海のように深いです(誰かツッコんでくれ)。では読んでいきましょう。



1番Aメロ

語り手は捕食されたくないから深海に潜っていったようです。ちなみにベイトボールとはイワシなどの小さい魚が大きい魚に捕食されないよう、身を守るために作る球形の群れのことだそうです。大きく開けた口に飲み込まれるベイトボールの一部のようにならないために、更に深く潜っていった。「真っ白な命」はマリンスノーのことだと思われます。同じアルバムに収録された「ターコイズ」という曲にマリンスノーという言葉が登場するので、繋がっているのではないかと思います。マリンスノーとは白い粒子のような形状をした動物や植物プランクトンの死骸が海中を雪のように漂い沈んでいく様子のことだそうです。美しい風景だけどそれを構成しているものは美しくないということでしょうか。「偽物」は漢字表記、「ホンモノ」はカタカナ表記にしているのが気になります。「ホンモノってやつ」という言葉からは、自分たちをホンモノだと言い張っているあいつらは偽者だ、と語り手は認識していそうですね。カタカナ表記=にせもの、漢字表記=ほんものだと仮定すると、自分たちをホンモノだと言い張る者はにせもので「偽物ロマンティック」はほんものの偽物ロマンティックということでしょうか。説明が難しい。。。自称ホンモノが生きていけない暗い場所で語り手は生きているようです。自称ホンモノと語り手について説明したほうがこの曲を理解するには手っ取り早い気がするので、説明していきます。

アルバムタイトルの意味

アルバムタイトルのNautilusはオウムガイを意味します。アンモナイトとオウムガイは共通の祖先を持ち、先祖は5億年ほど前に姿を現しました。その約1億年後にアンモナイトとオウムガイに分かれたそうです。動きが遅く、生存競争に負けたオウムガイは深海へと逃げ、体が強く、競争に勝ったアンモナイトは浅い海域で生息していました。しかし大きな地球環境の変化をもろに受けたアンモナイトは絶滅し、深海にいたオウムガイは気候変動の影響を免れて現在まで生き残っています。ボーカルのFukaseさんが「弱くて、逃げたからこそ生き延びた」オウムガイのエピソードが好きなため、今回のアルバムにNautilusというタイトルを付けたと考えられます。自称ホンモノ=アンモナイト、語り手=オウムガイに変換して歌詞を読むとすんなり内容が入ってくるのではないでしょうか。

1番Bメロ

アンモナイトとオウムガイは体格が違うのだから、同じ環境に住んでいたらどちらかが辛い思いをするのは当然のことです。でもアンモナイトはオウムガイに対して「なんでもっと上手に生きられないんだよ。自分の軸を持って生きなよ。」みたいな態度を取るんでしょうね。オウムガイからしてみれば「じゃあ俺が俺らしく生きられる方法をもっと教えろよ」って思いますよね。周りが悠々と生きていけるのに自分は必死になって惨めだから逃げることにします。でもなんだか逃げるってことは自分は弱者だと認めているようで不甲斐ない。周りから嘲笑されるだろう。でもそんなこと言ってられないのです。生きていくためには逃げるしかないのだと意を決します。

1番サビ

この曲自体を分析していくと「そのままの自分で生き延びられる場所を追い求める」というメッセージが浮かび上がってくるので、「化け物になれ」という歌詞は映画とリンクさせるための言葉かなと思いました。自分を守るために「化け物になれ」。映画を観ていないのでこれ以上のことは言えませんが。曲のみを分析するなら、周囲が恐れるような存在(化け物)になれ、というよりかは、変化を求めろという意味が近いかなと思います。海の中で生きる為に灯すライトと聞くとチョウチンアンコウを連想しますが、深海に生息する魚なので間違ってはいないでしょう。タイトルは深海魚であって、オウムガイではないですからね。ライトはよく日が差す浅い海辺では役に立たないけれど、深海では武器になります。深海魚のように、自分らしく生きられる場所を、自分の武器を生かせる場所を追い求めようと歌っています。
個人的には「るるるらりら」という擬音(?)が好きです。最初に曲を聴いたときはFukaseさんが作詞したのかなーと思っていましたが、るるるらりらが出てきた時に、いやこれはきっとSaoriちゃんだなと確信しました。わたし大正解でした。いぇい。それまで自分が心地良くいられる場所が無くて逃げるように深い場所へ潜っていく虚しさが感じられる歌詞でしたが、るるるらりらの響きによって海中でたゆたう様子とほんの少しの軽やかさが感じられますね。ちなみにスピッツの「ロビンソン」に出てくる「ルララ宇宙の風に乗る」も好きです。軽やかに宇宙の風に乗っている感じがしませんか?そんでまた草野さんのルララの歌い方もいいですよねえ。

2番Aメロ

波が激しい様子、何かを追いかける魚群、威張っていた者たちの焦燥が伝わります。周りの環境が突如変化しそうな予感で混乱が起こっているようです。シリウスとは地球から見える最も明るい星だそうです。古代エジプトでは、ナイル川が氾濫する時期を教えてくれる星として認識されていたとか。シリウスが煌めいたことで、ああ気候変動が起きるんだと察した者や深海に逃げた生物がいるという意味でしょうか。

2番Bメロ

「今日も生き抜いた その連続に誇りを持て」わたしこの歌詞大好きです。以前リリースされたセカオワの「バードマン」という曲に「何も寝てたわけじゃないさ どんな日々もなんとか繋げてきたから」という歌詞があって、何も成し遂げられないつまらない日々を送っているなーと思っていた自分を、なんとか、なんとか生きているだけで十分頑張ってるよねと肯定してもらえた感じがして、この歌詞に救われました。それが今回は「誇りを持て」と。これでいいんだよね、とかではなく、胸を張って生きていいのだと強い意志で伝えてくれたのがうれしかったです。深海に潜ったことで目は退化したかもしれませんが、その代わりに別の感覚が研ぎ澄まされたかもしれないですよね。その感覚でどんな進むべき道が見えたのでしょうか。

2番サビ

ついに気候変動が起きました。命を奪われた生物たちが意思を持たず海底へと沈んでいき、海底に棲んでいた生物たちがほら言わんこっちゃないと出迎えます。海底で静かに力強く生きていた者達は居心地の良い場所を見つけるために変化し続けていたようです。ありのままの自分で居続けるために変わり続ける。「アースチャイルド」で「変わらないために僕らはいつまでも変わり続けるんだ」と歌っていましたが、セカオワも自分たちの根底にあるものを守り続けるために変化し続けているのでしょう。だからいろんな曲調の曲が生まれても伝え続けているのは同じことなんですよね。

ここまで読んでくださってありがとうございます。まだCメロとラストサビが残っているのですが、文字数がとんでもなく多くなっているのでここで締めます。もしよろしければパート2へレッツゴー🌛