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経済観・財政観で共通理解に立ててない人々と、理解し合うにはどうしたら良いのか?(2) ―「信用創造」とは?―

「信用創造」については、ややこしい論点もあり、同じ稿内で説明するには若干混乱しかねないため、別稿を立てました。 前稿で、以下のように述べました。 では「お金を増やす」のはどうやっているのか? 方法は2つあります。 一つ目は「民間銀行が民間企業に貸す時に、お金は増える」。これは「A銀行はB企業から借用書を貰い、代わりに『A銀行内のB企業の口座』に同額の預金残高を書き込む」もので、「信用創造」という仕組みですが、詳細は別に述べます。 さて、この続きです。 まず、「流通通貨」

    • 経済観・財政観で共通理解に立ててない人々と、理解し合うにはどうしたら良いのか?(1)

      これまで多くの人たちと「日本経済・日本政府の財政」について、ツイッターを中心に多くの議論を重ねてきました。議論の相手は、著名な政治家や学者もいましたし、無名あるいは匿名の言論人もいました。残念ながら議論の結果、より高いレベルに到達することは稀で、多くはその域に達しなかったのが現実です。 そのようなことを続ける中で、日々の、あるいは過去の経済指標(円安円高、株安株高など)で議論しても、全く時間の無駄であると理解せざるを得ませんでした。その理由は、日々の経済事象は、多くの不確

      • 福田昭夫議員の考えを支持し、勇気を称賛する

        本ブログでは、あまり政治・政党の話はしないようにしてきました(反自公であることは明らかだと思いますが)。それは、「支持政党」などを明らかにすることによって色眼鏡で見られることで、正しい経済観・財政観を広めることに障害となるかもしれないと考えたためです。しかし、今回は福田昭夫議員の勇気に敬意を表して、あえて政治について述べたいと思います。 産経新聞2023年12月14日ネット版に以下の記事が掲載されました。 「立憲民主党の福田昭夫衆院議員は13日、党の次期衆院選公約で消費

        • 過剰診断をめぐる考察:福島の子どもたちの甲状腺がん訴訟

          2022年5月21日の報道特集で、福島の甲状腺がんの子供たちが東電を相手に訴訟を起こしたことが報じられていた。この問題は難しい。本ブログは経済ネタが主だが、この問題はツイッターでは字数が限られ過ぎていて論じるのが難しいので、本ブログで論じてみたい。 「過剰診断」という言葉は、一般的には正確にイメージされていないことの方が多いと思われる。医師であっても結構怪しい理解の人は少なくない。過剰診断は「誤診」ではなく、正真正銘の「がん」である。「過剰診断」とは、「病理学的には確かに『

        経済観・財政観で共通理解に立ててない人々と、理解し合うにはどうしたら良いのか?(2) ―「信用創造」とは?―

        • 経済観・財政観で共通理解に立ててない人々と、理解し合うにはどうしたら良いのか?(1)

        • 福田昭夫議員の考えを支持し、勇気を称賛する

        • 過剰診断をめぐる考察:福島の子どもたちの甲状腺がん訴訟

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        • 経済Note
          6本

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          国の借金が過去最高?(2)       ・・・銀行が国債を買わなくなる?

          (1)に引き続き、「民間銀行が国債を買うとは決まっていないのではないか? 買わなかったら売れ残って、政府は円を調達できないではないか」という質問にお答えします。少し専門用語が入りますが、御了承ください。 まず、「発行された後の国債を、民間の投資家などが、儲けを狙って後から売ったり買ったりする」ことは、一種の「民間同士の投機:ギャンブル」ですので、国家財政には関係も影響もありません。あくまで「政府が売り出す」時だけが対象です。 「民間銀行が国債を買えない」状態は、「日銀

          国の借金が過去最高?(2)       ・・・銀行が国債を買わなくなる?

          国の借金が過去最高?(1)

          2022年5月10日のNHKニュースで、「国債残高、つまり『国の借金』が、過去最高を6年連続で更新しました」と報じていました。この報道で、「ますます日本の財政はヤバいな」と感じた視聴者は、全国に数百万人はいたと思います。 そうですよね。我々の感覚では、「借金がドンドン増え続ける」って、恐怖以外の何物でもないですよね。「借金が過去最高を更新」と言われたら普通の人はビビります。しかし、ちょっと待ってください。生まれてこの方、「借金が過去最高」という報道は良く耳にしますが、「借

          国の借金が過去最高?(1)

          「日本は借金で破綻寸前」は本当か?    ・・・・・・・・国債の仕組み ②      国債とは何なのか? 「国民一人あたり800万の借金」というのは本当なのか?

          さて、本ブログの「① 国債はいくら発行されているのか?」で詳細に説明しましたように、「日本の国家予算の三分の一が国債である」というのは、「限りなくデマに近い詭弁」、いや、むしろ素直に「口から出まかせに近い嘘」と呼べるようなものでした。本当の新規国債だけならもっとずっと少ない額であることがご納得頂けたと思います。今回は「国債とはいったい何なのか」について述べたいと思います。 「国債」が何なのか、具体的に良く知らない方でも、「国の借金1000兆円、国民一人当たり800万円」とい

          「日本は借金で破綻寸前」は本当か?    ・・・・・・・・国債の仕組み ②      国債とは何なのか? 「国民一人あたり800万の借金」というのは本当なのか?

