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映画嫌いが分析してみる

映画が苦手というと、ほとんどの場合に共感してもらえない。
好き好んで嫌いになっているわけではないけど、映画館も、家で見るのも、長距離のフライトで見るのも全て好きではない。

まず、子どもの頃から合わせても、人生で10回くらいしか映画館に行ったことのない私が、どうして映画館が好きじゃないのか分析してみる。
まずひとめは、1時間半とか2時間とか長い時間閉じ込められることで窮屈な居場所に感じられること。長時間同じ場所に、ほぼ同じ姿勢でいさせられることって、日常でもそんなに多くないと思うけど、これがまずとても苦手だ。次に、「自分のタイミング」が尊重されないこと。紅茶をいれたいタイミング、お菓子をとりたいタイミング、お手洗いに行きたいタイミング、ストレッチをしたいタイミング。映画館という場では、これらの「一時停止したいタイミング」を尊重されることはなく、自分のタイミングとは裏腹に時間すなわち物語は進んでいく。最後の理由は、周りに人がいることでそれが気になってしまうこと。周りの人が動いたり、声を出して笑ったり泣いたり、携帯で時間を確認したり、周りの人の動作や反応が気になってしまって、物語を楽しむどころではなくなってしまうのだ。

では、ふたつめとみっつめを解消できる、家での映画鑑賞なら好きかと言われるとそうでもない。
どんな映画でも、まず始めの10分15分くらいは物語の導入の部分があると思うのだけど、この時点で私はすでに飽きてしまう。導入の部分ってあまり何も特別なことが起きないから。
そして、映画を見終わったあとに誰かと感想を共有するのも得意ではない。たぶん、誰かが自分と違った捉え方をしていたりすると、自分の考えを否定されたような気になってしまうからだ。映画の解釈は人それぞれでいいと思っているし、それを議論の種にはしたくない。
もしも映画デートをするのであれば(映画が苦手な私は人生で一度も映画デートをしたことがない)、映画→食事ではなく、あえて食事→映画の順番にして映画について議論する間もないまま解散したい。

そして、これは映画だけじゃなくてドラマも同じだけど、登場人物の心情に深く入り込みすぎてしまうことも、映画が苦手な理由のひとつ。喜怒哀楽はもちろん共感しすぎてしまうし、失敗をしたり私の思った通りに登場人物が行動しなかったりすると、なんで!!?となってある種のイライラが募り、感情が忙しすぎる。HSPの特性かもしれない。だから、Movie marathon のように、例えば週末でシリーズ一気見みたいなことは、どんなに時間が許そうとも出来ない。感情のジェットコースターのせいで、映画を観ることにとんでもないエネルギーを使い、1本見終わると疲れ果ててしまうのだ。

ただ、こんな私にも興味をひかれる映画がないわけでもない。最近でいうと、トイ・ストーリー4とバービーは自分から観たいと思った。(映画の趣味がそもそも子どもっぽいことは置いておいて)
映画好きというかたぶん大半の人には驚かれるかもしれないが、これらの映画も見る前にあらすじと口コミを見てから臨んだ。観るかどうかの判断のために見るわけではない。あくまでも感情のジェットコースターが激しすぎて疲れてしまうので、勾配を和らげるために先に見るのだ。それで、予め内容に合わせた心の準備をして、感情のジェットコースターに振り回されすぎないようにすることで、ようやく映画1本を観ることができるようになる。

映画館と映画についての考えを書き出すと、改めて根っからこれらが好きではないんだなと感じる。映画鑑賞は世の中の数多あるエンタメの中でも身近で一般的なエンタメで手軽に楽しめることだし、好きな人も多い趣味だからこそ、もう少し気軽に楽しめたらいいなとは思う。映画の話は日常の雑談にも上がりやすいテーマだし、一通りの有名どころは観たことがあって軽く雑談もできるくらいが理想。時間と空間の制約に囚われず、そしてジェットコースターに振り回されないように観られるのなら、もう少し映画を見てみたいなと思うのだけど。


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