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夏の一夜を、海のないビーチで。|OTA INLAND BEACH '23

海のない街、群馬県太田市に出来る一夜限りの妄想ビーチフェス「OTA INLAND BEACH」🏖 だいすきなさらさちゃん(Solo set)やSUKISHAさんがラインナップされていて、コンセプトが気になりすぎたので遊びに行ってきました。その記録。

OTA INLAND BEACHは2019年に初開催、コロナを経て今年が第3回目ということで、まだ若めのフェスですが、地元の方がゆるく集まり楽しめるチルなグルーヴに溢れていました。入場料は無料でライブも事前申込制でFREE LIVEという大サービスなところも素敵。会場は、太田駅を出たすぐにある広場と高架下にフードやグッズのブース出店が並び、そして駅の目の前にある太田市美術館・図書館がメイン会場になっていました。わたしは友人と東京から車で行ったのですが、東京からだと電車でもだいたい1時間半で行けるアクセスの良さも◎

このENTRANCEの看板にも映っているこちらはフェスの告知用に配布されてたパンフレットの表紙なんですが、デザインがなんとレコードのジャケット仕様!アイデアがかわいすぎる・・・「灼熱都市に吹き抜ける幻想のシーブリーズ」っていうキャッチコピーも、それっぽすぎてもうツボです。ビーチカルチャーに合う、おしゃれで気の利いてるクリエイティブ大好きです。

ちなみにこちらのイラストは、この美術館・図書館の屋上からのフェスの景色をイラスト化したもの。色使いもイラストのタッチもあったかくてめちゃくちゃいい。。。太田市を一望するこの景色が本当にビーチに見える、そんな夢のような一枚で、コンセプトをぎゅっと詰め込んだすてきなクリエイティブにももう心が鷲掴みです。

イラストレーターはMIHIRA YUTAさん

そんなこんなで会場に着くと、もうそこからはビーチ🏝️ スピーカーから流れる海の波の音が会場を包み込みます。行くまでは、実際どうなのかなと思っていたけど、波の音を聞いてるだけで海感じちゃうんだなと素直に思いました(笑)この発見はこのコンセプトでフェスをやろうという決め手に絶対なってるはず。芝生でビール飲んでいる人も、寝転がっている人もいて、もはやそこが浜に見えるようでした。海がなくても、海風は運べるし、ビーチだってつくれちゃう。海がない街だからと諦めるのではなく、だったら妄想で!っていう発想の転換が好きすぎます。思い込みって大事。

ザーザーと流れる波の音に包まれてみんな思い思いに過ごします


地域が一団となってつくるフェス

一夜限りの妄想ビーチフェス。こんな駅の目の前で、こんなにコンセプチュアルなイベントしてるってすごいなあと思ったんですが、OTA INLAND BEACHはとにかく地域の協力がすごかった。後援に太田市、協力に東武鉄道株式会社、群馬クレインサンダーズ(バスケットボールチーム)ほか、そして協賛に株式会社SUBARU!(SUBARUの本工場がある一帯がスバル町といって、太田市はSUBARU発祥の地というのを初めて知った)太田市にまつわる行政や企業がガッとタッグを組んで、みんなで盛り上げる街おこし的イベントになっていました。イベント会場にもSUBARUのブースがあり、SUBARUの社員の方がグッズを販売するなどしていてほっこりしたし、あと学生さんもたくさんいて、地域貢献の場にもなっているのを感じた。主催の方含め、この仲間づくりすばらしいなと思います。

あとSUBARUの他、太田市はやきそばも有名らしかったので食べてみました。なにやら日本三大焼きそばというのがあって(これも初めて知った)、そのラインナップは「富士宮やきそば(静岡県富士宮市)」、「横手やきそば(秋田県横手市)」、「上州太田焼そば(群馬県太田市)」の3つ。そのうち富士宮やきそばはASAGIRI JAMで有名な富士宮の焼きそばで、フジロックに出店してた朝霧食堂で食べたことがあります。まさかこんなところでもフジロックがつながるとはだったし、思いがけず日本三大焼きそばのうち二つを制覇することになりましたw
上州太田焼そばは、麺が焼きうどんばりに太くて、濃いソースがしっかりかかっててめちゃくちゃ食べ応えありました。わたしが食べたのは割と普通の色だったけど、調べたら結構真っ黒いビジュアルが売りだったりするそうです。個人的にはもう少し調理したてで食べればよかったな〜(散歩してたら冷めてしまった)とちょっぴり後悔しつつもおいしかった〜〜!

