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プレッシャーシフト(2)

皆さんこんにちは!

いつも私の記事を読んでくださってる読者の皆さん、ありがとうございます!

今回は前回から引き続きプレッシャーシフトの話をしていきます。


体重移動?踏み込み?地面反力?これらのキーワードが気になる人は、是非最後までお読みください!

(前編は主に用語説明しています。まだ読んでいない人はこちらからどーぞ!)

おさらい

前の記事でお話ししたことを、ざっとおさらいしていきます。

  • ウエイトシフト
    COM(重心)の移動。動画で観察できる。

  • プレッシャーシフト
    足から地面への力の移動。動画では観察できない。フォースプレートを使用して測定するが、足のめくれ方などで予想も可能。

  • COP(Center of Pressure)
    足裏の圧力作用点。左右それぞれの足にCOPがあり、また左右それぞれのCOPを合わせたトータルのCOPがある。COPと言及するときはだいたいトータルの話。

  • リセンタリング
    テイクバック(P1.5〜2)で右に移動した胸郭や腰の重心が、P3〜P4でアドレスの位置に戻ってくる動き。

  • まとめ
    バックスイングで適正なプレッシャーシフトをおこなえると、リセンタリングが完了したトップになる。効率よく地面の力を使いながらボールを打つためにはスイング中の一連のプレッシャーシフトの流れが大事である。逆に地面の力を効率よく使えていない場合は筋力に頼ったスイングでボールを打つことになる。

前回はこんなことをお話ししました。

スイング中プレッシャーが偏るとどうなるの?

ゴルフでは体を左右に回転させながらボールを打つので、スイング中、絶えず一定の箇所に体重が乗り続けると、クラブを素早く振ることができません。(つま先とか踵にずーっと多重が乗りっぱなしだと振りにくいよね!)また、体が左右に大きく動いてしまってもクラブを早く振ることはできません。

体を左右に大きく動かすことなく、足裏の踏み込む部分(COP)を絶えず移動させながら回転できれば、バランスを取りつつも、しっかりパワーをローディングできると思いませんか?

是非皆さんには、このシリーズを通してパワフルなプレッシャーシフトを学んでいただきたいです!


トッププロはどんな感じかな?

ところでみなさんは、PGAツアーのコーチ達が「効率良く初動のプレッシャーシフトができていると、アドレス〜P2で、COPは横に並行移動することになる」とよく言っていますが、これについて聞いたことがありますか?

この初動のCOPの移動はトッププレーヤーに共通して見られる動きの1つだと言われています。

トッププロのP1〜P2のプレッシャートレース
V1 SportsのYouTubeより

上の画像は被写体のプレーヤーと同じ足の向きでプレッシャーマップが表示されています。

赤い点線に注目してみると、3人ともCOPが比較的真横に動いてるのが分かります。

このようなCOPの移動を再現しなきゃいけない訳ではありませんが、できるとベターです。理由はこれから話していくね!

では、これを踏まえてプレッシャーが偏った極端なケースを見ていこう。


①右踵にプレッシャーが偏ったトップ

まず「右踵にプレッシャーが偏っている」というのはどういう状況だと思いますか?

COPが右踵まっしぐらなバックスイング

バックスイングの始動と同時にCOPが右踵に向かって動いたら、右踵のプレッシャーが極端に強いトップにります。なんならトップでつま先や母指球が地面から浮いちゃうかも。

もし、トップで右足の踵にプレッシャーがかかり過ぎていたら、バックスイングではこんな事をしている可能性が高いよ。

  • 腰の回転のスタートが早すぎる

  • シンプルに腰を回しすぎている

  • 骨盤を左に傾けず、ただ水平回転している

  • 骨盤を回転させず右に横移動している

  • 上半身だけがえらい右に動いている等


するとトップでは、こんなプレッシャー配分になっちゃいます。

右つま先部分の色が消えているから、右踵のプレッシャーが強いって分かるね!


こうなると、ダウンスイングではどんな事が起きてしまうんだろう?

  • 適正なインパクトの姿勢に戻れない

  • トップで極端に右踵よりだったからダウンでつま先を踏み込むしかない

  • 右膝が前に出る

  • 結果アーリーエクステンション

  • その結果インパクトで下半身を回転し続ける事ができずストール



こうなると、もう負の連連鎖を断ち切ることは難しいかもしれないね…ぴえん

なんとかボールを打つために、球筋に大きく影響を与える動作である「スクープ」や「フリップ」を使うしかないかも。。。

もちろん、右踵さん全員がこのパターンに当てはまるわけではありませんが、めちゃくちゃよくあるパターンだと思います。

ゴルフスイングって「次の動作」→「次の動作」って繋がっていくチェーンアクションだから、それまでのツケが一気にインパクトにまわってくるんだよね。

インパクトで伏線大回収!みたいな。笑

これをやりがちな自分としては全然笑えないんですけどね。


②右つま先側にプレッシャーが偏ったトップ

続いて、トップで右つま先側にプレッシャーが偏っていた場合、どんな事が原因でそうなるのか?それによりどんな事が起きやすいのか?について見ていきます。

「スイング中は常に母指球重心教」の信者さんはこの記事をしっかり読んで、教祖様にそれあかんって報告しといてください。笑

右のつま先側に極端にプレッシャーがかかってる人のトップ


極端な右つま先側にプレッシャーがかかってるトップの場合、考えられる原因と結果は以下の通り。

  • 腕を垂直に持ち上げる(リフトする)だけのバックスイングで頭の真上にクラブがある=いわゆる手上げ

  • 肩の回転が足りない


  • 結果どう頑張ってもダウンスイングで手が適正範囲より前に(ボール側へ)出る

  • そしてスティープにクラブがおりる

  • すさまじい角度からインパクトおおおお(→事故)

