日本の教育と外国ルーツの子どもたち
必要な教育を受けられていないと聞いてどのようなイメージを持ちますか?
貧困、性差別、児童労働、発展途上国、戦争、難民…?
なんだか自分とは遠い世界の話だと感じる人もいるかも知れません。
たしかに日本は、江戸時代から高い識字率を誇り、現在でもSDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」を達成しているとされる数少ない国の1つです。
しかし本当に日本とは無縁の話でしょうか?
ここでは、日本の教育について「外国にルーツを持つ子ども」に焦点を当てて考えていきます。
外国にルーツを持つ子どもとは?
「外国にルーツを持つ子ども」とは両親またはそのどちらかが外国出身者である子どもを指します。来日したばかりの子もいれば、日本で生まれ育った子もたくさんいます。
外国籍の子だけではなく、日本国籍の子、二重国籍の子、無国籍状態の子と様々なケースが存在します。
現在、日本では外国人労働者の受け入れを拡大しており、その定住化が進んでいます。それに伴い、外国にルーツを持つ子ども達も増加していますが、彼らへの対応は間に合っていません。
教育の現状
不十分な受け入れ態勢
外国にルーツを持つ子ども達のための指導体制は未だ不十分です。
以下のグラフは日本語指導が必要な児童生徒数を示しています。
過去15年で2.2倍に増えており、さらなる増加が見込まれています。
また、この数字には不就学の子どもは含まれていません。
不就学の可能性がある外国籍の子どもは、約8000人いると推定されています。(小学生・中学生相当合計)
義務教育過程において不就学の子どもが存在するのは、外国人の保護する子には就学義務がないためです。もちろん公立の義務教育諸学校へ就学を希望する場合には、無償で受け入れており、日本人と同一の教育を受ける機会が保証されています。
自治体のサポートが行き届いていない、日本語力等の問題で必要な情報を得られていない等の原因により、不就学に陥ってしまうことがあります。
学校へ通っていても問題は山積みです。
日本語指導も十分ではなく、学校生活を送ることも並大抵のことではありません。
慣れない日本語で授業を受け、宿題をこなしていくことには大変な努力が必要です。
また日本語でコミュニケーションを取り、先生や友達と関係を築くことが難しく、孤立に繋がりやすいという問題を抱えています。
高等教育への壁
外国にルーツを持つ子どものための入学枠は非常に狭く、一般枠での受験は他の受験生と同じ条件になるため大きなハンディキャップがあります。
さらに、15歳以上で来日した子どもや母国で中学校を卒業してから来日した子どもは基本的に日本の公立中学校には入学できません。こうした子どもたちが勉強できる場所は限られています。
このように、外国にルーツを持つ子どもたちにとって高校進学の難易度は非常に高く、高等教育を受ける機会を逃しやすいという現状があります。
グラフの通り日本語指導が必要な中学生の高校進学率は89.9%となっています。この中には学齢超過により、中学校で高校受験のための勉強が出来なかった子どもは含まれていません。そうした子ども達を含む、外国にルーツを持つ子ども全体の高校進学についての統計データはなく、実際の進学率は40〜60%と推定されています。これは全中学生の99.2%に比べ、非常に低くなっています。
終わりに
いかがでしたか?
外国にルーツを持つ子ども達の視点から日本の教育について考えると、まだまだ改善すべき点はたくさんあると感じます。
学習支援を行うボランティア活動を通して出会った多くの子供達は今後日本で学び、働くことを目指しています。彼らはいつか帰る人々ではなく、これからの日本を一緒に支えていく仲間なのです。
この記事を通して、外国にルーツを持つ子ども達について関心を持っていただけたら
嬉しいです!
今後は移民支援に関する情報を発信していく予定です。ぜひ覗いてみてください♪
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?