オリジナルのトロピカルジュースもビーチを感じられて◎


海風そよぐ、のびのびした会場

美術館・図書館はライブ会場+ENTRANCEで、ブースは駅の高架下にあります。オフィシャルドリンクやスパイス香るサバカレー、少し離れた駐車場の方では商工会による地元のフード屋台がたくさん並んでました。「ライブビーチ(風)マーケット」と称されたアパレルやグッズのブースもめちゃかわいかったです。アロハのみを取り扱った古着屋さんや、熱海にあるアートギャラリー、トロピカルなグリーンを扱う植物屋さん、日本と台湾を繋ぐ音楽レーベルBIG ROMANTIC RECORDSが展開するPOPUP STOREも。ビーチ醸し出す風景にぴったりの空気感でした。

ここでメイン会場である、太田市美術館・図書館についても少し紹介。この施設は2017年1月に開館した、美術館と図書館の複合施設だそうです。「まちに創造性をもたらす、知と感性のプラットフォーム」がテーマで、建築家の平田晃久が手掛けているそう。(知っているところでいうとカプセルホテル「ナインアワーズ」のプロジェクトでいくつかの施設を手がけられてます。)この施設のコンセプトとか構造とか、すごく素敵なんですよね・・実際に中に入ると本当にこれが市の公共の施設?と思うくらいおしゃれで機能的で、開放感にあふれていつつ、コミュニティ性もあって。風通しのいい、地域の人が集まりたくなる公共の場ってこういうものだなあと感じました。1日過ごせるので、この施設に来るために小旅行しても良いかもくらいです。

太田市美術館・図書館の設計図を発見したのでぜひ!
https://www.aij.or.jp/jpn/design/2022/data/2_2award_002.pdf

あと、ドレスコードについても触れておきたい!OTA INLAND BEACHのドレスコードは「アロハシャツ」なんです。フェスにドレスコードがあるってちょっとだけわくわくします。自由な服装を楽しむのもいいけど、ドレスコードがあったらなんとなく意識しちゃうというか、ちょっとテンション上がりますよね。わたしもお気に入りのアロハ(風)シャツを着て行きました。会場を見渡すと、至る所にアロハな方々が。ブースでもアロハが売ってたので、ブースで買って、そのまま着ちゃうみたいなのもできます。アロハに、ビーチサンダルに麦わら帽子にサングラス。みなさん気分がもうビーチすぎる!!ここに来る人全員が、妄想ビーチフェスのコンセプトを楽しんで過ごしているのが伝わってきました。


ビーチなグルーヴを感じる1日

最高にチルで良き海風を運んでくれるタイムテーブルはこちら。美術館・図書館の2FテラスにはDJブースがあり、DJのみなさんがかわるがわるパフォーマンスしていました。そしてライブは日が暮れ始める18時から。DJブースはだれでも参加可能で、3FのライブチケットはPeatixで事前予約制でしたが、フリーライブで好きな場所で見れるのでとてもありがたいというか、だれでも楽しめる地域のビーチマーケットっていうのをどこまでも踏襲していてやさしいなあという気持ちでした。

