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#13 福島県会津若松市における観光産業と新たな観光資源の発掘

はじめに

『J NOTE』第13回は、福島県会津若松市を取り上げます。

会津若松市は福島県西部の会津地方に位置する、人口約11.4万人の市です。

会津若松は、江戸時代以前から会津地方の政治経済の中心都市として栄えてきました。現在でも、市内には会津地方の46.3%の人が住んでおり、県の出先機関や金融機関が置かれるなど、会津若松は会津地方を代表する都市であるといえます。

図1:会津地方の人口割合(2022年12月1日現在)
(福島県企画調整部統計課『福島県の推計人口』を元に作成。)

また、会津若松市は交通の要所でもあり、市内の東西南北すべてに国道が伸びています。加えて、市内の東西を磐越自動車道が通っていることから、東京や郡山、仙台などからの高速バスが運行されるなど、他地域からのアクセスにも優れている街であるといえます。

しかし、近年は首都圏への若い世代の流出労働者の減少が顕著となり、会津若松市でも大きな課題として捉えています。(ソース

そこで今回の『J NOTE』では、会津若松市の主力産業である観光産業について取り上げます。そして、新たな観光資源にはどのようなものがあるか探っていきたいと思います。

会津若松市の観光産業

会津若松市では、歴史や自然を生かした様々な観光産業が行われています。市内には白虎隊や新選組にまつわる史跡や、芦ノ牧温泉や東山温泉などの温泉地、福島県立博物館など様々な観光スポットが点在しており、1日では廻りきれないほど観光資源が充実しています。

そのなかで、今回は会津若松の特色を生かした新たな観光資源について見ていきたいと思います。

①近代のモダン建築が残るまち

会津若松市では、2017年に「会津若松市景観条例」(1992年制定)の全面改正と「会津若松市景観計画」の新規策定を行い、景観保護や景観づくりに対して市を挙げて取り組んでいます。そのなかで、鶴ヶ城周辺や七日町などにある建造物は「歴史的景観」として重点的に守られていくことになりました。

会津若松市の市街地にある歴史的建造物は、会津戦争の戦禍の影響でその多くが明治以降に建てられたものです。しかし、太平洋戦争の際には空襲を受けなかったことから、他の都市と比べてモダンな近代建築が市内に残されています。

しかし、会津若松市内にモダンな建築が残されていることについては、まだまだ知名度が及んでいないのが事実です。

というのも、会津若松市は白虎隊新撰組で有名な地であるため、どうしても「幕末」のイメージが強く、明治以降についてはやや注目を集めにくいのではないかと思われます。

会津若松観光ビューローでは、市内に点在するモダン建築を巡るコースが紹介されており、個人ブログ等でも会津若松の歴史的建造物を取り上げた記事が掲載されています。

しかしながら、現時点では市が本腰を入れて広報活動をしているとは言えません。

そのため、今後のPR次第では近代モダン建築が会津若松観光の「軸」になることができるのではないかと私は考えています。

②再生可能エネルギーのまち

会津若松市には、大正初期に建設された猪苗代第一水力発電所(1914年)を皮切りに、猪苗代第二水力発電所(1918年)など戦前から豊富な水資源を生かした水力発電所が建設されました。そして、発電した電力は東京まで送電されており、会津の水力発電所が当時の日本経済を支えていました。

平成になり、再生可能エネルギーが注目されるようになると、2015年には「会津若松ウィンドファーム」が建設され、市内初の風力発電所が完成しました。また、会津若松市内には木質バイオマス発電所メガソーラー発電所なども立地しており、様々な再生可能エネルギー産業が市内で営まれています。

会津若松市では、こういった再生可能エネルギー産業を新たな観光資源にしようと取り組んでいます。会津若松観光ビューローでは各発電所を観光地として紹介し、見学ツアーなどの情報を掲載しています。

また、京都市や横浜市と再生可能エネルギーに関する協定を結んでおり、観光産業に留まらず、今後新たな人材交流や地域活性化のビジネスを生み出すことが期待されています。

おわりに

ここまで、福島県会津若松市の特色を生かした新たな観光産業について詳しく見てきました。

会津若松市には史跡や温泉など数多くの観光スポットが点在していますが、「近代モダン建築」や「再生可能エネルギー」など、新たな観光資源になり得るものもあることが分かりました。

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