今っていつ?
「なぁなぁ、今っていつやと思う?」
「は?今っていつやって?今は今やろ。」
「それじゃ答えになってへんねん。言い換えてくれんと。」
「言い換える?どういうこと?」
「例えば、今は、21世紀とか、2023年12月28日とか、午後6時ちょうどとか。」
「ほんなら、今は、2023年12月28日の午後4時32分ちょうどや。時計見たらわかるやろ。」
「ほんまに?」
「ほんまにって何?」
「もう、今は2023年12月28日の午後4時32分ちょうど、じゃないで。」
「そりゃ今の今は過ぎてもうてるかもわからんけど、さっき言うてた今は2023年12月28日の午後4時32分ちょうどやったんや。」
「それ、思い込みちゃうん?」
「なんなん、その言いがかり。」
「だって、今の今でもいいから、想像してみて欲しいねんけど、もはや2023年・・・とか言ってる頃には、今なんて終わってしまってるねんで。」
「どういうこと?」
「もっとシンプルに言えば、今の「い」を発音するくらいのタイミングはギリギリ今といえるかもしれんけど、「ま」なんて言ったあかつきには、今だと思ってた今なんて、実際は過去のタイミングになってしまってるんちゃうか?ということやねん。」
「じゃあ、今っていつって言えんねん。どれだけ高速に言うたとしても、瞬間的に今いつかなんて言うことはできひんで。今は常に進んでいるんやし。」
「そやねん。だから、困ってんねん。今っていつ?って。」
「そんなことについて困るな。もっと困ることいっぱいあるやろ。」
「いや、今がいつなのかわからなくて1番困ってんねん。今とか普通に言うてるけど、今って一体何なんやろって思わへん?」
「別に、今がいつかなんてわからんくても生きていくのに何の不都合もないやろ。」
「いや、それは言い過ぎやろ。今がいつかわからんと普通に困らん?」
「困るよ。ただ、アナタみたいな困り方はせん。別に、その瞬間がいつって言えなくても困りはせんってこと。今、何時やろ?って思って、あ、4時32分か。くらいで何も困らへん。秒まで考えるんやったら、4時32分1秒か、くらいで何も困らへん。」
「まぁまぁそうかもしらんけど、問題は困る困らないの話じゃなくて、今って純粋にいつかって話やねん。この不思議感を共に分かち合って欲しいねん。」
「なんやねん、不思議感って。まぁ、いわんとすることは十分わかった。そしたら、今っていうのはいつか言うたら、常にやな。常に今。これでええんちゃうん?」
「それな。」
「それなって、なんやねん。人が答え提案したってるのに。感謝してもらいたいわ。」
「いや、すまんすまん。感謝してんで。確かに常に今や。で、想像してみて欲しいねんけど、常に今やと思いながら、時計の秒針がぐるぐる回るの見つめてみてくれへん。頭おかしくならん?」
「なんで?別にならんよ。ああ、時間が進んでるなあって思うだけや。」
「そりゃそうかもしらん。それだけじゃなくて、時計の秒針見てたら、今何時?って認識するの絶対に無理やと思わへん?あのぐるぐる回るタイプの針、よく考えるとものすごい速さで回ってるんよ。あの針が回っている間中、ずっと今なんやろ?時計の針が回っているのを見つめることはできても、今、何時何分何秒なんて読み上げることは、できないと思うわけ。時計って何?ってなる。」
「だから、何度も言うようやけど、別に今ジャスト何時何分何秒なんてわからんくても、パッと見たタイミングで、今何時何分何秒頃か、ってわかればそれで何も困らへんねん。むしろ、今ジャスト何時何分何秒かを厳密に正確にとらえることより、ある時点からある時点までの時間の長さを計れることの方が時計的には大事な機能やと思うわ。」
「ほんまにそうか?時計は今の時刻を知るために必要なんちゃうん?なのに、肝心の今がいつかわからへんなんて、あっていいことだと思う?」
「アナタ、そもそも、今のことをある瞬間だと信奉しているようやけど、それ自体、間違ってるんちゃうん?今って言葉にもっと幅を持たせてもいいと思うで。」
「でも、常に今って言うてくれたやん。時の流れって、瞬間の連続ちゃうの?どう考えても今は瞬間やと思うねん。」
「そうやとしたら、今はいつ?って問いは、答えなし、解答不能やな。考えるだけ無駄や、無駄。諦めや。」
「やっぱり、今っていつか?はわからへんってことでいいんやんな。なら良かった。自分だけ頭おかしいんかと思った。」
「いや、今はやっぱり今やろ。」
「いや、それでは、やっぱり答えになってなくて・・・。」
「もうええわ。」
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