少し日が傾いてきた空をバックにDJをされてたゆnovationさんは、鍵盤ハーモニカとDJの組み合わせでパフォーマンスをされる方で、演奏中もずっとにこにこ笑顔が素敵ですごくよかった。彼女自身、美術館・図書館によく足を運ぶ太田市民ということをMCでもおっしゃっていて、そういう方にお声をかけてアサインするところもこのフェスのグッとくるところです。
3Fのライブ会場もお客さんとの距離が近くて、目の前でライブを楽しむことができました。SUKISHAさんが演奏中にギターのストラップが外れてしまって、そのときに「僕は機材が多いので、現地で楽器を借りることも多いんですけど、今回も快く貸してくださる方がいて。借り物なのでこういうことも時々あります。でも僕も文句は言いませんし、今はいいタイミングで外れたのでよかったですね。よく機材トラブルには恵まれるんです。」なんて言って会場を和ませたりなどしていた。そのあとはポセイドン・石川さん。以前フジロックで一度見たことがあったけど、その独特の山下達郎ボイスでにんじゃりばんばんをプレイするなどしてお客さんがみんな盛り上がっていた。最後はさらさちゃんで、Solo Setでのライブもすごくよかったし、さらさちゃんの親友が群馬の子だったそうで、その親友のお母さんが来ていて「さらさ〜」と呼びかけて会場が一気に親戚モードになったりして。意外と繋がりってあるものだし、なにかしら思い入れとかストーリーがあると、ぎゅっと距離感が近くなります。そんなあったかみのある空間も最高に好きでした。


海のない太田市に出現する夢の一夜

日がとっぷり暮れると、駅の一角に大きなプロジェクションマッピングで海が投影され始めました。ちょうどSUKISHAさんの最後らへんだったので、18時半〜19時くらいだった気がします。会場を包み込むザーッという波の音に、遠くで波が満ち引きしている海の映像。「ここはもしかして海?」心はすっかりビーチな気分なので、どうもそんな気がしてきます。夜のライブは海をバックに、揺れる波に合わせて体を揺らしました。ライブの間は遠くの波を見ながら顔に当たる夜風を感じて、少しぬるくなったドリンクを飲みながら、この一夜限りの刹那を感じたりしてなんだかすごく心地よかったです。

2FテラスのDJブースにも海のプロジェクションマッピング。美術館・図書館の外壁は真っ白なので、青い海がよく映えます。2Fテラスでも海をバックにDJの演奏がされていました。程よく涼しくなってきて、お酒もいいかんじに、お客さんもおもいおもいに踊っていてとてもピースフルな空間でした。

夜もまだまだお客さんで賑わっていました


最後に

OTA INLAND BEACHは、妄想ビーチフェスという諦めない心と遊び心がつまったコンセプトに、アイデアを凝らした演出と会場作りがすばらしくて、そして何より集まった出店のみなさんやお客さんもみんなでひとつになってこの夢のような一夜を作りあげている、とても感動的なフェスでした。個人的に、コンセプトとアイデアとその場所でやる「だからこそ」感が、つながればつながるほどグッとくるタイプなので、今年色々と行った中で規模は小さいながらもこちらのフェスはすごく心に残るものがありました。しかもアイデアをイベント側だけが声を張っているってわけじゃなくて、集まるみんなで体現されてるっていうその地域性というか親しみやすさもすごく好きでした。これからも続く夏の夢の一夜になってほしいなあと思います。また海のないビーチを感じに行きたいです!⛱️

にんじゃりばんばんで湧き上がるステージと広がる太田市の風景

OTA INLAND BEACH 2023 概要

開催日時:2023年9月2日(土)
会場:群馬県太田市美術館・図書館 https://www.artmuseumlibraryota.jp/
料金:入場料無料(ライブは事前申込制)
出演:さらさ / ポセイドン・石川 / SUKISHA
主催:太田市観光事業PR委員会(太田商工会議所)
後援:太田市
企画制作:株式会社エーアイラボオオタ、片山昇平
協力:東武鉄道株式会社、群馬クレインサンダーズ、太田市スポーツ振興課、太田市美術館・図書館
協賛:株式会社SUBARU
チケットページ:https://ota-inland-beach2023.peatix.com/
Instagram:https://www.instagram.com/ota.inland.beach/

2023のアフタームービーはまだないようですが
2022のがありますのでぜひチェックを!🏖️


おしまい

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