また、トップで右つま先側にプレッシャーがあるとオーバーザトップを避けることがすごく難しくなってしまいます。クラブが容易にアウトからスティープに入ってきます。

なのでカット軌道に悩んでいる人は、1度トップポジションのプレッシャー配分をチェックしてみるといいかも知れません。それだけでカットが直る!!…かは知らんけどな。笑



適正なプレッシャーシフトとは?

大変お待たせしました!
やっとここから、皆さんが参考になるお話ですよ。まだみんな読んでる?

地面反力を測定できるBoditrackやSwingCatalystを使用したレッスンで、「実際に使われている目標データ」を基に参考になりそうな数値を紹介していきます。


バランスとのとれたセットアップとは?

アドレスで左右のプレッシャー配分は、ほぼ五分五分になるのが良いとされています。

ですが、ゴルファーによって様々な癖や傾向があるのはごく自然なことなので、ほぼほぼ左右五分五分な配分でも、ややつま先重心だったりやや踵重心などのパターンがあります。

ほぼイーブンなアドレス


そしてここで1つポイントがあります。

上級者ゴルファーには、「アドレスからバックスイングを始動するまでの間」に共通するパターンがあるんです。

上手い人はアドレスから違う!というのは、単なる都市伝説ではなく現実世界の話でしたね。誠に悲報です。

そのパターンというのが、「やや左サイドのプレッシャーが大きく、ややつま先よりにプレッシャーがかかるパターン」のことです。

Swing Catalystのデータによると、PGAのアドレスの平均値は54:46(左:右)で、どのクラブでも左足のプレッシャーの方が大きいということが分かっています。

多くのPGA選手が、アドレスし、クラブを動かし始めるためのトリガーで、左足に一旦プレッシャーをかけてから右にクラブを始動しているためこのようなデータが出ているんだとか。

これはとっても重要な動きの1つで、クラブヘッドスピードを上げたいのであれば取り入れるべきポイントの1つです。

わたしのつい最近のインスタの投稿でもこれについて少し話しているので、まだ見ていない人は見てみてね!



トップからダウンスイングへ

続いてトップポジションのプレッシャー配分です。

トップでは左足よりも右足に多くプレッシャーがかかることになりますが、極端に右踵にプレッシャーが偏らないよう、靴の真ん中あたりにもプレッシャーを分散できるといいと言われています。

右足は35:65(つま先:かかと)周辺の数値が理想的です。

トップでは主に右足にプレッシャーがかかっています。
また、右足は踵側にプレッシャーがかかっていますが、母指球周辺にもプレッシャーが少し分散されているのが分かります。


バックスイングでは体を右に回転するのに、なんで右踵にプレッシャーが偏るのがよくないの?って思いますよね。

なぜなら…

理由①
テイクバックから先のバックスイングで右腰は右に回転していくので、「右足のプレッシャーは腰が回転していく方向と反対方向のつま先の薬指方向にかける」ことになります。そしてここから右踵へとプレッシャーは動いていきます。バックスイング開始と同時に右踵へプレッシャーが動くということは、地面をうまく使えていないので、筋力に頼ってバックスイングしている事になります。

うん、イマイチ分からんよね。笑
作用反作用の法則って中高の物理でやったべ?
それね。

理由②
ダウンスイングでは右足で地面を右斜め後ろ方向へ蹴っていきますが、右踵にプレッシャーがかかりすぎていると、一旦足裏の半分からつま先側へプレッシャーを移動させて踏み込まなければならないので、このタイミングが遅れてしまいます。もしくは地面反力を使いきれずにダウンスイングする事になります。

わたし自身もトップで右踵にプレッシャーがかかりすぎる癖があります。
理由②がもろ該当で、ダウンスイングでは右足で地面を上手く蹴れずベタ足、腰の回転が先行し、インパクトで上半身が大きく右に倒れるため、インパクトのロフトは寝るし、球は高いしで、治した方がいいと学生時代いろんなコーチから言われました。


PGA選手がトップで左右の足にかけるプレッシャー平均値は以下の通り(2015年のSwing Catalystより)

  • ドライバー 22:78

  • ミドルアイアン 25:75

  • ショートアイアン 28:72

ショートアイアンの方が右へのプレッシャーシフトが少ない理由は、精度優先のクラブなので大きなプレッシャーシフトがいらないからかもしれません。また、ドライバーはクラブが長く大きな慣性が働くため右へのシフトが多くなるのかもしれません。ですが理由は様々で定かではなく、あくまでも平均値はただの平均値でしかないので参考までにとのことです。(Drスコット•リンによると)


