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ep.31 思い出して、書いて、かみしめるために

口に含んですぐのガリガリっから、シャリシャリシャリで一気に懐かしい気持ち。ほのかに透き通る緑、薄黄色、桃色、白。ころころ、いがいがっとした特有の形もまた愛おしい。

こんばんは。たまです。もういつぶりに手にとったんでしょう。文字ラジオのおともにすべく、こんぺいとうを買ってきたのでした。


ここは、小さなラジオブース、あるいは寝る前の談話室。水曜日は「生活の日記」と「今夜の1曲」をお送りします。


生活の日記

4月というものが毎年不得手で、たいがい気が沈んでいる。些細なことを棘に感じ、ちっちゃな段差に勝手につまずいてしまう。

だけど、せっかく美しい季節なのに、しょんぼりな月だったと記憶されるのいつももったいないよなあ、とやっぱり4月を諦めきれないわたしもいる。

だから4月にあったうれしいことをちゃんと日記に書き留めてみる。4月だってうれしいこと、ちゃんとあったはず。

❶ 晴天、メニューを渡してもらった日

週末、後輩とランチへ。積もる話がとまらず、近くのカフェにはしごする。ここの2階かな、と目星のカフェをふたりで覗き込むと、外階段まで行列ができていた。

階段のいちばんした、最後尾へいそいそ連なる。わたしたちの前に並んでいた女の子がこちらをくるっと振り返り、明るい声で「メニュー、見ますか?」と手渡してくれた。きらっとした目で、にこっと笑顔を添えて。

これが漫画なら容易に恋が始まっているところだった。脳内でLove so sweetとか流れちゃう。あっぶない。不意の優しさには純度100%のうれしさがある。

結局待ちきれず、近くのスタバへ移動することにしたわたしたち。先ほど受け取ったばかりのメニューを持て余しオロオロしていると、「よければもらっちゃいますよ」とふたたび彼女がにっこり引き取ってくれた。

嗚呼!なんて!優しいひと!見ず知らずの、ぬっと現れただけの一市民に、わたしはこんなにも丁寧に接せるだろうか。どうかかならずや幸あれ。2階のカフェでたらふく食べて、しあわせな週末を過ごせていますように…。

❷ 小雨、丁寧なレジの日

職場を出るや否や急足で駅の本屋へ向かう。推しが表紙を飾る雑誌の発売日。待ちに待ったそれは、しっかり目立つ棚に置かれていて息を呑む。

しかし、ちょうどその目前で学生が立ち読みしているではないか!困った。わたしというオタクは臆病なのだ。「すみません」と言って、推しに手を伸ばす勇気がない。げ、アナタオタク?!ともしも怪訝にされたりしたら、せっかくの日なのにしょげてしまう未来が見える。

じっと時を待ち、ようやく手中に収めた。陳列のなかでいちばん無傷の雑誌を慎重に選って、速やかにレジへ。いかがわしい本を買うわけでもないのに、わたしときたらわざわざ裏返してレジに出していた。逆にいっそう怪しい。すっと出せ、胸を張れ、堂々と生きろ(セルフ喝)。

レジでは大学生とおぼしき少年が、流れるような動作でバーコードをスキャンし、雑誌をそっと表に返し、丁寧に茶色い紙袋に入れ、テープで止める。わたしが交通系ICでの支払いを終えると同時に、両手で雑誌を持ち、「ありがとうございましたぁ」と微笑みながら渡してくれた。

なんとまあ快い接客なんだ!大切にしたいものを買うときに、大切に扱われて届けられるのが心底うれしいということを、君は知っているのか。ありがとう、少年。君もまた嗚呼どうか幸あれ!

❸ 向かい風、母の懐の日

夕方、母と電話。もやもやと抱えてきた悩みをぽつり話してみる。今の道を選んだことも勇気がいったよね、と母は寄り添う。自分が想像すらしなかったことを実現しているよ、と励ましてもくれた。いくつになっても彼女の娘なのだ、としみじみ思う。わたしたち親子にも、幸あれ。


うん。4月だってうれしいこと、ちゃんとあった。思い出すこと、書くこと、かみしめること。そうやって、偶然の「やさしい」と「うれしい」を、心のフォルダに上書き保存しつづけたい。


今夜の1曲

Justin BieberOff My Faceを。

再生ボタンを押すと、それをほんとうによく聴いていたころの情景が、否応なしにどばどばっと思い出される歌がある。Off My Faceはわたしにとってそのひとつ。

その情景は、思い出すとずきっと心が痛むもので、容易に聴けない時期もあって。

でも、今夜はこの愛の歌を聴きたいと思っているわたしがいる。なにかを機にその痛みを乗り越えられたからなのか、時間が解決してくれたのか、どっちかはわからないけれど。

そうやって、「この歌が聴けるってことはもう元気なんだ」ってときどきセルフカウンセリングしたり、再会したりもしながら、音楽といっしょに人生を歩んでいく所存です。


あとちょっと。あと数日がんばれば、連休ですよ〜っ、人類〜〜!

今日もおつかれさまでした。あなたも、わたしも。

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