Rin Ishikawa / 石川 凜

オックスフォードMBA←ポケットマルシェ+坂ノ途中←米留学CSA研究←京大農業経済|連…

Rin Ishikawa / 石川 凜

オックスフォードMBA←ポケットマルシェ+坂ノ途中←米留学CSA研究←京大農業経済|連載"考える食卓" https://www.on-the-slope.com/articles/our-idea/future/

記事一覧

固定された記事

オックスフォード大学のMBAに進学します🇬🇧

このたび、2023年9月からイギリスのオックスフォード大学経営大学院(University of Oxford, Saïd Business School)のMBAに進学します。本noteではそのご報告と、経緯に…

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Oxford MBA 2学期(Hilary)の振り返り

あっという間に留学生活も半年が経ち、折り返し地点を迎えました。備忘録を兼ねて、この2学期(Hilary Term)の活動を振り返っていきます。 Impact LabImpact Labとは、Sa…

Oxford MBA 1学期(Michaelmas)の振り返り

あっという間にオックスフォードでのMBAプログラムが始まってから4ヶ月が経ちました。このたび奨学金をいただいている財団向けに振り返りレポートを作成する機会があったた…

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肉を食べることと、正しさについて

「肉を食べるを考える|正しさとは何か」というコラムを、坂ノ途中Webの連載企画「考える食卓・おいしい未来」にて書きました。 いつかちゃんと言葉にしなければと思いな…

日本の有機農業年表

それでも私が産直ECに可能性を感じる理由|「産直ECが小規模農家を疲弊させる3つの理由」を読んで

「産直ECが小規模農家を疲弊させる3つの理由」という徳本修一さんの記事を拝読しました。長年様々な経験を積まれておられる方だからこその真っ当なご意見で共感する部分も…

日米CSAの課題から見えた、これからの自律分散型フードシステム

※これは、2020年1月15日に開催された第166回霞ヶ関ばたけで筆者がお話した資料をテキストにてまとめたものです。 CSAとは ▼農家側のメリット - 安定した販路 - 前払い…

日本のCSA(Community Supported Agriculture)まとめ

日本では数が少ないと言われるCSAですが、実はみなさんが知らないものもあるかもしれません。そこで今回は、私が研究をする中で出会った日本のCSAをまとめてみました。(最…

Workplace CSA(職場CSA)とは②

Workplace CSAとは①からのシリーズ第2弾になります。JUST FOODのWorkplace CSA Tipsheetを引き続き訳していきます。 シェアのサイズと品目シェアのサイズや野菜の品目は…

Workplace CSA(職場CSA)とは①

ここではJUST FOODのWorkplace CSA Tipsheetを訳していきます。 前提として、これはJUST FOODがニューヨーク市で職場CSAを運営するためのガイドラインとして作成したもの…

食料問題を解決するために、私は自律分散型のフードシステムをつくる

生産性の向上を目指してきた農学という学問世界の食料問題をどうにかしたいと思って農学部に入学した私は、授業を受ける中で漠然とした違和感を覚えていました。 遺伝子工…

Big Question: Feast or famine?(ごちそうか飢餓か?)

▼2:12までの日本語訳です。 ----------------------------- 世界の人口は増え続けています。 今は毎年8300万人が増えています。 それはドイツの人口と同じくらいです。 20…

CSA農家の矛盾とジレンマ:日米のCSA比較【卒論まとめ③】

まとめ①では導入部を、まとめ②では調査方法と考察の一部をお届けしました。最終回は総括と参考文献を記載しています。調査結果の詳細や参考文献の入手方法については個別…

CSA農家の矛盾とジレンマ:日米のCSA比較【卒論まとめ②】

まとめ①では導入部の要約をお届けしました。 今回は以下の内容をお送りします。省略した部分も多いため、ご不明点などは個別にお尋ねください。 2. 調査方法アメリカ・ケ…

CSA農家の矛盾とジレンマ:日米のCSA比較【卒論まとめ①】

私が2019年に提出した卒論「Contradictions and Dilemmas of Community Supported Agriculture (CSA) Farmers: A Comparison of CSAs in Japan and Kentucky, United State…

