145. 売りものみたいな恋をした
『花束みたいな恋をした』を観た時、正直に言って、私は自分や大学の友人たちは随分と幸福だったんだ、と思った。例に違わず追い立てられるように大人になり、趣味嗜好の完全な一致(そもそもそんなものがあるとも思えないが)を運命と思うには素直さを失い、しかし、「変わっているね」と言われて喜ぶほどには自信に欠けていなかった。
夏休みに花火、水族館、夏祭り、BBQ、海、山、と予定をこなしていたことがあった。文字通り「こなして」いた。これではまるでスタンプラリーだ、と思い3年目にはやめた。