市役所に入庁して1年目に言われた忘れられない言葉
9年前の4月、わたしは市役所に入庁しました。
採用試験の面接で「広報がやりたい」とアピールし、念願叶って広報担当部署に配属され、意気揚々としていました。
広報の仕事は、体感で、現場と事務が4対6くらい。
入学式や成人式などの式典や、花火大会や地域のひな祭りなどのイベントの撮影。全国大会に出場した高校生、音楽家、農家などへの取材。
自治会への広報紙の配布のお願い。
ほぼ毎日何かしらの取材や撮影が入っていて、思っていたより人と接する機会がありました。
慣れないながらも、仕事が滞らないように、迷惑をかけないようにとがむしゃらに働いていたと思います。
少しずつ仕事に馴染んできたころ、部長と話しているときに言われたことがあります。
「市民の方は、あなたやから対応してるんちゃうで。あなたが市役所の職員やから時間を割いてくださってんねんで」
「あなたがやったことは個人じゃなくて市の対応として見られるから、市役所の職員という看板を背負っていることをいつも忘れたらあかんよ」
「はい、、」と返事をしながら、内心は、なんでいきなりこんなことを言われたんだろうと不思議でした。
当時のわたしは、慢心というほどではないけれど、写真を撮ったり広報紙に掲載したりすると市民の方は喜んでくださるし、対応してもらっているのが当たり前のように思っているときがありました。
でもそれは違っていました。
何者でもない23歳に「写真撮らせてください。取材させてください」とお願いされたら怪しいし、「広報紙を配ってください」と言われたら困る。
市役所の広報担当者だから時間を作って協力してくださっているのであって、わたし個人のために対応してくれているのではない。
そういう基本的なことに気づかせるために、部長は声をかけてくださったのだと思います。
そして、自分のしたことや言ったことは、市役所の総意として受け取られる(こともある)と、このとき改めて意識しました。
わたしが失礼な発言をすれば市役所が失礼だと思われるし、真摯に向き合って力を尽くせば市の信頼につながる。
広報以降は市民の方と接する機会が少ない部署に6年いたけれど、この言葉を思い出すたびに気が引き締まりました。
9年前は、厳しいことを言われたなと思っていたけど、入庁して1年目のしかも早い時期に釘を刺してもらったことで、行動や言動に気を配るきっかけになりました。
部長はすでに定年退職されていますが、かけてもらった言葉はずっと心に残っていて、今でも感謝しています。
#仕事について話そう
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