オックスフォード大学のMBAに進学します🇬🇧

オックスフォード大学のMBAに進学します🇬🇧

このたび、2023年9月からイギリスのオックスフォード大学経営大学院(University of Oxford, Saïd Business School)のMBAに進学します。本noteではそのご報告と、経緯について書いてみようと思います。

なぜ、今MBA留学に行くのか新卒からの4年間は、スタートアップ複数社の現場で多岐にわたる経験をさせていただき、本当に充実した時間でした。
ただ、自分の限り

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Oxford MBA 2学期(Hilary)の振り返り

Oxford MBA 2学期(Hilary)の振り返り

あっという間に留学生活も半年が経ち、折り返し地点を迎えました。備忘録を兼ねて、この2学期(Hilary Term)の活動を振り返っていきます。

Impact LabImpact Labとは、Saïd Business Schoolの中にあるSkoll Centre for Social Entrepreneurshipが運営するインパクトリーダー育成のためのオックスフォードの学生向けプログラムで

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Oxford MBA 1学期(Michaelmas)の振り返り

Oxford MBA 1学期(Michaelmas)の振り返り

あっという間にオックスフォードでのMBAプログラムが始まってから4ヶ月が経ちました。このたび奨学金をいただいている財団向けに振り返りレポートを作成する機会があったため、少し修正を加えてこちらにも掲載します。

1. 生活について

4ヶ月オックスフォードで生活してみて、自分次第でいつでも刺激を得られる環境にあると感じています。63カ国から来た多様なバックグラウンドを持った338人のMBAクラスメイ

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肉を食べることと、正しさについて

肉を食べることと、正しさについて

「肉を食べるを考える|正しさとは何か」というコラムを、坂ノ途中Webの連載企画「考える食卓・おいしい未来」にて書きました。

いつかちゃんと言葉にしなければと思いながら、ずっと心の中に眠らせていた、牛を殺して食べた記憶。3年の年月を経て、ようやく世に出すことができました。

このnoteでは、コラムの中で書ききれなかった、肉を食べることをめぐる「正しさ」について倫理学的観点から考えていければと思い

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それでも私が産直ECに可能性を感じる理由|「産直ECが小規模農家を疲弊させる3つの理由」を読んで

それでも私が産直ECに可能性を感じる理由|「産直ECが小規模農家を疲弊させる3つの理由」を読んで

「産直ECが小規模農家を疲弊させる3つの理由」という徳本修一さんの記事を拝読しました。長年様々な経験を積まれておられる方だからこその真っ当なご意見で共感する部分も多く、とても重要な視点をいただきました。

ただ一方で、産直ECの可能性を信じている私としては、どこか漠然とした違和感を覚えていました。その理由を突き詰めていくと、その違和感の根底にはスタンドポイントの違いがあるということに行き当たりまし

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日米CSAの課題から見えた、これからの自律分散型フードシステム

日米CSAの課題から見えた、これからの自律分散型フードシステム

※これは、2020年1月15日に開催された第166回霞ヶ関ばたけで筆者がお話した資料をテキストにてまとめたものです。

CSAとは

▼農家側のメリット
- 安定した販路
- 前払いにより投資がしやすくなる
- 作付けの計画が立てやすくなる

▼消費者側のメリット
- 摂取する野菜の多様さ・量の増加→健康な食習慣
- オーガニックスーパーより安い有機農産物
- コミュニティ帰属意識の醸成/精神的充

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日本のCSA(Community Supported Agriculture)まとめ

日本のCSA(Community Supported Agriculture)まとめ

日本では数が少ないと言われるCSAですが、実はみなさんが知らないものもあるかもしれません。そこで今回は、私が研究をする中で出会った日本のCSAをまとめてみました。(最終更新:2020年2月15日)