          日銀当座預金の説明をせずに「国債発行で民間の預金が増える」のを説明してみる

          今日はたまたま、ツイッターで見たやり取りから思いついたことがあったので、別の話題について述べてみます。 「国債発行で民間の預金が増える」というのは、「知ってる人は知ってる事実」ですが、それほど一般的な知識にはなっていません。「国債発行のメカニズム」を説明する時には「日銀当座預金」の説明が欠かせないのですが、この「日銀当座預金の仕組み」というのが結構複雑で、これを理解するまでに相当な時間と手間がかかってしまいます。でも「政府の国債発行で民間の資産が増える」という知識は、国債が

          日銀当座預金の説明をせずに「国債発行で民間の預金が増える」のを説明してみる

          金本位制の時には「国債は借金」だったのに、金本位制でなくなったら「国債発行残高は、単なる通貨発行記録」になったのは何故?

          金本位制の時には、確かに「国債は借金」でした。しかし、金本位制がなくなったら、「国債発行残高は、単なる通貨発行記録」になりました。この仕組みの変化が今一つスッキリと飲み込めなかったので、詳細に考えてみました。(本稿では「国債」に話を絞るので、「民間銀行の信用創造」は考慮しません) 中央銀行制の国では、通貨は「中央銀行」が発行していますが、中央銀行自身は「通貨と、国債や債券などを交換」しているだけで、支出はしません。「交換」している相手も、ほぼ閉じられた「日銀ネット」の中で通

          金本位制の時には「国債は借金」だったのに、金本位制でなくなったら「国債発行残高は、単なる通貨発行記録」になったのは何故?

          「日本は借金で破綻寸前」は本当か?  ・・・国債の仕組み①  国債は政府予算のうちどの程度発行されているのか?

          「赤字国債で日本政府は財政破綻寸前」「日本の借金は千兆円、国民一人当たり800万円の借金」という話が日本国内を覆っています。メディアも学者も評論家も政治家も9割以上の人がそう言っており、特にテレビや新聞は、左右陣営問わず、それ一色です。しかし、実際にどのくらいの「国債」が毎年発行されているのかをはじめ、国債の仕組みを知っている人はあまりいないように思います。 さて、国債に関する話は多岐にわたります。なにせ、「国債破綻説」により国の経済財政政策が長期にわたって甚大な影響を受け

          「日本は借金で破綻寸前」は本当か?  ・・・国債の仕組み①  国債は政府予算のうちどの程度発行されているのか?

          なぜ経済学者は嘘をつくのか? あるいは、なぜ経済学者は間違えるのか?

          優秀なはずの官僚がなぜ誤った政策を採り続けているのかに関しては、ある程度わかってきましたが、次には、なぜ東大・慶大の著名な経済学者が、日本経済をさらに冷え込ませる増税路線・財政均衡主義を採るのかが分かりませんでした。 ただ、官僚よりもわかりやすい部分もありました。官僚は喋らないし書かないので、何を考えているのか推測するしかなかったのですが、経済学者は喋ったり書いたりすることが仕事ですので、書かれた文章などから多くの情報が得られるわけです。 そうすると、おぞましいことに、「

          なぜ経済学者は嘘をつくのか? あるいは、なぜ経済学者は間違えるのか?

          なぜ財務官僚は、亡国の増税政策を採り続けるのか?

          国家経済・財政についてある程度勉強してきますと、「増税すると、その後に消費が冷え込んで景気は悪くなり、企業の投資も減り更に景気が悪くなり雇用も悪化、結果として税収も減るので、当初目指していたはずの財政改善は得られず、むしろ財政は悪化する」ということが良く理解できるようになります。しかし、そうすると次の疑問が湧いてきます。 なぜ、優秀なはずの財務官僚が、結果的に税収が減るような増税政策を採り続けるのか? 積極財政に転じれば、税収も増え、財務省が采配できる予算も余裕ができて、今

          なぜ財務官僚は、亡国の増税政策を採り続けるのか?

          私が反緊縮へ舵を切った経緯 2019.4

          ツイッターの140字だけでは正確・適確に表現できないこともあるので、「Note」への投稿を行うことにしました。最初の投稿に当たっては、やはり「私が反緊縮へ舵を切った経緯」という文章を載せたいと思います。 この文章は、2019年の4月に書いたものです。文章の中にも書きましたが、私はずっと「財政再建派=日本の財政は大変厳しいのだから、消費増税は容認せざるを得ないだろう派」でした。2018年の夏ごろから「経済」について様々に勉強して、考え方が大きく変わり現在は「積極財政派」です。

          私が反緊縮へ舵を切った経緯 2019.4