インパクト

トップで右サイドにあったCOPが一気に左に移動していきます。

インパクトのプレッシャー配分

PGAの平均値は以下の通り(Swing Catalystより)

  • ドライバー 76:24

  • ミドルアイアン 82:18

  • ショートアイアン 84:16

トップからダウンにかけて、
左足のどこに向かってCOPが移動するかはゴルファーによって様々です。

私の場合、左足のややつま先目に進んでから踵に移動する派です。
左足真ん中から踵に行く人もいます。

フェード・ドローでも変わるって言う人もいますよね。
まあクラブ抜いてく方向が変わるからCOPのパターンも変わるのかもしれませんね。

ただ短いクラブの方がインパクトで左にプレッシャーが乗るのは、考えてみれば自然なことですよね。

短いクラブの方が入射角も鋭角ですし、正面から見たボールと体のCOMの距離も近くなります。また、カバーリングしてボールを潰していくためにも左に乗っていないと、この動き自体ができませんもんね。


驚きがあった!

今回、私が個人的に「へ〜おもろ〜」と思ったポイントがありました。

それは、「プレッシャーがMAXになるのはいつも大きな動きの前だ」ということ。
(MAXといっても100ではないです。最高値のMAXです。)

右足のプレッシャーがMAXになるのはトップの前
左足のプレッシャーがMAXになるのはインパクトの前

力の伝達は、客観的に動作を観察できる前に始まると分かれば納得の結果ですよね。

左足のプレッシャーに関しては、クラブが短いほどMAXになるのがインパクトに限りなく近い直前だと分かっています。
アイアンだとP6.86、ドライバーだと少し手前のP6.6くらいです。

これはなぜか?

長いクラブの方が入射角が鈍角だから?と思いがちですが、これは単にドライバーの方がスイングスピードが速いからです。

長いクラブの方が右から左足に素早くプレッシャーを移動し、そこから脚、腰、胸郭、腕、手、クラブと連鎖してエネルギーを伝達していく必要があります。

なので、ヘッドスピードを上げたいのであれば、長いクラブほどダウンスイングで左へのプレッシャーシフトが早く始まるべきであるということです。

これが遅いとインパクトに向けて行いたい運動連鎖が間に合いません。

…でも難しいのがね、だからと言って早すぎるのもあかんのよ。さじ加減。笑

昔ジャスティン・ローズは左足のプレッシャーがP5でMAXになってて、すごく苦労して直したって話は有名ですよね。(ググると詳しい話があるよ。)

まだまだ、長くなりそうなのでこの記事はここで一旦終わります!


おわりに

今回は皆さんの参考になるような数値を紹介してみました!
少しでも誰かのお役に立てば幸いです。

プレッシャーシフトと言えど色々なパターンがあるので、何をどう紹介するのがベストなのか?選ぶのに時間がかかってしまいました。

続きのプレッシャーシフト⑶では、実際のプロのプレッシャートレースとプレッシャーシフトの練習方法を紹介します!

お楽しみに!

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最後に、私事ですが…

最近ですね、Dr.クォンのバイオメカニクスインストラクタートレーニングのレベル1とレベル2を修了した認定をいただきました!

これはアメリカの有名なバイオメカニクスと地面反力の博士がやってるセミナーを修了したよって認定です。参加者には有名なインストラクターの名前がずらりで「おおおお」と思いました。(ミーハー笑)

メインテーマは「ゴルフスイングを効率よく効果的に行うための、ヘッドスピードに関わる様々な要素とその相互関係を理解し、動作パターンをホリスティックアプローチで改善する」というものでした。

ダイナミックスイング、地面反力、モーメントアーム、Xファクターストレッチなど知りたかったことが学べて、過去イチ素晴らしいセミナーでした。(あまりに良かったのでやっぱりセミナーはこうでなくちゃと旦那にコンコンと話しましたw)

最初に配布された参考資料が合計500ページ近くあったのを目にしたときは4にましたが、ほぼ白目で毎日朝まで必死におよそ1ヶ月勉強して頑張りました。

高校の物理と数学も少し勉強し直したのですが、Drクォンが「角運動量の保存はゴルフスイングにはない。これまでの理論は地面反力を無視している。」と言ったときには、今までわたしが知っていたゴルフスイングとは一体なんだったのか?と深く考えさせられました。

いやいまだに分かってないんよな。誰か教えてくれ。笑
日本人コーチの大好きな振り子運動のことも色々言っとったけど、まあ色んな意見がありますわな〜と思いました。

そんなこんなで、こちらのNoteに学んだ内容も書き出すことで整理していきたいと思っているので、気になる方はチラチラとチェックしていただければと思います!



このブログではこれからも世界最先端のゴルフに注目して、アマチュアゴルファーの皆さんの役に立つ情報を発信していきます。私が多忙なため更新は超不定期です。是非フォローして、アップデートをお待ちください。

最後までお読みいただきありがとうございました!


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