野菜のCSA◇:2017年12月現在として『分かち合う農業CSA 日欧米の取り組みから』(2019, 波夛野, 唐崎)に記載があるもの

◆:上記への記載有無に関わらず、2019年3月時点で筆者自身が

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Workplace CSA(職場CSA)とは②

Workplace CSA(職場CSA)とは②

Workplace CSAとは①からのシリーズ第2弾になります。JUST FOODのWorkplace CSA Tipsheetを引き続き訳していきます。

シェアのサイズと品目シェアのサイズや野菜の品目は、会員の興味のほか、農家の専門性、器具や土壌によって決められるべきである。CSAの最初のシーズンの始めには、JUST FOODは農家とコアグループの会員の導入ミーティングをファシリテートする。

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Workplace CSA(職場CSA)とは①

Workplace CSA(職場CSA)とは①

ここではJUST FOODのWorkplace CSA Tipsheetを訳していきます。

前提として、これはJUST FOODがニューヨーク市で職場CSAを運営するためのガイドラインとして作成したものです。

職場CSAを始めるにあたって決めるべきこと▷ロケーション
畑からアクセスがよく農家がドロップオフしやすいこと。

▷分配の日時
農家のスケジュールと職場の分配場所の状況によって決める。農

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食料問題を解決するために、私は自律分散型のフードシステムをつくる

食料問題を解決するために、私は自律分散型のフードシステムをつくる

生産性の向上を目指してきた農学という学問世界の食料問題をどうにかしたいと思って農学部に入学した私は、授業を受ける中で漠然とした違和感を覚えていました。
遺伝子工学の分野では、栄養価を高めたり、収量を高めたりと様々な技術を使って作物の改良に取り組んでいて、農業経済の分野では、どうやったら農家が経営を効率化できるのかを考えています。

農学の使命は「増加する人間への持続的食料供給」であるとされ、そのた

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Big Question: Feast or famine?(ごちそうか飢餓か?)

▼2:12までの日本語訳です。
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世界の人口は増え続けています。
今は毎年8300万人が増えています。
それはドイツの人口と同じくらいです。
2012年には世界の人口は70億人を突破しました。
2040年には優に90億人を超えるといわれています。
そしてその誰しもが食べ物を必要とします。
でもどのようにしたらいいのでしょう?
どうしたら私た
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CSA農家の矛盾とジレンマ:日米のCSA比較【卒論まとめ③】

CSA農家の矛盾とジレンマ:日米のCSA比較【卒論まとめ③】

まとめ①では導入部を、まとめ②では調査方法と考察の一部をお届けしました。最終回は総括と参考文献を記載しています。調査結果の詳細や参考文献の入手方法については個別にお尋ねください。

4. 総括4-1. CSA原則と運営実態の乖離日本・ケンタッキー州のどちらにおいても、CSA農家はオペレーションの各段階において会員側に譲歩をすることで自らの負担を増やし、自己搾取の構造を生み出す傾向にあった。
この傾

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CSA農家の矛盾とジレンマ:日米のCSA比較【卒論まとめ②】

CSA農家の矛盾とジレンマ:日米のCSA比較【卒論まとめ②】

まとめ①では導入部の要約をお届けしました。
今回は以下の内容をお送りします。省略した部分も多いため、ご不明点などは個別にお尋ねください。

2. 調査方法アメリカ・ケンタッキー州の4つの農場と日本の9つの農場を対象に2017年9月〜2018年10月にかけて聞き取り調査を実施した。

質問項目は以下の22項目。

・農地面積
・有機認証の有無
・他の生産者との協働
・CSA開始年月
・CSAの年間ス

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CSA農家の矛盾とジレンマ:日米のCSA比較【卒論まとめ①】

CSA農家の矛盾とジレンマ:日米のCSA比較【卒論まとめ①】

私が2019年に提出した卒論「Contradictions and Dilemmas of Community Supported Agriculture (CSA) Farmers: A Comparison of CSAs in Japan and Kentucky, United States(CSA農家の矛盾とジレンマ:日本とアメリカ・ケンタッキー州のCSA比較)」を、内容を3つに分けて日

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